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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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リビアの石油の呪い [2011年02月27日(Sun)]
米AEIのウェブサイト2月27日付で、Paul Wolfowitz元世界銀行総裁が、リビアの「石油の呪い」は西側に汚点を残した、と論じています。

すなわち、石油等の資源は祝福よりも「呪い」であることがますます明らかになってきているが、その酷い例がリビアだ。石油は多くの産油国に腐敗をもたらしたが、リビアの場合は、恐怖と圧政をもたらした上に、リビア国外にも災厄をもたらした、

リビアでは、国民1人当たり1万ドル超の所得に相当する石油収入があるのに、国民は惨めな生活を強いられる一方、石油収入によって政府が国民を必要としない状況が生まれている。例えば、カダフィは傭兵を雇うことで、リビア人による正規軍を必要としていない、

また、リビアは、国外ではテロによって何百人もの欧米人を殺し、さらに、リベリア、シエラレオン、ウガンダ、チャド等、アフリカ諸国の内戦に関与して、何十万人もの死に責任を負っている、

こうした歴史に鑑みれば、諸事情があったとしても、米英などがカダフィの核放棄後、カダフィを名誉回復させたことは理解できない。中東の人々は、その裏に米英の石油会社の圧力があったと見ている。また、国連やアフリカ連合の実績も酷く、国連は2003年にリビアを人権委員会の議長に選出、アフリカ連合も2009年にカダフィを議長に選んでいる、と指摘し、

現在の米英などの不作為は、こうした過去の汚点をぬぐう機会を逸するものであり、将来の歴史家は、なぜ西側諸国、特に米国がカダフィ政権の終焉を呼びかけなかったのか、不思議に思うだろう。ここ数カ月の出来事は、独裁制の下の停滞によってアラブ世界の安定は保たれるという観念の誤りを示しており、アラブ人は自由を欲しないという誤った考えは一掃されることになろう、

カダフィ後の政権がどうなるかはわからないが、「石油の呪い」は排除すべきであり、その一つの方法は、石油収入が国民に直接行くようにし、政府は税金によって国民にサービスを提供するようにすることだ、と言っています。


ウルフォヴィツのこの論旨には賛同できます。資源収入に頼る国では、額に汗して働く企業が発達しないということはよく指摘されますが、こうした国は政治的にも民主化しません。資源による収入がある国、例えば、サウジやクウェートなどでは、国民は税金を払わず、国家からただで資金やサービスをもらうため、「課税がないから、代表もない」ということになります。ウルフォヴィッツが言うように、税金で経費を賄う正直な政府という考え方は、実現は難しいものがありますが、一つの健全な方向と言えます。

西側諸国は、石油への思惑もあって、直接民主主義の実践を標榜して、憲法も作らず、議会も作らず、挙句にとんでもない暴君と化したカダフィを容認してきましたが、これはやはり反省すべきでしょう。

それにしても、今回の中東の激動には経済的不満も含めて様々な要素があり、簡単な説明を拒否するところがありますが、人間はやはりパンのみならず、正義と尊厳を求めるものだ、という感慨を持ちます。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:19 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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