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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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オバマのインドネシア政策 [2008年11月22日(Sat)]
ウォール・ストリート・ジャーナル11月22日付社説が、インドネシアはテロ対策にとって重要な国であり、米国は同国との軍事協力関係を維持すべきだ、と主張しています。

社説は、米インドネシア間には1960年代以来、米国によるインドネシア軍人の教育訓練を中心とする軍事協力関係があり、これは東ティモールの虐殺事件で一時中断されたが、2005年に復活して現在に至っている。ところが、民主党上院予算小委員会議長Patrick Leahyは、今年4月にライス国務長官に書簡を送って、インドネシア軍の特殊部隊Kopassusの人権侵害はティモール事件以降も改善されていないと批判、職権を行使してインドネシア軍教育関係予算の削減を提案した、と指摘しています。

その上で社説は、しかしインドネシアはテロ対策にとって重要な国であり、また、Kopassus の責任者の処分も既に行われている、と述べて、オバマ新政権は軍事協力関係を維持すべきだと主張しています。

Leahy等の言動は、民主党が両院の安定多数を確保、その中でリベラル派の発言力が強くなってきている今の米議会の状況を反映した動きの一つであり、ウォール・ストリート・ジャーナルは保守現実主義の立場からこれを批判しているわけです。

米国のリベラル人権派の存在は、時として、ここに指摘されるように、現実主義外交の障害となりますが、米外交にとっては両刃の剣の役割を果たしています。例えば、中国については、中国の軍事的脅威に注意を払わず、宥和政策のみを推進しようとするハト派勢力に対し、中国の人権侵害を指摘して歯止めの役割を果たしていますし、台湾については、自由と民主主義擁護の観点から、パワーポリティックス的戦略論とは関係なしに台湾支持の立場をとることになります。

日本も、慰安婦問題ではこの派の説得に苦労したことがありますが、今の日本は人権問題で何の弱みもなく、また、彼らは、自由民主主義国間の協力に重きを置く政策にとっては強力な味方となりえます。従って、日本にとっては、米国のリベラル人権派は一つの大事な政治勢力だと考えるべきでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:14 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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