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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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クルド問題の現実的解決策 [2007年10月23日(Tue)]
イラク内に基地を持つPKK(クルド労働党)の活動が活発化し、トルコ議会が軍に対応を許したことから、トルコ=イラク国境が一触即発の危機を迎えています。こうした中で、ワシントンポストとロサンジェルス・タイムズ10月23日付の社説が危機の回避について論じています。

WPは、トルコは、アメリカとイラクのクルド自治政府がPKKに圧力をかけてテロ活動を止めさせるべきだと言っているが、イラク問題で手一杯のアメリカには軍事的余力がなく、クルド自治政府にはPKKを抑える実力はない、結局、両者がPKKの説得に一層努める一方、トルコは、何十年も制圧できなかったPKKに対して軍事的にできることへの期待値を低めるしかない、と論じています。

LATは、イラクの米軍は、制圧が困難なPKKに新たに取り組むという無駄なことはしたくないだろうが、アメリカとして少なくともクルド自治政府に圧力をかけ、さらにPKKの指導者を捉えるために少数の特殊部隊を派遣することぐらいはしたらどうか、と論じ、さらに、アメリカとトルコが共にPKKの聖域にNATO軍を送ることを検討すれば、クルド自治政府ももっと真剣にPKK対策を考えるようになるかもしれない、と示唆しています。

この二つの論説を読むと、イラク内のクルドの聖域は、峻険な山岳地帯にあり、同じクルド民族の現地住民の支持もあって、何十年もトルコが制圧しようとして制圧できなかったという背景事情がよくわかります。となると、現実的な決着として、アメリカとイラクのクルド自治政府が一緒になって過激な行動をしないようPKKを説得する一方、トルコ側も、一挙にクルド聖域を制圧するというような抜本的解決は不可能だと見極めて、一時的な沈静化で我慢するしかない、ということになります。その意味では、ワシントンポストの社説は現実的な提案をしていると言えるでしょう。




Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:33 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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