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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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イスラエルのレバノン攻撃についての軍事的評価 [2006年07月27日(Thu)]
アメリカの著名な軍事専門家Anthony H. Cordesmanが、イスラエルのレバノン攻撃は、戦略目的が必ずしも明確ではなく、攻撃の成果もこれまでのところ限定的だと言っています。その要点は:

1.イスラエルの大規模空爆は、@ヒズボラに決定的な打撃を与えるか、 Aレバノン政府にレバノン南部の完全支配とヒズボラの武装解除を強要するか、どちらかの目的を達成しない限り意味がないが、今のところ空爆はどちらの目的も達成していない。

2.ヒズボラの弱体化については、ヒズボラはイスラエルの空爆に耐えてよく反撃しているという宣伝効果が、今のところヒズボラが実際に被った損失を補って余りある。

3.イスラエルがレバノン政府に強要することについても、レバノン政府はヒズボラ制圧に乗り出してはいなく、むしろイスラエルが多数のレバノン軍事施設を破壊しため、イスラエルへの反感を強めている。そもそもイスラエルはなぜレバノン政府を強要できると考えたのか、根拠が不明。

4.地上戦闘については、イスラエル軍が強力に北進するか、国際部隊とレバノン軍がレバノン南部を占領しない限り、戦闘は意味がない。

5.ヒズボラへのシリア、イランからの供給ルートを遮断するのは、ある程度効果があるだろうが、小火器などは、主要道路を使わなくてもレバノンに持ち込めるので、万能の対策ではない。

6.国際部隊を投入するという考えは、国際部隊とアメリカが梃入れするレバノン軍が協力してレバノン南部を確保し、ヒズボラを武装解除し、シリアからの武器密輸ルートを遮断できれば、イスラエルとレバノン、さらには地域の安定のために悪いことではない。ただし、国際部隊は恐らくヒズボラの新たな攻撃対象となり、激しい戦闘が起きよう。また国際部隊の中の非イスラム部隊は占領者あるいは十字軍と見なされ、イスラム部隊は裏切り者と見られるというように、問題も多い。
                         
Cordesmanは軍事問題についていつも鋭い批評をする人ですが、今回のイスラエルの軍事行動についてはこのように非常に厳しい評価を下しています。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 13:02 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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