米軍再建の課題
[2008年11月16日(Sun)]
ニューヨーク・タイムズ11月16日付社説が、米軍の再建計画を論じるとともに、オバマ次期政権に21世紀の脅威に対処するためのビジョンを示すよう求めています。
社説は、既に決定されている、総現役兵員を759,000人に増強する計画を支持した上で、近い将来、重要なのはやはりテロ対策だ、また在外基地が削減される傾向もあるので、輸送力を強化し、機動力のある部隊および占領地の住民対策のための要員を増強すべきだ、と提言、
そのための経費について、イラク撤退で浮く分を当てるのは当然として、F-22のような高度近代兵器、外洋の戦闘艦艇、アラスカやヨーロッパ配備予定のミサイル防衛システムなど、高額の軍備を控えて経費を抑えるべきだ、と論じています。
オバマの当選が米国の雰囲気を変えたことは、この社説にも如実に反映されており、もはやこれは現政権の政策批判ではなく、来るべき政権の側に立った前向きの論説です。ブッシュ批判も残ってはいますが、全体の論調は建設的であり、これならば、超党派の軍事政策も可能と思われます。ニューヨーク・タイムズは長くブッシュ政権やペンタゴンからの直接情報から遮断されている感がありましたが、言論界の中心に復帰する可能性が出て来ました。
論説で特に注目されるのは、テロ対策では、武力による制圧とともに、その後の経済援助や広報の予算人員が必要だ、と言っていることです。これはゲーツ国防長官の持論でもあり、ゲーツへの期待が窺われます。
もう一つは、依然としてテロ対策が国防政策の前面にあることです。アフガン問題が目下の大きな懸案であることから、これもやむを得ませんが、21世紀の防衛問題の最大の課題は、増大する中国の脅威にいかに対処するか、であるべきでしょう。本来、テロ対策は治安機関の問題であり、通常防衛が閑却されるべきではありません。
そして中国の脅威に対しては、日米同盟が持つ対中抑止能力の維持強化が必要です。中国の第四世代戦闘機の急速な増強を前に、F-22の増強の必要を否定できる極東の軍事専門家はいないでしょう。ニューヨーク・タイムズの提言の底に対中宥和思想がないかどうか、今後ともその姿勢に注意する必要があります。
社説は、既に決定されている、総現役兵員を759,000人に増強する計画を支持した上で、近い将来、重要なのはやはりテロ対策だ、また在外基地が削減される傾向もあるので、輸送力を強化し、機動力のある部隊および占領地の住民対策のための要員を増強すべきだ、と提言、
そのための経費について、イラク撤退で浮く分を当てるのは当然として、F-22のような高度近代兵器、外洋の戦闘艦艇、アラスカやヨーロッパ配備予定のミサイル防衛システムなど、高額の軍備を控えて経費を抑えるべきだ、と論じています。
オバマの当選が米国の雰囲気を変えたことは、この社説にも如実に反映されており、もはやこれは現政権の政策批判ではなく、来るべき政権の側に立った前向きの論説です。ブッシュ批判も残ってはいますが、全体の論調は建設的であり、これならば、超党派の軍事政策も可能と思われます。ニューヨーク・タイムズは長くブッシュ政権やペンタゴンからの直接情報から遮断されている感がありましたが、言論界の中心に復帰する可能性が出て来ました。
論説で特に注目されるのは、テロ対策では、武力による制圧とともに、その後の経済援助や広報の予算人員が必要だ、と言っていることです。これはゲーツ国防長官の持論でもあり、ゲーツへの期待が窺われます。
もう一つは、依然としてテロ対策が国防政策の前面にあることです。アフガン問題が目下の大きな懸案であることから、これもやむを得ませんが、21世紀の防衛問題の最大の課題は、増大する中国の脅威にいかに対処するか、であるべきでしょう。本来、テロ対策は治安機関の問題であり、通常防衛が閑却されるべきではありません。
そして中国の脅威に対しては、日米同盟が持つ対中抑止能力の維持強化が必要です。中国の第四世代戦闘機の急速な増強を前に、F-22の増強の必要を否定できる極東の軍事専門家はいないでしょう。ニューヨーク・タイムズの提言の底に対中宥和思想がないかどうか、今後ともその姿勢に注意する必要があります。