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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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オバマの外遊 [2009年04月17日(Fri)]
ウォール・ストリート・ジャーナル4月17日付で、独ツァイト誌の編集発行人、Josef Joffeが、オバマ大統領は欧州で大変人気が高いにも関わらず、今回の外遊では成果を挙げられなかった、と論じています。

ヨッフェは、オバマは欧州各地でまるでスターか王族のように歓迎されたが、政策的にはほとんど成果をあげえず、他国首脳を説得することもできなかった。G20ではメルケル首相に経済刺激策を断られ、NATOサミットでは欧州の同盟国に戦闘部隊の貢献を断わられた。また環境保護でも、欧州は、米国こそがエネルギー過剰消費と温室効果ガス排出の元凶と見て、厳しい環境基準を譲rらなかった、

他方、欧州外でも、核を手放せば、アジアの最後進国の指導者となってしまうのを知っている金正日は、核開発を止めず、また、中東の覇者を目指すイランは、その障害となる米国とイスラエルへの敵対姿勢を変えようとしない、

結局、ド・ゴールなどが言ったように、国家には永遠の友も敵もいない。あるのは永遠の国益だけだ。愛や友情は人を動かすが、国家を動かすのは国益と力なのだ、と言っています。

事前に予測されたことですが、G20でもNATOサミットでもオバマは折れることはあっても厳しい要求はせず。その政策が採択されることはありませんでした。ブッシュ政権でも結果は同じだったでしょうが、違いは、米欧間の対立があからさまにならず、各国が自分の立場が受け入れられたと自国民に主張できたことでしょう。欧州の中からさえ、オバマは大変な政治資産があるのにそれを活用せず、欧州指導者たちにいいようにやられたと言う人もいます。米国は、欧州のロシア・エネルギーへの依存が高すぎると懸念し、その改善の必要を言ってきたにもかかわらず、独・仏は、EU議長国であるチェコの指針を無視し、エネルギー会議にロシアを招待することを推奨しています。

米国民の中からも、自国の大統領が愛されることは必ずしもよいことではなく、恐れられる必要もある、という声が上がっています。他国の見解に耳を傾けるのは重要ですが、甘く見られると、アフガン派兵のように米国と少数の同盟国だけが負担を担い、他国は実質的には傍観ということになります。指導国として他国の意見を聞くことと、政策を推進し、他国に妥協や役割分担を求めることのバランスが必要です。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 12:29 | 米国 | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
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コメント
私の意見では、国内経済危機の為、オバマ大統領は外交に未だ本腰が入っていない観があります。「国家を動かすのは国益と力だ」という言説は、ドゴールだけでなくパーマストン, ディズレイリ等の欧州の政治家に伝統的によく見られるものだと思います。ナポレオンは流石に一格違って、「政治において、通常人は利益と恐怖に動かされる。理性に動かされる事は無い。」と言ったと聞きますが、国益と力を崇拝し振り回されず、理性に依って国益と力を支配振り回した点は、リシュリューと共に歴史的に評価しています。さて私は、米国にも国益と力を崇拝せず、何物かに依って国益と力を支配する政治形態が歴史上間々出現すると観ています。そう20世紀のウィルソン、ルーズヴェルト期(ケネディを入れても可)のいわゆる理想主義政治外交とも言いましょうか。正義、善、理性等の理想で国際国内政治の国益と力の生産分配を行う政治外交。私は、かねがね二千五百年前の孔子の理想と程遠くない政治は、20世紀の米国で間々行われたとの歴史認識があります。私はオバマ大統領に、この善き伝統の継承者であることを望む者です。もっとも重荷になっては逆効果なので、盛んに露払い道作り環境作りをペンの力で行なっている訳です。彼の雄弁からその精神を思えば再興も無理ではないと推測しています。又、たとえそれが実現しなくても、政治とはその方向性を持っていなければならぬと思う者です。
Posted by:山中 彰  at 2009年04月30日(Thu) 19:34