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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中国のシー・パワーの台頭 [2010年09月26日(Sun)]
ワシントン・ポスト9月2日付で、米CNASのRobert D. Kaplanが、過去10年に起きた最大の地政学的出来事は中国のシー・パワーの台頭だと論じています。

すなわち、米国に次ぐ世界第2の海軍を擁する中国は、潜水艦と対艦ミサイルに力を入れており、将来、中国海軍は東アジアで米海軍の活動を制約できるようになる可能性がある。2020年までに潜水艦の数では米国と肩を並べるだろう。

米中のシー・パワー競争の焦点は南シナ海――世界の商業海運の3分の1、日韓への石油の半分が通り、インド洋へのアクセスも提供する――だ。米国はこの海域を国際的航行路と考えているが、中国は「核心的利益」としている。米国がカリブ海を支配して西半球の覇権国になろうとしたように、中国は東半球の覇権国になるために南シナ海の支配を狙っている、

また、米国は南シナ海の北にある台湾と中国の間で起きていることを過小評価しているが、中国は台湾を静かに取り込みつつあり、米国は台湾防衛が出来ないということが明らかになれば、中国は第1列島線を越えて、第2列島線に進出して来るだろうと指摘、

米国が中東問題やアフガニスタン問題にかまけて、東アジアにおける中国海軍の挑戦に適切に対応できずにいるのは、中国にとっては好都合だ。米国は中国を敵と見るべきではないが、同時に、中国が台頭する中で、他のことに気を逸らされているのは米国の利益にならない。中東から東アジアに注意を振り向けることが大国としての米国の将来にとって重要だ、と言っています。


このカプランの論説には大筋で賛成できます。中国は価値観やイデオロギーではなく、世界の地政学的情勢判断の上に立って国益の増進を図っている国なので、カプランのような地政学的判断が的確になります。

米国はイラクやアフガンで消耗し、今後の世界情勢に最大の影響を与える東アジア情勢、特に中国の台頭に十分な注意を向けてこなかった嫌いがあります。オバマ政権はそれに気付き、太平洋国家としての米国を強調し、東アジアへの関与を強めてはいますが、まだ十分ではありません。

カプランが言うように、東アジアにもっと注意を向け、東アジアでの平穏を求めるあまり中国との間に問題が生じるのを嫌う姿勢を続けることの是非を真剣に考えてほしいものです。

なお中国は南シナ海のみならず、東シナ海のことも、あまり目立たない形ではありますが、「核心的利益」と称しています。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:53 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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