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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米国は中東から離れられない [2012年03月29日(Thu)]
ウォールストリート・ジャーナル3月7日付で米Bard CollegeのWalter Russell Mead教授が、米国でも中東でも、米国は中東から手を引くべきだと言う人は多いが、中東の重要性からいってとてもそういうわけには行かない、と論じています。

すなわち、今中東は大きく揺れているが、中東における米国の利害は単純明快であり、しかも比較的良好な状況にあるという重要な事実が見過ごされがちだ。米国は、@この地域からの石油供給が阻害されないような勢力均衡を保つこと、Aイスラエルの安全を守ること、B中長期的には安定した民主的政権が地域各地に樹立されること、を望んでいる、

しかも、シリアの危機が再び深刻になってきた今、こうした米国の目標は、中東でこれまでにない幅広い支持を得ており、イランの地域覇権への野望を阻止しようと強力な連合が形成されている。米国のイラク進攻を糾弾したフランスやアラブ連盟も、カダフィ打倒は支持したし、トルコと米国の関係も数年前より緊密になった。

他方、米国では、中東などから離れてアジアに集中すべきだと思っている者もいる。しかし、最近の不安定な中東情勢はガソリン価格を直撃し、選挙を控えて有権者の怒りを買っている。さらに高騰すれば、始まったばかりの米国の経済回復は根底から覆されかねない。それに、中東石油への依存を減らしたとしても、石油市場のグローバルな性格を考えると、米国は中東をないがしろにするわけにはいかない。アジア重視に転換するのは容易でも、中東に背を向けるのは容易ではない。結局、米国はアジアと中東の両方に同時に関与していかなければならないというのが現実だ、と言っています。


オバマ政権がアジア復帰を宣言して以来、中東をどうするのかということが潜在的な大問題でした。大中東圏に含まれるアフガニスタンについては、放棄される趨勢はほぼ明らかであり、イラクからの完全撤退も既定方針ですが、イランの核開発と、イスラエルへの脅威を中心とする中東問題から米国が離れられないのは明らかです。

そもそもanti-access、area denial戦略が打ち出された時は、ペルシャ湾への接近阻止と中国周辺海域への接近阻止とが並列して論じられていました。米国のアジア復帰は、中国の勃興を前にしての米国の長期的政策の根幹となる基本方針であり、日本として当然支持すべきものです。他方、イスラエルの存立と、ペルシャ湾の石油へのアクセスの自由の確保は、米国にとって至上命令です。

今後とも、このアジアと中東の二本立てで行くことはほぼ間違いないでしょう。そして中東が本当の危機となれば、軍事予算削減の長期計画自体が見直されなければならないでしょう。

4月2日より下記サイトに移転します。
世界の潮流を読む 岡崎研究所論評集
http://wedge.ismedia.jp/category/okazakiken


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:52 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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