CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


プロフィール

特定非営利活動法人 岡崎研究所さんの画像
Google

Web サイト内

カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
△小泉純一郎前首相の医師久松篤子
英米関係は共通の理念に支えられる (10/08) 元進歩派
実績をあげているオバマ外交 (09/21) wholesale handbags
タクシン派のタクシン離れ (07/04) womens wallets
豪の新たな対中認識 (07/04) red bottom shoes
バーレーン情勢 (07/02) neverfull lv
石油価格高騰 (07/02) wholesale handbags
金融危機後の世界 (07/02) handbags sale
米国の対アジア政策のリセット (07/02) neverfull lv
ゲーツのシャングリラ演説 (07/02) handbags sale
パキスタンの核の行方 (07/01)
最新トラックバック
リンク集
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index2_0.xml
米国の対エジプト政策 [2011年11月30日(Wed)]
ニューヨーク・タイムズ11月30日付で、Marc Lynch米ジョージワシントン大学准教授と、米外交問題評議会のSteven A. Cookが、米国はエジプトの軍指導者に対し、表向きは支持しながら、裏では民主化促進の圧力をかけているようだが、エジプトの民衆の目には、米国政府が軍の方の肩を持っているように見えてしまう、米国はもっとはっきりと軍指導者にエジプトの民主化を要求すべきだ、と言っています。

すなわち、現在米国がとっている慎重な態度は、オバマのアラブに対するイメージに打撃を与えている。オバマ政権は、リビアやシリアについては、「指導者は武力によって国民を弾圧してはならない」という原則を打ち立てた。勿論、エジプトの指導者は、カダフィやアサドなどとは違うが、やはりエジプトにも同じ基準を適用すべきだ、

特に、エジプト軍は米国から毎年13億ドルもの援助を受けているのだから、「米国は今の政策は受け入れられない」とはっきり告げるべきだ。そして、軍による民間人の裁判や言論の統制などの廃止を迫り、公平な選挙を期するべきだ、と論じています。


筆者は二人とも、中東問題ではかなりの業績がある中堅の学者のようですが、言っていることは極めて単純な民主主義価値観尊重の説教であり、NYTがこれを取り上げたのはわかる気がします。

しかし、彼らは、今の米国の姿勢は、オバマが就任早々アラブ世界に呼び掛けた「カイロ演説」のイメージに反するとか、リビア、シリアで掲げた政府による民衆弾圧反対の原則を貫ぬけなどと言っていますが、オバマのカイロ演説は、その後特段の進展もなく、リベラル派の記憶にしか残っていない、言いっぱなしになっている演説です。また、アサドの民衆弾圧に対する反対も、言葉だけで何ら実行は伴わず、また、実行する意思も無く、これが米国の原則となったなどとはとても言えない状況です。

ある種の軍の伝統を持っている国、特にトルコ、タイ、また、ある程度まではパキスタンのような国においては、軍の政治的影響力を考慮に入れない政治論は空論になると思われます。また、その国の軍と米国の軍との軍人同士の関係が二国間の重要な安定要因となっている場合も少なくありません。

エジプトに関する米国の国際政治上最大の利害関係は、エジプトがイスラエルとの平和条約を維持して、中東の平和の要であり続けてくれることにあり、それは、軍の発言力が維持される限りは保証されますが、軍の影響力が全く排除されたアラブ・ナショナリズム政権では保証の限りではありません。だからこそ、オバマ政権もエジプトの軍事政権に対する態度には慎重を期しているのであり、ここにあるようなリベラルな学者の意見にそのまま従う訳にはいかないでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:48 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント