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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中国人民元の弾力化 [2010年06月20日(Sun)]
ファイナンシャル・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナル6月20日付社説が、中国中央銀行がドルペグ制を止めて人民元相場を弾力化すると発表したことを取り上げています。

それによると、FT社説は、今回の発表のタイミングと方法は巧妙であり、G20サミットを前に人民元切り上げ圧力を和らげ、貿易戦争の可能性を低めるだろう。また、世界が新たな均衡を求めている中で、強い人民元は中国労働者の購買力を高め、インフレ対策にもなるので、人民元の切り上げは中国自身の利益にも適う。ただ、人民元が市場の決める適切なレートにゆっくりと着実に落ち着くようにしないと、米国が満足しないのみならず、長期的に中国の利益にならない、と言っています。

他方、WSJ社説は、今回の決定で良かったのは、これで貿易戦争が回避されるかもしれないことであり、中国中央銀行が米国と離れて独自の金融政策がとれるようになったことだ。しかし、今回の措置で、世界経済が「均衡を取り戻し」、米国の貿易赤字が減る、あるいは米国に製造業が大挙して戻ってくるなどと期待するのは幻想だ。人民元を切り上げても、人民元に対する需要は止まるわけではなく、むしろさらなる元切り上げを予想して世界中からホットマネーが流入することになるだろう、と言っています。


今回の中国人民銀行(中央銀行)の声明は日本のメディアでも大きく報じられていますが、人民元の引き上げは年末までに3%程度の小幅にとどまるというのが大方の予想です。大幅な切り上げは中国の輸出企業に打撃を与えますし、ユーロ安で人民元の実効為替レートがすでに大幅に上昇しているという事情もあります。

そして、WSJ社説は、元の切り上げが米国の貿易赤字を減らすと考えるのは幻想だと言っており、過去のデータから言えば確かにそうなのでしょう。しかし、かつての円切り上げ問題の時もそうだったように、貿易相手国の通貨は実は政治問題です。今回も、「元を切り上げても貿易効果はない」と言ったところで、米国の関係議員はおそらく聞く耳を持たないでしょう。

オバマ大統領は中国の措置を「建設的な一歩」として歓迎しており、今回の声明でG20会合は乗り切れるかもしれませんが、小幅な上昇に終れば米国議会は満足せず、人民元問題はいつまた発火するかわからない政治的火種としてくすぶり続ける可能性があります。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:09 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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