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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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なぜ中国は民主化するか [2012年03月02日(Fri)]
中国の精華大学リュー準教授らが、経済、政治文化、政治指導部、グローバルな変化の4要因を挙げて、中国がやがて民主化に向かう「蓋然性は極めて高い」と明快に論じています。

すなわち、@経済的発展:経済発展の中段階の国々は民主化しやすい。例えば、民主化に乗り出した1988年当時の韓国や台湾、1989年当時のロシアやハンガリーの一人当たり購買力平価は、今日の中国のそれに極めて近い。また、若年層が高水準の社会福祉を期待するようになっているのに、世銀によれば、中国のジニ係数(貧富の格差を示す)は、2010年に世界で最も高い0.48に達している。以前は、経済発展に伴うある程度やむを得ない現象と見られていた貧富の格差に対し、今では多くの中国人が汚職や不公平なシステムの産物として怒りを抱くようになっている。大学を出ても職がなく、家賃が高い都市ではまともな家に住めない若者が大挙して現れており、将来の政治的動員予備軍が大量に創り出されている、

A政治文化の変化:中国で増えている「集団的抗議活動は」は、ほとんどの場合、地域の具体的な経済的要求に限られており、一般大衆は政治に無関心だ。そうした中で民主化にとって大きな意味を持つのは知識人、学生、中間層だが、インターネットはそうした人々に革命的ともいえる変化をもたらしつつある。ネットを介して率直に話す人々がどんどん増えており、当局もこれを完全に封じ込めることは出来ない。民主主義の実現には時間を要するだろうが、ネット使用者が権威的体制から離れていくのは避けがたい、

B政治指導部:今日、中国のイデオロギーは混乱しており、指導部も決して一枚岩ではない。将来、ある一定の条件下で、指導部が複数の派やグループに分裂し、その過程で民主化という思わぬ方向に進むこともあり得る。過去20年、中国政治は個々の指導者が大きな権力を握らない方向に進んできており、新指導部も弱いものになりそうだ。また、国民レベルで政治の民主化を求める声も強くなっている。これらを考えると、野心家が指導部に挑戦することや、国民の支持を得ようとする論争が新たな権力闘争に結びつくこともあり得る。いずれにしても、指導部はやがて国民の要望に向き合わざるを得なくなるだろう、

C外部からの影響:中国政府は外部からの影響や干渉を拒否する方針をとっているが、「アラブの春」が中東諸国に伝染した例や、民主化に動き出したミャンマーの例を見ても、外部からの影響は軽視できない。また、中国が対外的に開かれ、政治・経済の透明度が高くなっていく中で、専制政治を続けるよりも民主化した方が中国にとって利益になるような事態が生じることも考えられる、と指摘し、

以上の4点から見て、そう遠くない将来、中国における民主化へのモメンタムは強まっていくだろう。既得権益者たちが現在の利益にしがみつくので、民主化への道は容易ではないが、中国は2020年頃には民主化に乗り出すと自分たちは予測している。はっきり言えるのは、根本的な政治の変容はすでに始まっているということだ、と言っています。


この論説は、一つ一つをとってみれば、特に目新しいものではありませんが、中国人研究者が中国の民主化の将来像を語るのは珍しく、そうした角度から見れば、新たな意味を持って来るでしょう。書ける範囲内で書いたものと思われますが、全体として説得力のある議論となっています。

特に、指導部内で対立が生じるような事態になれば、それが、国民レベルの民主化への願望とあいまって、今日の政治体制を大きく変えていく原動力になるかもしれない、という指摘は鋭いものがあります。

なお、民主化へのスケジュールについては、「あまり遠くない将来」ないし「2020年頃」という漠然とした表現になっているのは、彼らの置かれた立場を考えると、やむを得ないものでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:28 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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