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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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ユーロ危機 @独憲法裁判所の判決 [2011年09月13日(Tue)]
ファイナンシャル・タイムズ9月12日付で、同紙コラムニストのWolfgang Munchauが、先週、ドイツ憲法裁判所が欧州金融安定基金(EFSF)への拠出は違憲ではないとする判決を下したが、判決は一方で、これまでに決定された範囲を超える政策を禁じており、そのため、ユーロが存続できるとは思えない、と言っています。

すなわち、今回のドイツ憲法裁判所の判決は、一見ユーロにとって朗報のように思われるが、これまでに決定された範囲を超える政策を禁じたということは、欧州安定メカニズムや欧州債を違憲とみなしたに等しい、

判決は、ドイツ政府は一時的なものであるEFSFは容認できるが、永久的な枠組みを受け入れられないとし、その基準を、@他国への永久的な負債、A非常に大きいか計算不可能な負債、B外国政府の行動が保障の支払いを起動する場合、としている、

EFSFの後継機関として2013年の創設が決まっている欧州安定メカニズムは永久的なものであり、上記の条件にほぼあてはまる、

また、EUが財政連合を設立したとしても、ドイツがそれに加わるには国民投票が必要になるが、それはドイツが主権を放棄し、EUに主権を移すことを問うことになるので、とてもドイツ人に受け入れられるとは思えない。つまり、ユーロ圏内にいかなる財政空間を設立しようとしても、それは意味がないか、ドイツの憲法に反することになる、

そこで、ユーロ圏崩壊を防ぐために残された唯一の手段は、欧州中央銀行ということになるが、それも様々な理由から上手く行かないだろう、と言っています。


ギリシャのデフォルトの可能性が市場を脅かしていますが、とうとう先週あたりから、多額のギリシャ債務を抱えるフランスの銀行に対しても不安が広がり始め、フランスでも短期ドル資金の調達に苦しむ銀行や格付けを下げられる銀行が出てきました。

こうした事態の拡大を防ぐには、財政政策を共有するための財政連合が必要であり、市場の信頼を取り戻し、窮地に陥った国々に安定した資金を提供するにも、ユーロ債の発行が唯一の手段とみられています。ところが、ドイツ市民はユーロ債に猛反対、最近では欧州統合深化を信じてきたエリートの間でも反対派が増えています。その上、ユーロ債が明らかに違憲ということになれば、ドイツが加わってのユーロ債はあり得なくなります。一方、仏銀が資金繰り難に陥り、国家支援を求めれば、フランスの格付けもおそらく下がるでしょう。そうなると、加盟国の内6カ国の最高格付けに支えられているEFSFの格付けも下がることになります。

新たな救済策やユーロ債に反対する国民を引っ張れないメルケル独首相が非難の的になりがちですが、救済資金を増やしたり、ユーロ債を発行することは、結局はドイツにかかる負担を増やす一方、いくらギリシャを支援しても、その多くは無駄に使われ、ギリシャが財政を安定させられる見通しはありません。第二次世界大戦の経験から、大きな権限を持たされているドイツ憲法裁判所もメルケル首相を縛っています。

ギリシャのデフォルトは、「もしかして」の段階を過ぎ、「いつ」というところに来ています。また、ユーロも、少なくともこのままの形ではもたないというのもコンセンサスになりつつあります。財政連合やユーロ債に最後の望みがかかっていますが、ミュンチャウが指摘する通りなら、それが実現する望みはないということになります。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:33 | 欧州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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