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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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ロシア新政治指導部 [2007年12月15日(Sat)]
ロシアが来年5月からメドヴェージェフ大統領=プーチン首相体制で行くことが明らかなったことを受けて、12月15日付ワシントン・ポストはカーネギー国際平和財団のSam Greeneの論説を、ウォール・ストリート・ジャーナルは社説を載せています。

グリーンは、メドヴェージェフは「相対的に」リベラルであり、市場経済も良くわかっていて、西側の投資家を安心させる人物だ。プーチンが彼を後継者に選んだことに関係者はほっとしている。もう一人の有力候補だったイワノフが保安機関に基盤を持つのに対し、メドヴェージェフはプーチンの支持以外に権力基盤を持たず、従って、権力は今後もプーチンが保持し続けるだろう、と言っています。

WSJ社説は、メドヴェージェフにはカリスマはなく、今後もプーチンがボスだということを自ら明確にしている。つまりロシアでは本質的に政権移譲はなかったということだ。そしてプーチンの取巻きは現体制の継続を望んでいるし、プーチン自身も権力の座を去ることが危険なことを知っている。しかし民主主義の欠如はロシアにとっても世界にとっても危険だ。クレムリン内の権力闘争は続いており、プーチン主義は「安定を秩序」をもたらしたとの喧伝にも関わらず、実際は不安定の種をまき、ロシアの将来の不確実さを拡大した、と言っています。

グリーンの論説もWSJ社説も、プーチンが今後も権力を握り続けると常識的な判断を示しています。クレムリンでは、いわゆるシロビキ(KGB等保安機関出身者)間で熾烈な利権・権力闘争があり、プーチン以外にそれを押さえ込める者はいないということなのでしょう。権力の集中は不安定さを伴い、民主化されたロシアの方が長期的には安定する、というWSJの指摘はその通りでしょうが、見通してとしては、ロシアは民主主義から離れていくと思われます。

さらに、今回の選挙過程を観察すると、プーチンを国家指導者と呼んであがめる個人崇拝、排外主義やロシア至上主義の強調、愛国主義青少年団体の台頭、そしてプーチンの筋骨隆々たる肉体が報道される、肉体美賛美の風潮など、ロシアがファシズム化することを示唆するような兆候が見られ、懸念がもたれます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:14 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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