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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米国社会の格差 [2011年11月20日(Sun)]
ファイナンシャル・タイムズ11月20付で、Lawrence Summers元財務長官(現在ハーバード大学教授)が、米国で深刻な問題となっている所得格差問題は、脱工業化とグローバル化の結果である面が強く、経済を成長させれば縮まるというものではない、と論じています。

すなわち、現在欧米が直面している経済的困難は、景気循環的なものではなく、景気刺激策によって需要を増やすことで解決できるものではない。農業経済から工業経済への転換と同様、工業経済から脱工業経済への転換は社会に大きな影響を与え、今回の大不況の前から見られた傾向は、景気が回復した後も長く続くだろう、

中でも重大な傾向は、市場が極めて高額の報酬を限られた少数の市民に与えるように変ってしまったことだ。また、過去一世代で、富裕層の平均寿命と一般の人の平均寿命の差がほぼ倍になり、さらに、富裕層の子弟が行く私立校と公立校の間で教育の質の格差も広がっている。そうした中、25〜54歳の男性で働いていない者は、1965年には20人に1人だったが、2010年代の終わりにはおそらく6人に1人になるだろう、

こうなった主たる理由は、おそらく技術の変化とグローバル化に求められる。George Eastmanが写真に革命をもたらした時は、関係した中産階級の多くの者が二世代にわたり繁栄したが、Steve Jobsによるパソコンの革命は、彼自身とアップル社の株主には恩恵を与えたが、中産階級への恩恵は限られていた。これは、@生産の海外移転(アウトソーシング)と、Aソフトウェア産業が労働集約的ではないためだ、

このように状況が大きく変わったので、中産階級の所得の増加を決めるのは経済全体の成長率だ、という議論はもはや正しくない。そこで、貧富の格差の増大に対処する策としては、@富裕層に有利な特別な譲歩をしない、Aより公正かつ成長に資するような税制改正を行なう(富裕層の所得がますます増え、政府の財政赤字がますます増えるときに、不動産税を骨抜きにするのは適当でない)、B最重要分野における公正さを拡大するよう公的部門が図る(授業料の値上げや公立大学の大幅な減少のために、中産階級の子弟の大学進学が危うくなっているのは問題だ)ことが考えられる、と言っています。


所得格差の増大の原因は、経済の脱工業化とグローバル化にあるという指摘は興味深いが、議論を呼ぶところでしょう。ソフトウェア産業は労働集約的でないというのはその通りですが、サービス業では労働集約的なものも多い。

確かに、グローバル化の結果、アウトソーシングが広く行われ、雇用が海外に移転するのは、先進工業国にほぼ共通して見られる現象です。ただ為替レートが関係しているのも事実で、米国は中国の意図的な人民元安政策を米国の雇用を脅かすものとして非難していますし、現在の円の歴史的高騰が日本企業の海外移転を促進している、という事情もあります。

また、論説は、米国の所得格差は簡単には軽減されず、適切な対策を検討する必要があると言っていますが、中でも深刻なのは中産、下層階級の子弟が高等教育を受ける機会の減少でしょう。これは中長期的に所得格差を一層拡大させる方向に働きます。論説も指摘するように、教育という「最も重要な分野における公正さ」の問題に、もっと関心が払われるべきだと思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:03 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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