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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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リビアの教訓と今後の課題 [2011年08月23日(Tue)]
8月22日、23日の米各紙社説は、米国の対リビア政策について、今までとかくの議論はあったが、結果として正しかった、と評価しています。

すなわち、ニューヨーク・タイムズは、反乱側がもっと外部の援助を必要とした時はあったが、オバマが欧州主導に任せたのは正しい決定だった、と言っています。理由は説明していませんが、それでうまく行ったのだから、結果としてオバマのしたことは正しかった、という趣旨でしょう。

ウォールストリート・ジャーナルは、米兵が一人も死んでいない勝利だが、米国の空軍力と情報力無しではこの勝利は無かっただろう。また、英仏やカタールまでが参加した戦争への参加を躊躇したのは、恥ずかしいことだったが、米国は当初のベンガジの虐殺の回避にも貢献している。米国の軍事力は伸びきっていて、全ての内戦に介入するわけにはいかないが、今回のリビアは、正しい理由の下の可能な方法による米国の参加は、事態に影響を与え得ることを示している、と論じています。

ワシントン・ポストは、カダフィ政権の崩壊は、中途半端なものであっても米国の介入が事態の成り行きに大きな影響を与えることを示している。勿論、リビアは米国の重要な国益とは無関係で、カダフィ政権が続いても困りはしなかったが、リビアが民主化すれば、民主化途上のエジプト、チュニジア始め、中東の民主主義に大きな影響を与えることになるだろう。また部分的にでも介入したため、米国がリビアの新政権に対しても影響力を持ち得ることになったのはプラスだ、と言っています。

ロサンジェルス・タイムズは、オバマ政権は、リビアについては、圧政を見過ごすことと、米国人の血を流して自由を守るという選択肢がある中、その中間を選んで成功した。ただ、リビアで成功したのは、リビア政権に基本的な弱みがあったからであり、同じ方式を、強力な国内治安能力を持っているシリアに適用するわけにはいかない、と論じています。


各紙共、リビア情勢の今後の展望と望まれる政策、報復の自制、治安維持等について一応は論じていますが、未知の要素が多すぎて、いずれも原則論の域を出ていません。一つ面白いのは、リビア情勢がこれでのところ、米国の希望する結果になっていることであり、それに至る米国の政策は良かったのか、良かったとすればそれは今後の指針となるかどうかが議論されていることです。

実際は、今回の決着は、長期戦に堪え得ない今の米国にとっては望外の成功だったと言っても良いでしょう。特に、当初ベンガジの虐殺を避けるために空軍の介入を決定したのは正しい判断だったと思われます。一木一草なく、雲もない砂漠の戦闘で制空権を持つことは、ベンガジへのカダフィ地上部隊の侵入を防ぐ最善の方法でした。その後、地上戦闘に介入する余力のない米国は、NATOと成り行きとに任せて事態を見守るしかありませんでした。そして、NATOが地上軍を派遣しない以上、はかばかしい進展は期待できず、膠着状況が長く続くと思われましたが、経済封鎖を受けた政府側がじり貧となり、意外に早く崩壊が訪れました。

今から思えば、反乱側はNATOの保護があるので、何時かは勝つ状況にあり、早かれ遅かれ今回のような決着を迎えたでしょう。

オバマ政権としては、それ以外に選択はなかったわけですが、結果としては成功でした。それをオバマの功に帰するかどうかは米国の政治の問題であり、日本としては、良かった、ということでしょう。なお、リビアは人口が少ない割に資源が豊富であり、経済面で恵まれている点は有利な要素と言えます。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:44 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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