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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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イスラエルの「レッドライン」 [2012年01月15日(Sun)]
エルサレム・ポスト1月10日付で、同紙軍事特派員で防衛アナリストのYaakov Katsが、またハアレツのウェブサイト1月15日付で、同紙特派員のAvi Issacharoffと軍事防衛専門家のAmos Harelが、イスラエルと米国の間で、イラン攻撃に踏み切る「レッドライン」に関する考え方に違いが出てきた、と言っています。

すなわち、エルサレム・ポストの論説は、従来、「レッドライン」は、査察官の追放、兵器級ウラン濃縮の開始、核爆弾の製造開始等、イランが核兵器開発の最終段階に来た時だとされてきた。これが明日起きれば、6-18カ月後にイランの核爆弾の製造が完了することになる、

ところが、1月に入って、イランがフォルドウ核施設の稼働を発表したことで、情勢は一変した。同施設は数千の遠心分離機を備え、1-2トンの濃縮ウランを貯蔵出来るほか、地下深くにあって、通常兵器による攻撃に耐える能力があるため、他の施設が破壊されてもフォルドウは残ってしまう。そのため、イスラエルが攻撃計画を早める可能性が出てきた、

対するに、米国は、核兵器の開発能力ではなく、開発が「レッドライン」だとしている、

もっともイスラエルも、フォルドウの稼働だけで攻撃計画を始めるとは言っておらず、おそらく欧米による経済制裁の効果を見極めようとするだろう。また、イランは近く西側と核問題についてトルコで協議することになっており、その前に影響力を高めようとしてフォルドウを稼働させた可能性もある、

問題は、イランが核兵器の製造を始めた時に、米国やイスラエルはそれを知りうるかだ、と言っています。

また、ハアレツの論説も、イスラエルと米国とでは、予測される事態の進行とレッドラインに関して見解の相違がある。イスラエルは、大部分のウランが防御された場所で濃縮されるようになった瞬間、イランは攻撃が効かない次元に行ってしまい、少なくともイスラエルによる軍事攻撃の選択肢はなくなるとしている、

しかし、米国の「レッドライン」はもっと先で、核兵器能力を獲得した時ではなく、実際に核弾頭を作れるようになった時点であり、この線はまだ越されていない、と言っています。


二つの論説で明らかなことは、イスラエル側が核兵器製造能力をイランに持たせないことを重視しているのに対し、米は能力ではなく、核兵器の開発自体をレッドラインと考えているということです。

ただ、イスラエルも、世論はイラン攻撃に踏み切るべきだとの声が強いものの、軍事・安全保障専門家の多くは、攻撃に伴う中東での戦火の拡大や、攻撃しても核開発を止められない(遅らせることはできる)ことを考えれば、単独攻撃は得策ではないと見ています。

確かに、濃縮施設がフォルドウに移ってしまえば、イスラエルには軍事攻撃の選択肢がなくなりますが、限定的攻撃では、イランの核開発を遅らせることはできても、止めることはできないのであれば、攻撃の選択肢がなくなる方がよいのかもしれません。

イランのような国がどうしても核兵器を保有すると決心すれば、北朝鮮の例を見ても、それを止めさせることはほとんどできないと考えるべきでしょう。後は抑止で対応するしかありません。

幸い、イランはまだNPT条約にとどまっており、西側と話し合う姿勢も示しているのであるから、交渉を継続するより手はなく、対話と圧力のバランスを良く考えて対応するしかないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 11:33 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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