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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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歳出削減による米国の文民能力低下の懸念 [2011年07月30日(Sat)]
ワシントン・ポスト7月30日で、Daniel Serwer米ジョンズ・ホプキンス大学教授が、米国の歳出削減について、軍事以外の対外予算は削るべきではない、と論じています。

すなわち、米国人の半数は、連邦予算の4分の1が対外援助に使われており、10%に減らすべきだと思っているが、実際は、対外援助費は現在既に1%でしかない、

ところが、議会はそれをさらに削減すべく、政府が提案した2012年度予算の「国際関係支出」額を43%も減らそうとしている。しかし、これで節約されるのは270億ドルに過ぎない。他方、防衛予算については僅か3.5%の削減が提案されているが、それでも260億ドルの節約になる、

米国の安全保障への脅威の性質を考えると、これは賢いやり方ではない。現在、米国が直面しているのは、テロ、宗教的過激派、麻薬取引、核拡散、大規模伝染病など非通常型脅威であり、過去22年間に米国が外国軍を相手に通常の戦争を戦ったのはたった2回だ、

非通常型脅威は、アフガニスタン、イエメン、パキスタンの部族地帯、ナイジェリアの産油デルタ地帯、メキシコ北部など、統治が上手く行っていない国が発生源であり、こうした脅威には、無人機や海軍による対処では満足のいく成果は挙げられない。つまり、兵力は部分的な解決策でしかない、

このことを良く知っている国防省は、文民省庁の予算拡大も支持するし、軍にも経済開発などの文民的仕事をさせている。しかし、米軍の能力が高くても、文民的な仕事に軍を使えば、より多くの資金を使ってより少ない結果しか得られないのは必至だ、

米国の安全保障を守る経済的な方法は、問題を予見し、その拡大を防ぐことだ。米国は戦争が物事を複雑にしてしまう前に行動すべきであり、そのためには、文民的能力をぎりぎりまで削るのではなく、強化する必要がある。しかし、この20年間の経験にも関わらず、弱体な政府を防衛し、法執行面などで役に立つ訓練された文民の数は少ない。今後はより多くの文民の専門家や能力が必要になるのであり、議会や政府がそれを認識して対応することを願いたい、と言っています。


サーワー教授はよい指摘をしています。米国の予算が逼迫する中で、政府開発援助予算に大鉈を振るおうとする動きがありますが、現在増えているいわゆる非通常型の脅威に対しては、政府開発援助等の文民的対応が、少ない予算でより大きな効果を挙げることができる、というのはその通りでしょう。軍は自己完結的に動くのが原則なので、ちょっとしたことをやるのにも大掛かりになり、金の無駄遣いになります。

ただ、米国が直面する主たる脅威は非通常型の脅威だ、というサーワー教授の情勢認識には賛成できません。アジアには、中国の海洋進出、北朝鮮の挑発行為、ロシアの軍拡など、通常のパワー・バランスや脅威の問題があります。米軍がそれ相応の能力を持ってアジアに存在することは、アジアの安定にとって極めて重要であり、テロや破綻国家のみに焦点をおいて、米国への脅威を考えることには同意できません、

財政状況がますます厳しくなる中で、米国がどのような選択をするかは難しい問題ですが、日本としては防衛についての自助努力を強化しつつ、アジア情勢に対処する米軍の能力が減退しないよう働きかけることが重要でしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:42 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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