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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中印国境対立 [2009年06月24日(Wed)]
ウォール・ストリート・ジャーナル6月24日付で、保守系の外交政策評議会(外交問題評議会とは異なる小規模なシンクタンク)の研究員でインド専門家のJeff M.Smithが、中印国境で両国の対立が高まっていることに注意を喚起しています。

スミスは、中国は、@近年、1962年の中印国境紛争でもめたArunachal Pradesh地方への権利を主張し始め、同地方に向かう道路・鉄道の整備を開始、A今年3月には同地方の洪水対策プロジェクトへのアジア開銀の融資にストップをかけ、さらにB国連安保理常任理事国の座からインドを閉め出す一方、ネパールやスリ・ランカで影響力を伸ばしている。それに対し、インドは、6月に同地方の兵力を10万に増強する発表、また、中国がインド国内の過激派ナクサライトを支援していると非難し、国外でもインド外交官が中国への警戒感をおおっぴらに語るようになってきた。そうした中で中国の6月11日付人民日報は、インドによる同地方の兵力増強を危険な措置と非難し、「中国はインドとの国境問題では譲歩しない」と報じた等、最近の中印関係悪化の実例を列挙し、

米国は中印両国との友好関係を活用して、要請があれば「公平な仲介者」の役割を果たすべきだが、必要な場合は、ブッシュ時代に築いたインドとの戦略的パートナーシップを発展させて、「同盟国」たるインドを助けなければならない。つまり、中国が一線を超えるようなことがあれば、米国は現状固定(現在インドが管理する領土への中国の要求を抑える)の方向で動くべきだ、と言っています。

中印間、特にインドの中国に対する目には嫉視や警戒感の混ざった複雑なものがあるのは確かであり、これはアジアの国際関係における重要要因の一つです。また東南アジアでも、華僑と印僑の間で張り合いが見られます。しかしその反面、両国が協力関係を進めていることも忘れてはならないでしょう。ロシアのイニシアティブで中印ロ首脳・外相会談が何度か開かれています。またインドにとって中国は米国に次ぐ貿易パートナーであり、貿易額は1990年の3億ドル弱から2008年には500億ドルに急増しています。

今後ダライラマの継承問題がこじれ、インドが介入するようなことがあれば、中印国境は一気に緊張を高めるでしょうが、当面スミスが主張するほど切迫した状況は見られません。インドは中国への警戒心、対抗心は緩めないでしょうが、中国との関係が大きく悪化する状況にはないと言ってよいでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:44 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(2)
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