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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米国社会の分裂その3 [2012年03月16日(Fri)]
マレイの著書について、ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、David Brooksは、今年これ以上重要な本はまず出ないだろう、と絶賛しています。そして、マレイの話は、民主・共和両党のイデオロギーと矛盾する、共和党は、退廃的な文化エリートが神と国と伝統価値を愛する一般国民を腐敗させ、国を危うくしていると言っているが、マレイによればそれは間違いで、文化エリートは一般大衆より保守的、伝統的な生活を送っている。また、民主党は社会の資源を貪り食う金融エリートが国を危うくしていると言っているが、それも的はずれで、真の社会的隔たりは、トップの20%と下の30%の間にある。実際は、上流階級の生産性が極めて高く、離婚率が低く、職業倫理が高く、子供を厳しくしつけるのに対し、下流階級は伝統的な市民の規範から離れ、自己を規律し、生産的であることが困難な、混乱した、ポストモダンの地域に住んでいる、と言っています。

このマレイの著書が提起している問題を挙げると:
1)マレイの見方はどれほど米国社会で共有されているか
マレイは基本的に階級を所得でなく知能で分け、高い知能力は高い所得を生む、つまり、統計上、知能力の高い階級と所得の高い階級はほぼ同じだと言っていますが、これはまだマレイ自身も言っているように少数意見でしょう。ただ重要な問題提起をしていることは間違いありません。
2) 白人以外はどうか
マレイの分析の対象は白人ですが、マレイは驚くべきことに、統計に白人以外を含めても結果は変わらず、米国社会の縫い目のほころびは白人に限られていないと述べ、白人の下層階級に、黒人の下層下級と同じような市民生活の崩壊現象が広くみられることを明らかにしています。米国社会の病症はそれだけ深刻だと言わざるを得ません。
3) 中間層はどうなのか
マレイの分析には、保険業者、不動産販売者、人的資源専門家などの中級ホワイトカラー職や、小中高の教師、警官、看護師、エンジニアなどの高度技術職等、米国民の50%を占めるいわゆる中間層が入っていません。人口の半分の中間層に触れないで、米国の社会の崩壊が語れるのかという疑問は生じます。
4) 米国の外交にどのような影響を与えるか
米国の外交には伝統的に勢力均衡の追求と、自由と民主主義の普及の追求という両面があり、冷戦中も、ソ連に対抗するバランス・オブ・パワーの面と、自由、民主義諸国を守ろうとする面がありました。マレイは、自由と民主主義の尊重というアメリカ・モデルは、下層階級では崩壊しつつあるが、上流階級ではそうした事態は起きてないと言っています。外交の担い手が主として上流階級であるとすれば、米国社会に関するマレイの危機感にも関わらず、外交への影響はあまりないと考えてよさそうです。

しかし、直接的にはそうであっても、米国社会が深刻な危機を抱えていること自体、陰に陽に外交にも影響が出てくると考えざるを得ないでしょう。その意味でマレイの提起した問題に、日本人としても関心を持つべきものと思われます。






Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:16 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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