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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中東情勢 [2008年05月15日(Thu)]
レバノンでヒズボラがシニオラ政府と対立し、ブッシュ大統領が中東を訪問したことを受けて、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、Thomas L. Friedmanがインターナショナル・ヘラルド・トリビューン5月15日付で、中東情勢の現状を解説し、米国の中東政策を批判しています。

フリードマンは、中東は、一方は米・イスラエル・穏健アラブ諸国、他方はイラン・シリア・ハマス・ヒズボラの2陣営に両極化しつつあり、両者の間では「冷戦」が始まっている。しかし今はどの局面でも米国側が負けている。

つい先日も、ヒズボラがレバノンを席捲しようとしたし、イランは今やイラクのマリキ首相を取り込み、同国のシーア派民兵を繰り、ヒズボラを強化しており、さらにガザのハマスを強化できる立場になっている、と指摘して、

イランは、自国の核施設が攻撃されれば、報復攻撃ができる状況を作り出したのに対し、米国は、ブッシュのおかげで、中東で「好かれも、恐れられもせず、尊敬もされない」国になってしまい、中東問題は処理できない、かといってそこから手を引くこともできない状況に陥っている、と批判しています。

その上で、米大統領候補者たちは、イランとの交渉の是非を論じているが、肝心なのは、現状を動かせるテコを米国が持っているか否かであり、持っていないのならそれを創出しなければならない、と言っています。

中東が、米・イスラエル・アラブ穏健派とイラン・シリア、ヒズボラ等との闘争の場になっており、イラン側が得点を挙げている、というフリードマンの指摘はその通りでしょう。今回のブッシュの中東訪問も、それを逆転できるような成果をあげられるとは思えません。

米の中東政策は、@中東和平でイスラエル寄りにすぎる、A現地事情を軽視して、イデオロギー的な「民主化」政策に力を入れすぎた、Bイランからの働きかけを無視するなど、イランへの対応が硬直的にすぎる等、多くの問題を抱えています。

中でも、イランへの対応は最大の問題であり、ブッシュ後の米新政権は、方向転換も含めて、対イラク政策をどうするか、真剣に考える必要があるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:20 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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