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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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ドイツの成功に学ぶ [2011年07月13日(Wed)]
Foreign Affairs7月号で、Steven Rattner米財務長官付顧問が、ドイツ経済は、オバマが目指している失業率の削減でも輸出の増大でも米国を凌いでいるが、その秘密は、シュレーダー以来の経済政策、高品質物づくりの中小企業の存在、そしてユーロにあり、米国もドイツの成功モデルを見習って技術訓練計画を推進すべきだ、と言っています。

すなわち、ドイツ経済が成功したのは、シュレーダー政権が2005年に策定したAgenda2010による、労働時間の削減と雇用が増大などの政策が功を奏したこともあるが、重要なのは、Mittelstandと呼ばれる物づくりの中小企業の存在だ。Mittelstandは、機械の部品のそのまた部品や、高品質のブランド製品を製造し、何百万人も雇用している。また、ドイツ人によれば、Mittelstandは個人企業なので、短期的利潤よりも企業の長期的成長の方に関心がある、

また、1999年のユーロ導入もドイツ産業の利益になっている。ドイツの輸出入余剰の80%はEUから来ている。EUが南欧の弱い経済を抱えているため、ユーロは弱く、逆にドイツがユーロから離脱すれば、ドイツの通貨は直ちに30−40%値上がりするだろうと言われている。ユーロの弱さのドイツ経済に対する景気刺激効果は非常に大きく、今やドイツはインフレを心配するほどだ、

米国も、グーグルやフェイスブック、その他、技術や金融について競争力を持っており、高度の技術者を養成する計画に重点を置くべきだ。オバマは輸出の倍増を言っているが、ドイツの例から学ぶことは多々ある、と言っています。


物づくりの中小企業を持つ強さの描写などを読んでいると、まるで日本のことを言っているのではないかという錯覚を覚えるほどですが、その分析を日本の場合と比較すると、最大の違いは為替にあるようです。もし円が30−40%下落して、1ドル110円程度で安定していたら、自動車などの日本の主要輸出産業や日本経済はどうなっていただろうか、と想像するだけで十分です。また、もし日本と韓国がユーロのような共通通貨の下で競争していれば、日本の立場はずいぶん有利であったことも想像に余りあります。

さらに、この論説から感得できるのは、長期の経済停滞を憂慮する米国もまた、技術教育など、政府主導の産業政策の必要を感じ始めていることです。日本は1990年頃の日米経済摩擦によって、日本経済の体質改革を迫る米国の要求を大幅に受け入れ、政府による介入の余地を局限し、企業の長期的利益よりも、株主の利益を優先する体制に変えようとしましたが、それは、論説も言っているように、物づくりの中小企業にはそぐわない体制のように思われます。

また、世界中がそうした自由な体制ならば、それはそれで公正な競争でしょうが、重商主義の権化のような中国や韓国を相手にし、さらに、米国自身も政府による産業振興を考え始めていることを考えれば、日本もまた総合的な産業政策を持って良いのではないかと思われます。今回の震災によって必要となったエネルギー産業の抜本的改革などは、その契機となり得るかもしれません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:59 | 欧州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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