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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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革命後のエジプト [2011年07月21日(Thu)]
ワシントン・ポスト7月21日付とファイナンシャル・タイムズ17日付の社説がエジプト情勢について論じています。

WPは、革命後のエジプトは、経済が瀕死状況で、ストや抗議が頻発、また、9日には、軍は革命を裏切っているとする抗議者と政権側が衝突している、

しかし、良く見ると、エジプトは混乱しつつも着実により自由な国に向かっている。先週は権力を乱用したとして数百人の警察官が解雇され、今週の内閣改造では世俗的リベラルが登用され、議会選挙も、民主派に政党づくりの時間を与えるために9月から11月に延期された。また、軍は基本的自由を保護するために新憲法に関する「原則宣言」を出すと言っている、

勿論、エジプトの民主主義への移行が確実になったとか、米国などの役割はなくなったということではない。エジプト軍は統治責任を譲るつもりだが、経済面を含めて特権は保持し、イスラム系政党が権力の座につくことも阻止したいと思っている。この点では、軍に将来の政権に対する拒否権を持たせない、としている民主派を米国は支持すべきだ。また、米欧はシャラフ内閣に経済改善に努力するよう圧力をかけ、IMFや世銀の借款拒否や補助金政策を止めさせ、市場経済を推進するように求めるべきだ。そして米国はエジプトと自由貿易協定を締結すべきだ、と述べ、

エジプトは今後何ヶ月も何年も無秩序に見えるだろうが、民主主義国となるチャンスはまだある、と締めくくっています。

FTは、タハリール広場の抗議者たちは過去の不正の是正が遅いことに不満を持ち、軍が自分の利益を図っていると疑っているが、暫定政府もこうした懸念に応えようとしている。シャラフ首相は旧体制に近い閣僚を罷免する内閣改造を行い、拷問に関わった者などを解雇し、内務省の改革も約束した。軍もムバラク時代の上級幹部の刑事訴追を迅速化した方がよい、

問題は、エジプトのリベラル派が、過去の不正の是正と将来をどうバランスさせるかだ。まだバラバラなリベラル派政党は選挙への準備をし、少数派の権利保護や司法の独立も含めて、憲法起草を指導する原則に焦点を当て、不自由なイスラム国家の成立を防止すべきだ、と言っています。


両社説はエジプトの現状を踏まえつつ、エジプトの民主化実現への楽観を表明していますが、エジプトは混乱しつつも民主化に向かっているとのWPの評価は大筋で正しいと言えるでしょう。新憲法の採択は既定路線であるし、その中に基本的人権の尊重規定がおかれる事も確実と思われます。

アラブ世界においてソフト・パワー面でもハード・パワー面でも圧倒的な存在を占めるエジプトの民主化は、じわじわと他のアラブ諸国にも影響を与えていくでしょう。

憲法については、@国家と世俗性、つまり国家とイスラムとの関係をどう規定するか、また、A軍の位置づけ、つまり、国家の安全を守る機構として特別の地位を与えるのか、さらに、国家の世俗性の保障者とするか、という問題があります。この二つの問題は、イスラム教国家特有の大変難しい問題です。

FTの社説は、イスラム国家否定論を言っていますが、イスラム国家自体が民主主義とは相容れない、という考えは、キリスト教徒の偏見と思われます。イスラムは人間平等、博愛の精神を有し、民主主義と親和的な面もあり、イスラム過激派やイスラム原理主義者のイスラム解釈を前提にイスラム国家を否定することはありません。国民の多数が望めば、シャリア法の適用も排除することはないでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:26 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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