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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米国防予算削減をめぐる議論 [2011年08月05日(Fri)]
ワシントン・ポスト8月4日付けでNewsweek国際版編集長のFareed Zakariaが軍事費削減論を述べたのに対し、米ブルッキングス研究所のMichael E. O'Hanlonは、国防費には最低必要なものがあると説き、中国やイランなどの新たな脅威に対抗できる軍事態勢の必要を指摘しています。

すなわち、ザカリアは、今回の防衛費削減は防衛費偏重を見直す良い機会になる。米国の防衛予算は、過去10年間に大きな敵もいないのに、世界全体の国防予算の3分の1から半分にまで増えた、
 
防衛費削減は、朝鮮戦争後の27%削減、ベトナム戦争後の29%削減、さらに、冷戦後の削減というように、前例があり、今回の削減も、米国の国防を脅かすことは無いだろう、

削減に反対する人々は、一度防衛費の中身を見るとよい。それは世界最大の社会主義経済とも言うべき、揺りかごから墓場までの軍人の社会保障システムだ。それに較べて外交の経費は貧弱であり、そのために、問題をすべて軍事的に見るようになってしまっている、と言っています。 

他方、オハンロンは、ザカリアは、何とか堪えられる$350 〜$500 billion の削減と、$1,000 billionに及ぶ削減の違いをはっきりさせない大雑把な議論をしているが、この数字の違いには大きな戦略的意味がある、

確かに、この10年で防衛費は4千億ドルから7千億ドルに増えたが、それは軍産共同体の暴走の結果ではない。増加分の内、2千億ドルはアフガン、イラク戦費であり、残りの1千億ドルには、戦争のために尽くした軍人のための経費が含まれている。これは、志願制の軍隊で戦う民主主義国として道徳的、戦略的に正しいことだ、

また、その中の750億ドルは、冷戦終了後の調達停止で老朽化した機材の補強費であり、誰もそれを過大だったと思っていない、

さらに、こうして詰めて行くと、現状ではあと500億ドルほど削減できそうにも思えるが、イランと中国の軍事能力の増大を考えると、米国としては将来の危機を抑止できるだけの軍事力を持つべきだろう、

米国が軍事に金を費うのは悪いことではない。米国の軍事力のにらみが効いているからこそ、中東の石油が順調に供給され、中国も平和的興隆を目指すのだ。経費の節約と有効利用は当然だが、米国の軍事的優越は維持されるべきだ、と論じています。


いつもながら、ザカリアの議論は、長期的な統計の上に立った歴史的ビジョンであり、オハンロンの議論は現実に即しています。

経費の計算は、今後のアフガン、イラクの経費の削減がどうなるかわかない現段階では、詳しい数字は出てきませんが、オハンロンが言うように、志願兵軍隊の献身に対する十分な報償と、冷戦終了後の新規武器調達の停止による機材の老朽化の更新は、必要でしょう。また、将来の中国対策、イラン対策として、500億ドルの余裕を持ちたいという願望は、日本としても、是非そうして欲しいところです。

武器の老朽化は日本にも共通する問題です。日本は、1990年代半ばには、通常戦力では世界第二位の近代海空軍力を誇りましたが、その後防衛力は長期的に漸減、その間、中国の軍事力は飛躍的な増大を遂げ、90年代半ばには日本が圧倒的優勢を誇った東シナ海の海空バランスは、今や逆転しつつあります。

この東アジアのバランスを、日米共同の努力で回復することは、今後の日米協力体制の中心的課題であり、そのためには、日米双方とも防衛体制の充実を図るべきです。

しかし、米国は、2001年のブッシュ政権の成立後、兵力近代化を再開しましたが、今回はその継続が危ぶまれており、日本は、米国に数年遅れて90年代前半に近代装備を完成させたものの、その後は更新せず、老朽化するに任せてきました。日米両国共、今後一層の努力が必要です。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:39 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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