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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中東をめぐる新たなパワーゲーム [2011年10月20日(Thu)]
ニューヨーク・タイムズ10月20日付で、元NYT記者で現在ボストン大学で教鞭をとるStephen Kinzerが、中東では米国の影響力が縮小し、サウジとイランが影響力を競っているが、地域の民衆はむしろトルコに期待をかけているかもしれない、と観測しています。

すなわち、中東における米国の影響力は、イラク戦争や、ガザ及び西岸におけるイスラエルの政策を支持しているために衰退し、今や、湾岸地域ではイランとサウジが互いを競争相手を見て影響力の行使を争っている。最近、イランがメキシコのギャングを使ってサウジの駐米大使を暗殺させようとした奇妙な事件があったが、これもそうした争いの表れの一つだろう、

しかし、問題は、中東の人々にとって、サウジの体制もイランの体制も魅力がないことだ。また、エジプトは伝統的に指導国の立場にあったが、今後数年は国内問題に縛られて動けないだろう。そうした中で、トルコは敬虔なイスラム教の国でありながら、世俗主義と自由を受け入れ、西側との関係も良いので、一つのモデルになり得る、と論じています。


中東情勢をジャーナリスティックに捉えれば、このような観測も可能でしょう。ただ、キンザーの観測には種々の留保が必要なように思えます

先ず、米国の影響力がイラク介入前より衰退したという判断には疑問があります。確かに、米国はイラン革命政権に敵対していたサダム・フセイン政権をつぶしてしまい、さらに、イラクを米国の同盟国にしてその基地を使用するという構想も、イラク側が米軍兵士に特権免除を与えず、米軍の全面撤退となりそうな現状では成功していません。しかし、反面、イラクは民主体制となり、イラクはアラブの中では比較的米国に好意的な国として残るだろうと思われます。特に、親米的なクルド地域が今後もどの程度まで米国の影響力を受け容れ続けることになるかは、まだ決まっていない問題です。

トルコの影響力が増すことは、クルド問題を除いては、好ましい影響をもたらすように思えますが、トルコが中東の平和維持について頼りになる存在になるとまでは、現時点では予想できません。

ただ、パレスチナ問題に対するイスラエルの硬直した姿勢とそれを米国が支持していることが、米国の影響力低下の原因だという観察はその通りと思われます。

特に、千載一遇のチャンスを失したと思われるのは、パレスチナの自由選挙でハマスが勝った時に、米・イスラエルがこれを認めなかったことでしょう。行政経験のないハマス政権は、外国からの援助の減少もあって、2年もせずに行き詰ったでしょう。そうなれば次の選挙ではファタハが復活すると予想して、選挙結果通りハマスに政権を任せるべきだったと思われます。そうなったところで、イスラエルとハマスとの軍事力バランスを考えれば、イスラエルの安全が脅かされる恐れはなかったでしょう。

なお、これは今後エジプトでも大きな問題となるでしょう。エジプトが民主主義になれば、長期的には親米保守政権と反米アラブ・ナショナリズム政権との交代は必至と覚悟すべきであり、その場合は、エジプト=イスラエル平和条約の存続も問題となる可能性があります。これは、ハマスの一時的勝利よりも遥かに大きな国際政治上のインパクトがあるでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:45 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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