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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中国への適切な対応 [2011年08月26日(Fri)]
米国の論壇サイト、Project Syndicate 8月26日付で、豪州のGareth Evans元外相(現在は豪州国立大学学長)が、米国の対中優位が後退する中で、米国の同盟国である豪州、日本、韓国等は何をすべきか、を論じています。

すなわち、世界一の経済大国になる日も近いと思われる中国が、西太平洋における米軍の支配に反発を強める中、韓国から豪州に至る中堅国は、経済的には中国に依存する一方、軍事的には米国に依存するねじれ状態にある。米中が武力対決に至ったら、これらの国はどうすればよいのか、

中国は力と明確な目的意識を持つ相手は尊敬するので、中堅諸国は中国に対し、一団となって、@核抑止能力と大海軍を擁したい中国の気持ちは理解するし、台湾に対して強い国民的感情を持っているのもわかる、しかし、A軍備に透明性がなければ、理解にも限度がある。中国の核能力の増強は地域諸国の軍備増強を誘発し、地域の安定を害する、また、C中国が(台湾を含めて)領土要求を武力で通そうとすれば、地域で信用を決定的に失うことになる、領土や主権紛争は理想的には国際司法裁判所で扱われるべきだし、それが駄目なら凍結し、資源共同開発等の平和的解決を図るべきだ、さらに、B地域諸国と米国との同盟関係はこれからも不変だ、ということを伝えるべきだ、

また、米国には、「絶対的な軍事的優位を求めようとすると、かえって安定が阻害される。通常兵力面ではもっとバランスがあってよい」ということを伝えたい、と述べ、

かつてクリントン大統領も、「米国はその圧倒的な力で、世界の頂点に居座り続けることはできるが、もっと良いのは、その力を使って、米国がもはや世界の頂点ではなくなった時にも平穏に生きていけるような世界を今作っておくことだ」と言った、と指摘しています。


豪州の識者は先を見通そうとすることに熱心であり、先走り過ぎるほどの提言を行って、自国の意義を高めようとすることがあります。エヴァンス元外相のこの論説も、「米国は下降し、中国が上昇する」という、最近お決まりのパターンの言説の有効性をよく吟味せず、拙速ぎみの議論を展開しています。

そこで、「米国は下降、中国は上昇」を吟味してみると:
@現在の米国経済の状況は、貿易・財政赤字の削減のために欧州、アジアにおける米軍のプレゼンスが大幅に縮小され、経済面ではスタグフレーションが進行した、ベトナム戦争後の1970年代の状況に似ている
Aしかし、米国は、生産技術、企業家精神、勤労精神を有し、人口や需要が常に増加するという、基本的に強力な経済基盤を有している。金融業への過度の依存を脱し、財・サービスの生産を促進すれば、スタグフレーションを脱することができる。問題は、議会が共和党優位の中でオバマ政権がどこまで実行するかだろう
B他方、中国経済の実力は、○官僚達が出世のために経済実績を誇張して報告する、○粗悪な製品や財テク用高級マンション等、生活水準向上につながらないものがGDP統計に入っている、○経済成長の殆どが貿易黒字と建設によるものなので、米国経済が後退すれば中国経済も後退する。無理に内需拡大で対処しようとすれば、今回のようにインフレを生む、○C政府・党による企業管理が強すぎて効率を阻害している等々ため、見かけよりもかなり割り引いて考える必要がある、ということが言えるでしょう。

従って、西側が中国経済の可能性を囃したて過ぎて、中国が自らの実力を過大評価し、外部に対して強圧的になるだけなら、いずれ中国が躓くだけですが、西側も中国の実力を過大評価して一人相撲を取り、自らを不利な立場に追い込むようなことは避けるべきでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:00 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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