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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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イラクの対米観 [2008年07月27日(Sun)]
ワシントン・ポスト7月27日付でコラムニストのDavid Ignatiusが、マリキ首相が2010年の米軍撤退を主張していることを、歴史的視点から論じています。

イグネイシャスは、植民地支配の屈辱を味わったイラクは、欧米支配からの解放を強く願っており、そうしたナショナリズムが近代イラクを結束させてきた。植民地時代に設けられた王制が革命で廃されたのもナショナリズムの表れであり、サダム・フセインとバース党はそうした革命の成果を横から奪うものだった。そのイラクがナショナリズムを主張して、米国からもイランからも独立した国になるのは、むしろ歓迎すべきことだ、と論じています。

近代史とそれがイラクのナショナリズムに与えた影響についてのイグネイシャスの考察は正しいと思われます。イラクが、第一次大戦後、トルコの支配から脱したとたん、今度は戦時中の闇取引、サイクスス・ピコ条約によって、委任統治領の名の下に植民地支配に置かれた屈辱と挫折感は、アラビアのローレンスの話からもわかります。

このイグネイシャスの議論をそのまま延長していけば、マリキがイラク・ナショナリズムを主張するのは健全なことであり、共和、民主両党ともこれを歓迎すべきで、米国は期限付きの撤退を認めて、新たにイラクの歴史を書くのはイラク人自身に任せるのがよい、ということになります。

勿論、細かく議論すれば、撤退は戦闘部隊に限られ、その他種々の部隊は残るのですから、何らかの協定は必要であり、クルドも建前は撤退支持でも、本音は米軍撤退を望んでいるとは思えません。また、ペトレイアスの下で、再武装を許されたスンニ派が、石油収入配分もまだ保障されていないのに、米軍撤退後にシーア派支配を容認するかどうかもわかりません。従って、これは議論としては時期尚早のものでしょう。

しかし、米国によるドイツや日本の占領と、イラク占領の違いは、イラクが植民地支配という屈辱の経験をしたことにある、というのはおそらく正しい指摘であり、そうであるなら、この論説のような巨視的見方も有意義だと言えます。そして、こうした巨視的な見方が許されるようになったのは、米軍の増派作戦が成功したからだ、というのも、また事実です。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:40 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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