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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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東日本大震災レビュー [2011年05月26日(Thu)]
ヘリテージ財団が、東日本大震災への日本の対応について、@準備と対応、Aリスクの伝達、B国際的支援、C重要なインフラの4つの側面をレビューし、それらは米国にとって重要な教訓だとする報告書を発表しています。要旨は以下の通り。

@ 準備と対応
日本は大規模な対応を迅速に行い、また、「準備の文化」も示した。つまり、阪神淡路大震等の教訓を生かし、日本政府が台風、豪雨、豪雪、津波、洪水などの警報システムを全土に張り巡らすなど、災害対策の準備に力を入れていたことが成果を生んだ。その上、大地震後、日本国民は素晴らしい粘り強さと規律を示し、暴動や大規模な混乱は報道されなかった。米国も、米国なりの「準備の文化」を育てる必要がある。

A リスクの伝達
日本政府が福島原発の状況について満足できる情報を提供できなかったことが、国民の恐れと不安感を高め、世界中で憶測や誤報を招いた。もっとも、市民にリスクを知らせるには「ソフトな手段」が必要だが、反面、これは噂や誤報をすばやく広げる可能性もある。特に、低レベル放射能のリスクを伝えることは難しい。元々、災害の際、技術的情報を伝達するのは難しく、特に、政府と民間企業が情報伝達の責任を共有する場合には、目的が競合する、観点や技術・知識水準が異なる、法的責任が異なる等で、極めて難しい。

さらに、低レベル放射能の効果についての科学が極めて論争を呼ぶものであることが混乱を増幅させた。現在の基準が放射能の危険を過大視していることを示唆する科学的証拠もあるが、危機の中で、これを説明するのは困難だ。米国は低レベル放射能に関する情報伝達を強化すべきだ。

B 国際支援
大災害に際して外国の支援を受け入れるのは、日米のような先進国にとって複雑で困難な仕事だ。外国の援助受け入れについて、援助物資の搬送が混乱したり遅れたりするなど、日本政府の対応には問題もあった。その中で米軍と自衛隊の軍事協力は特に有効だった。

C 重要なインフラ
今回の大震災で宮城県などは重要なインフラが壊滅的被害を蒙ったが、電力の喪失が状況をさらに悪化させた。重要なインフラの回復が災害への対応に重要な影響を与える。米国は、最も重要なインフラである米=カナダ電力網重視の政策を維持することが不可欠だ。


大震災から3ヶ月もたたない時点で、取りあえずのものとはいえ、大震災に対する日本の対応についてこうした包括的なレビューが行われたのは驚きであり、さすが米国のシンクタンクだと思わせられます。日本でもいずれ政府と民間の対応についてレビューが行われるでしょうが、その際、政府だけでなく、民間によるレビューも行われるべきでしょう。

報告書で目を引くのは、日本は大規模な対応を迅速に行ったと評価していることです。原発事故に対する対応が困難を極めていることから、日本ではこうした評価は出にくい面がありますが、外国から見れば、日本の対応は積極的に評価すべき点があるということでしょう。

また、日本の「準備の文化」も指摘しています。これは日本のように天災の多い国としては当然のことですが、そうではない国から見れば新鮮に感じられるのでしょう。今回の大災害に際して日本人が見せた規律に多くの外国メディアが驚嘆し、賞賛したのは周知のところです。

他方、報告書は日本政府が福島原発について満足できる情報を提供しなかったと批判しています。「リスクの伝達」は今回の危機への政府の対応で最も問題とされるところです。情報が完全でなくても、早く知らせることが肝心だという指摘もあり、これは日本の泣き所と言えます。

さらに、「リスクの伝達」の中でも、低レベル放射能のリスクの伝達が、一番の問題だったと指摘すると共に、低レベルの放射能のリスクを正しく伝えることが如何に困難であるかも認めています。日本政府は当分の間、この難問と取り組まなければならないでしょう。

また、米軍と自衛隊の協力が特に有効だったと述べており、これは日本のメディアでも報じられましたが、今後日本のレビューが行われる場合にも、特筆されるべきでしょう。




Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:14 | 日本 | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
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コメント
産経新聞で岡崎さんの論文を読みました。まったく同感いたします。
十数年前に死んだ私の父親は長崎で被爆しました。その後も特に健康に被害はなく、死因はガンなどではありませんでした。
また先日80歳前後の3人と久しぶりに会って談論風発しました。その方は広島に原爆が投下された時、江田島の海軍兵学校にいたそうです。友人が「広島は大変なことになっていいる。見に行こう」というので20`余りの道のりを徒歩で広島まで惨状を見に行ったそうです。現地には5時間ほどいて、江田島に帰ったそうですが、その後終戦を迎え、暫く江田島にいて土地の米、野菜をもりもり食べたといっていました。その人本人だけでなく、その時の友人も含め、明らかに医学上、被爆や外部・内部被爆で死んだ人は一人もいないと言っていました。
東北大震災が起きて以来、今福島で起きていることに日本国中、いや世界の過敏な反応を見るにつけ、広島や長崎で経験したことを冷静に分析したら、違った対応が出来るのにという違和感を常に感じていました。マスコミもやたらに危機感を煽るのでなく、こうした冷静な科学的論文があることを知らせる義務があると思います。大変に勉強になりました。お礼を申し上げます。
Posted by:高尾建博  at 2011年06月24日(Fri) 07:38