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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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オバマ政権のアフガン作戦 [2009年02月18日(Wed)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン2月18日付で高名な米外交評論家William Pfaffが、オバマ政権のアフガン作戦について論じています。

ファフは、今の米国は、アフガン人の信仰をリベラル化したいのか、それとも正面きって宗教戦争をしたいのか、NATOの恒久基地を設けてアフガニスタンやパキスタンを恒常支配したいのか、あるいはビン・ラーディンたちを捉えて9.11テロの責任を問いたいのかわからない、というよりも、すべてを同時に追っているように見える、

しかし現在4万の米軍を倍増したところで、ビン・ラーディンを捕捉できる保証はなく、増派はむしろ駐留の恒久化につながる。また、米軍は誤爆によって多くのアフガン人を殺戮しており、そのために有力部族パシュトゥン人を敵に回してしまった。オバマ政権は、アフガン作戦の目的をビン・ラーディンの捕捉に置くのか、アフガニスタンの民主化に置くのか明確にすべきだ、と論じています。

オバマ大統領がアフガン増派を発表したばかりですが、ファフは、作戦が自己目的化し、当初の方向感を見失っていることを批判したのでしょう。ただアフガニスタンには無数の勢力が存在し、またパキスタンにもそれぞれ異なる思惑で動く政府、諜報機関、地方有力者等が存在して、ある時は米軍を利用、ある時は敵対して動くのですから、米国が方向感を失うのもやむを得ない面があります。

またこの問題には、ビン・ラーディンを捕捉するには、地元部族指導者を懐柔せざるを得ず、懐柔すればイスラム過激派の跳梁を許し、そこに外国資金も流入してくれば、ビン・ラーディンの捕捉は難しくなる、という基本的矛盾があるように思われます。

アフガニスタンは地域毎の共同体から成っており、「部族指導者」はその頂点に立っています。近代的国民国家にそぐわないとして彼らを性急に排除し、社会全体を不安定化させるより、彼らを公共工事への参加等の利権で手なづけつつ地方自治体的な役割を担わせるのが、時間はかかりますが、現実的なやり方と思われます。少なくとも表面的な「アフガン安定化」は演出できますし、ビン・ラーディンの「炙り出し」もより容易になるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:45 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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