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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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「アラブの春」が産んだ宗派対立 [2011年12月15日(Thu)]
National Interestのウェブサイト12月15日付けで、テルアビブ大学のYoel GuzanskとBenedetta Bertiが、「アラブの春」による民意の自由化、解放は、むしろ宗派対立を噴出させることとなった、と論じています。

すなわち、元々、中東諸国は多様で異質な民族、宗教、宗派が混在しているが、「アラブの春」はそうした既存の亀裂をかえって深めている。もっとも、その現われ方は、チュニジアやエジプトではイスラム主義と世俗主義の対立の激化、リビアやイエメンでは部族主義に基づく対立、というように国によって違う。中でも、「アラブの春」を方向付ける最も重要な亀裂として浮上してきたのが、シーア派対スンニ派の対立だ、

これは、民衆の抗議運動の漠然とした要求内容、団結力ある市民社会の欠落、明らかに民衆の要求に応えていない政権等が、団結と目標の統一を促す手段として抗議運動がますます宗派的アイデンティティーに頼る状況を作り出しているからだ、

そうした中、シーア派対スンニ派の対立が顕著に現れているのが、シリア、バーレン、サウジアラビアだ。サウジは、シリアの騒擾を、イランの勢力を排除し、スンニ派を強化する機会と捉えている。また、イラクも、米軍の撤退によるイランの影響力の増大を危惧している。特に、もしイランがシリアを失えば、イランは益々イラクに足場を求めようとする可能性がある、

最も危惧されるのは、イラン=イラン支援の過激派連合と、サウジ=トルコのスンニー派連合との対立だ。目下、問題の焦点はシリアであり、アサド政権が倒れれば、シーア派とスンニ派の対立が全中東で燃え上がる可能性がある、と言っています。


これは、イスラエルの政治学者、地域専門家の分析なので、「アラブの春」とアラブの民主化自由化を称えるだけの米国の理想主義的な論説と違い、冷静な地域情勢分析として傾聴に値するものがあるように思われます。

ただ、シリアはそう簡単には崩れないでしょう。アサド政権は、アラウィ派の固い団結力の下に、軍、警察、情報機関が効率的に結束している強固な支配体制であり、今回の「アラブの春」も生き抜くだろうと思われます。

しかし、それだけに、万が一アサド政権が崩壊した場合の影響は、測り知れないものがあるでしょう。特に、最大の反対勢力であり、従来から苛酷な弾圧を受けて来たモスレム同胞団を中心とする勢力が政権を取った場合、それが対イスラエル、対米関係にいかなる影響を及ぼすかは、深刻な問題です。影響がエジプトの政局にまで及べば、エジプト=イスラエル平和協定の継続も危うくなり、第五次中東戦争の可能性も出て来ます。そうなれば、イランの介入、それに対するイスラエルのイラン核施設攻撃もありえ、中東全体が大動乱となる恐れさえあります。

今回のシリアの危機はおそらくそこまでは行かないでしょうが、このイスラエルの専門家の指摘も無視できないものがあると思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:03 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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