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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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サイバー戦能力をめぐる米中パワーバランスの模索 [2012年01月12日(Thu)]
National Interest のウェブサイト1月12日付で、David Gompert米海軍大学教授とPhillip Saunders米国防大学中国軍事問題研究センター長が、中国が開発しているサイバー攻撃能力・衛星破壊能力は核を無能化しうるものであり、これは米国や米国の同盟国に新たな戦略的挑戦を突きつけている、と言っています。

すなわち、@中国が開発しているサイバー攻撃・人工衛星破壊能力は、他国の防衛能力だけでなく経済活動全体を麻痺させ得る、しかもAそうした攻撃は殺傷を伴わず、かつ僅かの費用ですむ、ただし、B中国自身がサイバー・人工衛星攻撃を受ければ多大の被害を蒙ることになる。なぜなら、技術的にサイバー攻撃能力はサイバー防衛能力に勝るので、サイバー能力を開発し、それへの依存が高まるほど自らの脆弱性も増す(パワーのパラドックスが生じる)からだ、と現状を分析し、

それに対し、米国は、@戦略核ミサイルの分野で対中優位を持っているので、これを足掛かりに米中双方が核の先制攻撃やサイバー先制攻撃はしない(第一撃を控える)という合意を結ぶことができよう。その合意は日本、韓国のような同盟国も当然カバーする、また、E中国がこの合意によって、米国からの核攻撃はなくなったと考え、アジア諸国を武力で脅迫することがないよう、通常兵力を増強すべきだ、

以上は中国に不必要に敵対することを意味しない、双方が自分の持つ力に対して責任感をもって臨み、アジア及び世界に害を及ぼさないということだ、と言っています。


ゴンパートは、キッシンジャー長官下の国務省、ランド研究所、AT&T、国家情報局第一副長官を務めた経歴から見て、中国のサイバー戦能力を最も正確に評価できる一人でしょう。その彼がここまで書くということは、中国が仕掛けるサイバー攻撃に対して米国が有効な対抗手段を持っていないことを意味すると思われます。

だとすると、核ミサイルが無力となる(飛翔中の誘導を妨害される)新時代が到来したことになりますが、それにも関わらず、論説は、戦略核分野における対中優位をバックに、サイバー攻撃抑制の合意を中国から引き出そうとしており、矛盾します。

それに、中国政府は縦割りの弊害がひどく、人民解放軍を軍縮・軍備管理の交渉に引き出すのでさえ大変だと思われるのに、担当部署が分散しているだろうサイバー攻撃の問題は、中国政府、まして中国外交部の手には負えないのではないかと思われます。

いずれにしても、サイバー攻撃によって核ミサイルの攻撃力が相対化されてしまうのなら、米国による「核の傘」の有効性も相対化します。元々アジアでは、中国が多量に保有する中距離核ミサイルが優勢であり、これに対して米国は爆撃機、潜水艦搭載ミサイル程度の抑止力しか持っていません。

こうした状況下、日本では日本の核武装、独自の抑止力の整備を求める声が以前より大きくなってきています。しかし、この論説の示唆するところは、サイバー戦能力、人工衛星破壊能力が核を無力化し得るということであり、こちらの方が日本に適した方向ではないかと思われます。サイバー戦に対処する能力の開発を、MDへの利用も考えて強化するべきでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:35 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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