CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


プロフィール

特定非営利活動法人 岡崎研究所さんの画像
Google

Web サイト内

カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
△小泉純一郎前首相の医師久松篤子
英米関係は共通の理念に支えられる (10/08) 元進歩派
実績をあげているオバマ外交 (09/21) wholesale handbags
タクシン派のタクシン離れ (07/04) womens wallets
豪の新たな対中認識 (07/04) red bottom shoes
バーレーン情勢 (07/02) neverfull lv
石油価格高騰 (07/02) wholesale handbags
金融危機後の世界 (07/02) handbags sale
米国の対アジア政策のリセット (07/02) neverfull lv
ゲーツのシャングリラ演説 (07/02) handbags sale
パキスタンの核の行方 (07/01)
最新トラックバック
リンク集
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index2_0.xml
米新戦略とオフショア・バランシング [2012年03月01日(Thu)]
米ナショナル・インタレスト誌のウェブサイト1月27日付で、Christopher LayneテキサスA&M大学教授が、オバマ政権が最近明らかにした新国防戦略指針はパックス・アメリカーナの終焉を意味している、と論じています。

すなわち、新国防戦略指針は、@米国が経済的に衰退し、財政難に陥る中で、中国が台頭し、GDPでも間もなく米国を凌駕し、米ドルが準備通貨の地位を失うという予測さえある、A欧米からアジアに富とパワーの移行する中で、中国やインドなどが台頭し、米国一極体制ではなく、多極体制が出てきた、という二つの事態に対応して出てきた、

オバマもパネッタも認めないだろうが、今回の国防戦略指針は、米国の後退への最初の動きであり、そうした中で、米国は、優位性の追求からオフショア・バランス追求へとその戦略を転換すべきだ。つまり、米国の海外プレゼンスを縮小し、欧州やアジアにおける安全保障維持の責任をもっと地域諸国に委ねるようにすべきだ、

オフショア・バランス論の戦略原則は:@欧州、中東の兵力を縮小し、東アジアに軍事力を集中する、A陸軍より海空軍重視、B負担の共有ではなく、負担の移転、C中東から米国の後退はテロの脅威の減少につながると同時に、湾岸の石油の自由航行は海空軍が確保する、Dイラクやアフガニスタンにおけるような国家建設はしない、であり、その内のいくつかは国防戦略指針に反映されている、

しかし国防戦略指針では、米国の経済的衰退が米国の戦略的姿勢を制約することを認める考えと、米国のグローバルな軍事的役割は減らされるべきではないとの考えがせめぎ合っている。また米国の衰退という現実を受け入れたくない人々もいる、

しかし、米国も、強国の衰退というパターンから除外されているわけではなく、中国が最大の経済大国となり、どの国よりも軍事費が多くなる2025年の世界に適合していく必要がある。今後20年の米国の中心テーマは、自らの衰退と中国の台頭になるだろう、と言っています。


この論説は、米国が経済的に衰退していくのに対し、中国はどんどん台頭してくる、米国はその現実を良く見て対応すべきであり、それにはオフショア・バランスをとるしかない、とする米国衰退論です。

しかし、米国の力は第2次大戦に勝利した頃や、冷戦に勝利した頃に比べれば確かに落ちていますが、中国に力で凌駕されるような時代はなかなか来ないのではないかと思われます。例えば、米国には多くの同盟国があるのに対し、中国には北朝鮮しかいなく、この違いだけを考えても、米国とその同盟諸国が政治・軍事的に中国に凌駕されることは当面あり得ないでしょう。

また、経済についても、日米欧はそれぞれ大きな問題を抱えていますが、中国も順風満帆とはとても言えない状況です。今後、人口は減少してくるし、貧富の格差や腐敗など社会的な不公正の問題も深刻になりつつあります。イノベーションも盛んとは言えません。日米欧の下請けとして経済が順調なのであり、日米欧が中間財の輸出を止めれば、中国の成長は止まるでしょう。

レインの説は米国の力を過小評価し、中国の将来の力を過大評価している嫌いがあります。ただこういう論が米国内でかなりあるということは注意しておくべきでしょう。

なお、レインは同盟諸国により多くの負担を移すべきだと言っていますが、これについては、米国内でコンセンサスがあるように思われます。日本としては、米国からそういう要求が出てくることを予想しておくべきでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 18:15 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント