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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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日本の安保政策見直しの時期 [2012年01月04日(Wed)]
ウォールストリート・ジャーナル1月4日付で、同紙コラムニストで米AEI日本研究部長のMichael Auslinが、サイバーテロ対策、武器禁輸緩和、F-35購入決定等、日本が防衛面で新しい動きをしていることを紹介し、日本は「平和憲法」への執着から急カーブを切ったと評価しています。

すなわち、日本では先月、@サイバー攻撃者のコンピューターを無能力化するウィルスの開発、A武器禁輸の緩和、BF-35の購入等を決定するなど、いくつかの動きがあった。これは日本が遂に地域の危険に目覚め、実際に何らかの対処をしようとしていることを示しており、日本は長年の「平和憲法」尊重から急カーブを切ったと言える。

日本政府は長年手を縛られた状態にあったが、中でも悪名の高いのが集団的自衛権不行使の政府解釈で、日米同盟の自然な発達を妨げてきた。しかし、そうした空想的な立場は、米の同盟の傘の下でのみ存続できるものだった。つまり、日米同盟があるが故に、真剣な防衛計画も地域諸国とのパートナー関係も作られなかった。また、経済大国の日本は、それなりに大きな先進的な軍を持っているが、海外派遣の経験はなく、航行の自由や地域安定に大きく依存する国にしては、真のパワー・プロジェクション能力を欠いている、

そうした中、1990年代の終わりには、中国が台頭し、北朝鮮がミサイルを開発するなど、日本の弱い安全保障体制が脅かされるようになったが、日本はミサイル防衛には投資したものの、防衛費は増やしてこなかった、

しかし、その日本も現実に目覚め始めた。日本は財政難の米国が今後も十分な役割を果たすことができるのか、また、外交によって平和を維持できるのか心配している。日本が自己防衛に真剣になり、アジアの安定を目指す自由主義国としてより大きな役割を果たすには、更なる政策上の肉付けがいる。将来的には、集団的自衛権の禁止は再考せざるを得ないだろう、と言っています。


このオースリンの論説は、野田政権がF-35購入を決定し、武器禁輸を緩和して共同生産などを可能にしたことを歓迎し、日本が自らの防衛とアジアの安定維持に真剣になってきていると評価しています。この評価は的を射たものであり、米の識者がこういう評価をしてくれているのは結構なことです。

長い間、日本はアジアで唯一の先進工業国として、産業基盤や科学技術基盤で他を圧倒してきました。そうした時代には、日本が軍事力を自制し、周辺諸国に脅威を与えないことに意味がありましたが、今は中国やロシアの軍拡、北朝鮮の先軍政策などにより、状況が変わってきており、日本が脅威を与えるより、日本が脅威にどう対応するかの問題になってきています。日本はそれを徐々に認識し、対応を始めたということでしょう。

また、オースリンは、次は集団的自衛権問題だと言っていますが、これもその通りでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:15 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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