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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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英国経済の窮状 [2009年02月21日(Sat)]
シュピーゲル2月21日付が英国経済の窮状について解説しています。

記事は、英国では消費も工業生産も激減、IMFによれば英経済は今年、七大経済国中最大の2.8%縮小をとげる。失業増加の速さも欧州の平均の二倍であり、失業者は今年末には300万人となろう。かつての社会福祉国も今や失業手当は週約60ポンドしかない。支払が出来ないために、ローンで買った家やアパートを売りに出すケースも急増している、

20年前、サッチャー首相は造船、鉱業、自動車などの伝統的産業を壊し、米国同様、規制を撤廃、英国の将来を金融業に賭けた。ゴールドマン・サックス、メリル・リンチ、モルガン・スタンレーなど米系巨大投資銀行や、ドイチェ・バンクやクレディ・スイスなど欧州系大銀行がロンドンに腰をすえ、ロンドンは世界の株式とヘッジファンドの取引の中心となった。この路線はブレア政権にも引き継がれ、諸種の規制は更に撤廃、資本収益への課税も一層軽減された。最善の時期には金融業は国家税収の25%を生み、16年の間に650万人の雇用を生み出した。銀行家たちのボーナスは10年で17億ポンドから85億ポンドに上昇、金融業の余沢は、弁護士、コンサルタントから、商店、レストランまでおよび、住宅価格も三倍になった。そうした中で英国は貯蓄する国から金貸し業の国へと変貌していった、

こうして英国は工業社会から金融中心のサービス社会への脱皮に成功したかに見えたが、その実体は、際限無く膨張する金融セクターへの依存に過ぎなかった。今や、人々の銀行家に対する憤りは激しい、

来年、英国はGDPの9%の新規借り入れを行わざるを得ず、英財政が今回の危機以前の状態に戻るのは2030年と見られている。70年代、英国は「欧州の病人」と言われたが、今や世界の病人となったのだ。「規制を全く受けない資本主義」などあってはならないとの認識がようやく浸透し始めたが、悟るのが遅すぎた、と言っています。

この記事の言っていることは妥当と思われます。百年前、七つの海を支配する大帝国だった英国は、二度の大戦を経て実質二流国となり、以後、米国に頼る代わりに、他に先んじて米国に協力する政策で、世界における地位を保ってきました。しかし本来のルーツたる欧州では、独仏の再興の意味を読み違え、長くECの域外にいて無駄な抵抗を続けました。ただ、英国の国や国民の特性や文化は、大陸の大国も一目置いてきた全く独自のものであり、人類の財産でもありますから、それらが残る限り、たとえ経済はさらに衰退しようとその存在意義は今後も必ず続いて行くでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:00 | 欧州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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