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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米中相互不信 [2011年07月14日(Thu)]
ウォールストリート・ジャーナル7月14日付で、米AEIのMichael Auslinが、中国の台頭により、ワシントンが現実的なアプローチを取り始めたのは肯定すべき動きだ、と論じています。

すなわち、米中の間では軍事交流が停止と再開を繰り返してきたが、米中間には継続的で深い相互不信があることを受け入れる時に来ている。軍事交流への期待を減らすことが、より成熟した米中関係と米国の利益をどう守るかの真剣な議論につながる、

米中間の軍事交流が駄目になった契機は色々あるが、主たる問題は台湾だ。先月オバマ政権が台湾への武器供与への反対を明らかにして、マレン統合参謀本部議長の訪中が実現した。ところが、マレン訪中の際に南シナ海問題が浮上、中国は米国とフィリピン、ベトナムなどとの合同軍事演習を批判し、米国の軍事費を減らすべきだと言った。一方、マレンは、米中が共通の目標のために協働すべきだと繰り返したが、スーダン、北朝鮮、ビルマ、イラン、台湾、海洋権益等で米中共通の立場はできていない、

米中間の協調が欠如する理由は簡単で、米中はアジアやさらに世界で影響力と力を競うライバル同士だからだ。米国が中国に対しより現実的に対応し始めているのは歓迎すべきことであり、米国は中国の行動が不安定化を招いていることを中国にはっきり伝える必要がある。また、安定への最大の危険は誤算から生じるので、何が紛争につながるかを明らかにするために、レッド・ラインはどこかを公に論じるべきだ、

中国がその主張を変える見込みはないが、米国がアジアでの前方展開や米大陸から遠く離れたところでの作戦能力を強化し、アジアの同盟国の自己防衛努力に協力することで、中国の行動を変えさせることは可能だ。またこれが、中国を責任ある国として行動させ、米中関係をバランスのとれた関係にもって行く最善の策だ、と言っています。


このオースリンの論はもっともと思われます。大雑把に言って、米国には中国の台頭に対しこちらも対抗してバランスを取っていくHEDGE論と、中国の台頭に適応していくACCOMMODATE論の二つがあり、オースリンの論は前者の立場に立つものです。また、それが、中国の野心を牽制し、アジアの安定につながると思われます。

現在の米中関係(日中関係も)は、冷戦中の対ソ連戦略での協調・協力関係として始まっており、そうしたいきさつと、さらに、相互依存の米中経済関係が出来ていることを反映して、今なお、協調、協力をベースにした米中関係がありうるかのような考え方があります。キッシンジャーなどはその典型です。

しかし、国際情勢は冷戦時代とは様変わりし、中国は自己の利益を大胆に追求する国になっています。特に、人民解放軍は、アジアの米軍を中国の発展に対する障害と見ていると断定してよいのではないかと思われます。日米安保についても、中国の姿勢は評価から嫌悪に変わっています。

米中の利害は衝突していること、それは対話や相互理解増進で解決できるような問題ではないことを認識することが重要であり、これは日中関係についても同じです。また、中国は民族主義的勃興期にあることも認識すべきでしょう。

戦略的互恵関係という言葉に惑わされず、長期的かつ戦略的な思考をベースに、中国の行動を良く見て、是々非々で時には強く対応していくことが必要です。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 13:36 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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