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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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アフガン戦略の再検討 [2010年06月23日(Wed)]
ワシントン・ポスト6月23日付でHenry A. Kissinger元米国務長官が、今後のアフガン戦略について提言をしています。

それによると、来年夏にアフガン側に治安責任を移し、撤退を始めるという現行の政策は現実的ではない。アフガンの中央政府が弱体なのは、カルザイのせいではなく、アフガンの社会構造によるものであり、短期間にそれを正すのは無理だ。政治的努力は軍事的努力より長期を要する。そこで、今の米国のアフガン戦略は、@軍事的な努力は地方レベルで行う、A地域的な外交枠組みを作る、B人為的撤退期限を放棄する、という方向に修正すべきだ、と提言しています。

そして、テロを容認するアフガンの脅威を米国以上に受けるロシア、中国、インド、パキスタンなどは、米国と利害が一致するので、地域的外交枠組みは実現可能だ。アフガンの資源をめぐる争奪戦を事前に防止する効果もある、と言っています。


アフガン戦争は今やベトナム戦争よりも長く続いていますが、カルザイ政府の腐敗や非効率、タリバンの持久力その他で上手く行っていません。キッシンジャーはアフガニスタンでの達成目標の引き下げ、人為的な撤退期限の放棄を主張するとともに、地域的外交枠組みを作り、それを活用して対処することを提言しています。

確かに、来年7月の撤退開始は非現実的だというキッシンジャーの指摘はその通りであり、米国の継戦意欲が失われたような印象を与えれば、それだけでアフガン戦争はうまく行かなくなるでしょう。

しかし、地域的外交枠組みは一見すると良い提言ですが、その具体的な姿がよくわかりませんし、それがどのぐらい状況の好転に貢献できるか疑問があります。むしろ、参加国が戦争には貢献はせずに、米・NATO軍のやり方に注文をつける場になりかねません。また、中ロが米国と共通の脅威に直面しているのは事実ですが、米国に協力するかどうか疑問ですし、何よりも印パが同席する場で、アフガニスタンについて合意するのは困難です。

また、イスラム過激派を勢いづかせる敗退を避ける努力は当然すべきですが、イスラム過激派の脅威は、せいぜいテロの脅威であり、戦略的脅威ではありません。そのテロ対処のためにアフガニスタン全体を平定する必要はありませんし、例えアフガン平定に成功しても、今度は他所でテロリストが跋扈しかねません。アフガニスタンでは国内の治安措置とテロリストの隠れ場所への攻撃、イスラム過激派とのイデオロギー闘争などに注力していけばよいでしょう。

それにしても、米国がイラクやアフガニスタンで消耗するのは、世界の安定という観点からは望ましくありません。特に、日本周辺では中国の台頭に伴う問題があるので、米国が出来るだけ早くアフガン戦争を切り上げることが望まれます。敢えて言えば、オバマが来年7月に撤退開始にあくまでこだわって実施し、その結果、米国に東アジアにより多くの関心を払う余裕ができるのであれば、それは日本のためになります。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:10 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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