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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米国経済の大停滞 その3 [2012年01月16日(Mon)]
コーエンはさらに、米国が金融危機を招いた真の原因は、今の米国は「容易に収穫できる果実」に乏しく、国民、特に中流階級の生活水準が本当はそれほど上がっていないのに、実際よりもっと豊かだと考えて自信過剰となり、リスクを取りすぎたためだ、と言っています。

すなわち、金融危機を招いた原因は、われわれが、意識的であるか否かを問わず、3%以上の生産性の上昇があり、それに伴う資産価値があるという前提の上に計画を立ててきたからだ。実際は3%よりはるかに低いのに、3%を前提とした計画を立てれば、早晩危機が訪れる、

ではなぜこんな過ちを犯したのか。1980年代初頭以来、レーガン革命による米国経済の再生、ソ連の崩壊と東欧諸国の民主化、その多くの国のEU参加、中国とインドの経済発展、ラ米諸国の民主化など、米国と世界経済にとって良いことが数多く起こった。そのため、この間、重要な新技術が開発されなかったにもかかわらず、自分たちの強さは不動のものと考えてしまったからだ、

実は、この間も、1980年代初めの貯蓄投資危機、1984年のコンチネンタル・イリノイ銀行の破産、1987年のブラック・マンデー、1980年代末の不動産バブルの崩壊、1994年のメキシコ金融危機、1997-98年のアジア金融危機、1998年のLong-Term Capital Management倒産、2001年のITバブルの崩壊等、悪い出来事もあったが、結果は全体としてそれほど悲劇的ではなく、管理可能だったために、安心してしまい、最後に本当の危機を迎えてしまったのだ、

つまり、危機の本当の原因は、個々の政策の誤りや、サブプライム・ローンではなく、投資家がリスクを取りすぎたことにある。サブプライム・ローン市場も、投機の対象となった絵画の市場も、崩壊した原因は自信過剰にあった、

自信過剰は、レベレッジ(資本に対する貸し出しの比率)が高いときにはさらに大きな問題になる。銀行への打撃が大きかった理由はまさにそれだ。

ところが、ほとんどの国の政府は、不動産や資産価格の上昇に満足してしまった。米国政府などは、本来、巨額の負債を認め、住宅バブルにブレーキをかけるべきだったのに、こうした流れを助長すらした。所得の中央値が伸び悩んでいるとき、手っ取り早く消費を増やすには、負債を増やすか、資産価値を増やせばよく、そうすれば、短期的には生活水準は上がり、人々はより豊かに感じる。これは、時間軸がせいぜい2、4、6年の多くの政治家にとっても好都合だった、

その結果、1993-1997年にはGDPの2.5%〜3.8%だった米国の住宅価格の値上がり額は、2005年にはGDPの11.5%になった。米国の住宅は、政治的に祝福されてわれわれの新しいATMとなったのだ。ただ、それを支える真の富は存在していなかった、

危機脱出は容易ではない。われわれの困難の根源は、収入を創り出す「容易に収穫できる果実」が乏しいことにある。そして、膨れ上がった住宅価格や株価を基に多くの計画を立ててきたわれわれは、実際は自分たちは思っていたより貧しい、という考えにまだ完全には慣れていない、と言っています。


金融危機が起きた原因をずばり説明しています。金融危機がなぜ起きたかについては、サブプライム・ローン、金融機関による過剰レベレッジ、規制・監視の不十分さ等々、これまで様々な分析がされてきましたが、コーエンは、それらの根底に、米国の生産性が低く、本当の豊かさをもたらす「容易に収穫できる果実」がないのに実際より豊かだと考え、自信過剰となってリスクを取りすぎたことがあると言っているわけです。従来の説明がいわば戦術的なものであるのに対し、コーエン説明は戦略的な説明だと言ってもよいでしょう。

問題の本質に鋭くメスを入れた感があります。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:28 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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