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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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トルコとイランの関係冷却化 [2012年03月09日(Fri)]
ニューヨーク・タイムズ2月14日付で米ワシントン近東政策研究所のSoner Cagaptayが、トルコとイランの仲が冷却化しつつあり、かつてのトルコ、イラン両帝国間の競争のような関係に戻りつつある、と言っています。

すなわち、シリアの民衆蜂起によって、それまで良好な関係にあったトルコとイランは、中東の政治的ベクトルの正反対の極に置かれることになった。民主主義の伝統があるトルコは革命を支持して反政府派に味方し、権威主義のイランはアサド政権の擁護を止めず、アサドの残虐な市民弾圧を支持、そのため、シリア国内の抗争は、トルコとイラン間の代理戦争の様相も呈してきた。勝者はどちらか一方しかなく、今やあらゆることが両国の争いの種になっている、

例えば、今やトルコはシリアの反政府勢力を支援し、匿い、武器も与えていると言われている。それに対し、イランはトルコ政府と対立するクルド勢力PKKへのてこ入れを再開している、

また、両国はもともとイラクでは、イランはシーア派のマリキを、トルコは世俗派のアラウィを支持するというように、対立する陣営を支持してきたが、シリアをめぐる抗争がイラクを巡る争いにも波及、この争いはマリキが選挙を経て政権を樹立して、イランが勝利を収めている、

しかし、イランにとってNATOに軸足を置いたトルコは、10年前の単なる親欧米のトルコよりもはるかに大きな脅威であり、イランは、トルコがNATOのミサイル防衛に協力すれば、攻撃すると脅しをかけている、

このように歴史的背景をもつイランとトルコの対立は、この地域の最古のパワーゲームという「パンドラの箱」を開けてしまった、と言っています。


これは単なる解説記事であり、政策提言はありません。しかし、アサド政権による弾圧で収拾されると予想されたシリア情勢が悪化するにつれて、今まで注目されていなかった様々な要素が表面に出て来るようになりました。
 
かつては、シリアのアサド政権が倒れると、米国にとっても、イスラエルにとっても「予想し難い」事態が出現すると考えられて、そこで判断停止になっていましたが、まだ先行きの見通しは不明ながら、事態の進展につれて色々な可能性が浮上して来ました。

一つ考えられているのは、多数派であるスンニー派によるシリア支配ですが、それが、従来のモスレム同胞団のような反米、反イスラエルではない、穏健スンニー派政権となることが期待されており、そのためにトルコとサウジアラビアの役割が期待されています。
 
勿論、これは米国にとって最善のシナリオですが、そうなると、イランはシリアという拠点を失い、特にレバノンのヒズボラは孤立化して存続できるかどうかの死活問題となって来るので、あらゆる方法でそれを阻止しようとするでしょう。

最悪のシナリオは、シリアで反米・反イスラエル主義が勝ち、それがエジプトの政治にも影響して、エジプト・イスラエル平和協定を中心とする中東の安定を脅かすことです。そうなれば、イランも巻き込んだ第五次中東戦争の危険も出て来ます。

米国の識者はこの最悪のシナリオを怖れて、現状維持を期待していたようですが、最近の情勢はそれを許すかどうか分からなくなって来ています。そうなれば、米国としても、最悪の場合の代案を求めてトルコやサウジの協力を求めざるを得ないでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:38 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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