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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米軍備近代化の遅れ [2012年01月24日(Tue)]
ウォールストリート・ジャーナル1月24日付で、米AEIのMackenzie Eaglenが、1990年代に大幅に削減された米国の国防予算は、9.11以降は増額に転じたものの、専らテロ対策に使われ、兵器の近代化は遅れた、その上に今回の国防費削減が実施されると、米軍の兵器体系は老朽化してしまう、と言っています。

すなわち、ソ連邦崩壊以来アメリカの軍事予算は1990年代を通じて大幅にカットされていたが、9.11以降、アフガン及びイラク戦費が増額された。しかし、その増額は、将来へ向けての尖端技術には投資されず、従来技術の改良版にばかり投入された。また兵器の数も減ってきている、

例えば、空軍は当初、F-22を750機希望したが、それは、648、438、339、270と漸減され、遂に187機となってしまった。ヴァージニア級の攻撃潜水艦は、元々、より優れたSeawolf-classの潜水艦の代替だったが、従来の半分しか予算が手当てされていない、と指摘し、

今回の国防予算削減は、「米国の戦闘員に最善の武器を持たせる」という国家の義務を放棄するものだ、と論じています。


米軍事費削減の経緯とそれに対する危惧は、当然と思われます。1991年の冷戦終了後、米国防予算は漸減し、冷戦末期GDPの6%だったのが、2%にまで落ち込みました。そのため軍の士気の低下が著しく、ブッシュ政権では、9.11の前から軍備費増額が論じられていました。ところが、9.11以降は「新しい戦争」論がブームとなり、予算増は対テロ作戦に注入され、通常兵器の近代化は滞ってしまいました。ところが今度は、米国がイラク、アフガン戦争から手を引き、東アジアの中国の脅威に備えなければならない状況になった時に、米国の経済が停滞し、予算削減の時代となりました。

要するに、中国の軍事力増強を前にして、米国は10年間を空費し、その上に、先行きの見通しも立たないのが現状と言えます。

その結果は目に見えています。例えば、東シナ海における日中の軍事バランスは、90年代初めは、自衛隊200機のF-15に対して中国の第四世代機はゼロに近かかったのが、現在は400機近くになろうとしています。その間、日本が第五世代機F-22を導入していれば、今なお優勢を保てたはずです。日本が遅ればせながらF-35導入を決めたことを、米国の軍事専門家が挙って歓迎しているのは、それによるバランスの回復を期待しているからです。

たしかに、中国の軍備力増強の脅威は、まだ20世紀初頭のドイツの軍事力増強ほどのテンポではないようで、米国が現在の経済停滞を脱して、新たな軍拡を行うのを待っても間に合うかもしれません。つまりF-35の配備まで待てるということです。ただ、その間、日本としては、不測の事態に備えて防衛に万全を期すべきでしょう。それには集団的自衛権の行使を含む、日米防衛態勢全体の強化を必要とします。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:42 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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