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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米豪同盟強化 [2011年11月17日(Thu)]
ウォールストリート・ジャーナル11月17日付で豪ロウィ研究所のAndrew Shearerが、オバマが豪州を訪問し、米豪防衛協力が強化されたことを歓迎する、と言っています。

すなわち、オバマ大統領とギラード首相が、豪州における米軍活動の拡大を発表、実質的に米海兵隊がダーウィンに駐留することになった。豪州には、主要貿易相手国の中国に配慮すべしとの批判もあるが、貿易は互恵的なものであり、豪州が嘆願者の立場に立たなければならない理由はない。それに、豪州人の55%は米軍基地を支持している、

米豪協力は、@豪軍が世界一優秀な米軍と訓練・作戦を共にできるようになる、A米軍が北部と北西部の基地と訓練場を利用できるようになるだけでなく、B豪州に戦略的安心感を与え、Cさらに、米軍が東南アジアやインド洋での災害救援などに迅速に対応できるようになり、南シナ海の鎮静化にも役立つ等、多くの意義がある、

特に、豪州の基地は、日本や韓国の米軍基地の代替にはならないが、ペルシャ湾を含むインド洋、西太平洋とインド洋を結ぶ重要シーレーンへのアクセスを提供できるという利点がある、

他方、東南アジア諸国も、昔なら、豪州は米国に接近しすぎだと批判しただろうが、今は豪州に米海兵隊がいることを内心歓迎するだろう。中国は不平を言うだろうが、ここ数年、中国は東アジア諸国の神経を逆なでし、そのことが米国の友好国、同盟国をいっそう米国に近付けさせたのであって、自業自得と言える、と述べ、

今後、地域諸国は、米国の防衛費削減がアジアの安全保障の弱体化につながらないかどうかに注目していくことになろう、と結んでいます。


これは、豪州への米海兵隊基地の実質的設置賛成論であり、中国の軍事的台頭を背景に、豪州の近隣諸国もこれを歓迎していると指摘しているもので、その通りでしょう。

中国外務省は「平和的な発展協力が時代の流れであり、軍事同盟の強化は時代に適合していない」と不満を述べましたが、中国は軍事力をどんどん強化しており、平和的な発展協力路線をとっているとは思われません。

この米豪軍事関係の強化は、日本としても歓迎です。米国の戦略的関心が中東からアジアにシフトしてくるのはよいことで、沖縄の米海兵隊が豪州で訓練する可能性もあり、そうなれば、沖縄の負担軽減にもつながります。

米軍事専門家の中には、オフショア戦略ということで、米軍を中国の接近阻止兵器の届かない所に置き、有事の際はそこから出撃するという考え方と、接近阻止兵器に対抗するエアシーバトル構想で、米軍は接近阻止兵器の射程内にいてそれに対抗するという考え方がありますが、海兵隊の豪州駐留は前者の考え方に基づく面があります。この考え方を推しすすめると、在日米軍基地は中国の接近阻止兵器に対し脆弱なので、縮小すべしということになりますが、これは日本の抑止力を損なうことになります。

オフショア戦略か、エアシーバトルか、は二者択一の問題ではなく、また同盟関係は軍事的合理性のみに基づくものではないので、いずれかのみになるとは思えませんが、米国側にそういう議論があることは、日本としても念頭に置いておく必要があるでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:17 | 豪州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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