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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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西側経済はBRICsを頼るべからず [2011年11月03日(Thu)]
Bloomberg Businessweek11月3日付で、米外交問題評議会のJoshua Kurlantzickが、ユーロ圏経済の立て直しにBRICs諸国の支援を当てにしてはならない、と論じています。

すなわち、西側諸国が苦闘する一方、新興国は活況を呈している。昨年、インドネシア経済は6.1%、トルコは9.2%、インドは8.5%成長した。10月のG-20財相会議では、ブラジルなどが欧州救済のためにIMFへの拠出金の増額を申し出ており、トルコはアラブ世界の自由化にために金を投じ、中国、ロシア、ブラジルは欧州の不良債権の購入を検討している。そうした中で、西側諸国はBRICsや南アフリカ、インドネシアなどからの支援を期待しているようだが、これら新興国はその準備ができていない,

その最大の理由は、経済的指導力には結束と連携を築くことが要求されるが、@新興の大国はかえって互いに離反する傾向にあり、全体としての統一性を欠き、さらに、A長期的経済成長をもたらすような技術革新と競争力を有していないことにある。しかもこれらの国は、それぞれ期待を実現する前に沈没しかねないような多くの大変な国内的問題を抱えている。

また、意見の対立を解消できたとしても、BRICsはグローバル経済の主導権を握るには不適だ。なぜならこれらの国は、他国の国内問題に介入することに反対だからだ。グローバル・コモンズ――ある1国の利益になるだけでなく、世界全体にとっても良い解決策は、結局全ての国に利益をもたらすという考え――を支持することにも熱心ではないだろう。

要するに、BRICsが欧米に代わってグローバル経済の牽引力になるのはほぼ間違いないだろうが、だからと言って、BRICsが他の国々も一緒に連れて行ってくれるわけではないということだ、

結局、中国などの新興大国は、大量の資金があるので、短期的には弱体なユーロ圏諸国に対する投資家の不安を沈静化できるかもしれないが、世界が必要とする長期的な指導力を提供することはできない、

だからこそ、欧米は自国のインフラを再建し、さらなる緊縮財政に走りたい誘惑に耐え、住宅金融や消費者金融への依存を止めて経済のバランスを取り戻すことによって、自国経済を立て直すことが重要なのだ、と論じています。


ユーロ危機は予想された以上に深刻になりつつあります。ユーロが経済的に合理性のある通貨ではなく、EUという政治組織を維持・強化するための政治的通貨であることは元々明らかでしたが、2009年当時はアイルランドやギリシャの「ユーロ離脱」など考えられませんでした。ところが、最近のユーロ圏の動きは、この触れてはならない「公理」自体が揺らいでいる可能性を示し始めたという点で極めて深刻です。

中国など新興国からの支援に期待する声に対しては、今回のG20をめぐる報道でも、それは本来欧州、特にドイツなどが支援すべきものを一時的に外国に頼るに過ぎず、問題の真の解決にはならないとする厳しい批判が一部で出ていましたが、この論説はこれとは全く違う理由から、ギリシャなどユーロ圏経済の救済に新興国からの財政的支援に頼ってはならないと主張する点で興味深いと言えます。中国の動きはあくまで短期的、戦術的に過ぎず、中長期的で戦略的な政策でないと示唆する点は重要です。

残念ながら、ユーロ圏経済の再活性化にはユーロ圏諸国全ての血の滲むような努力が必要であり、こうした努力をせずにギリシャを救おうとしても成功しないでしょうし、まして、次の、恐らくイタリアから発生するだろう危機の処理には全く役に立たないでしょう。EUの苦しみは当分続きそうです。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:21 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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