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2026年01月23日

基本計画のうち、中山間地域振興に欠かせない農村の振興の部分紹介

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食料・農業・農村基本計画(令和7年4月)
 「食料・農業・農村基本計画」(以下「基本計画」という。)は、食料・農業・農村基本法(以下「基本法」という。)に基づき政府が策定するものであり、概ね5年ごとに変更することとされている。令和7年4月11日、令和6年に改正された基本法に基づく、初の基本計画が閣議決定された。この基本計画に基づき農政が実施される。https://www.maff.go.jp/j/keikaku/k_aratana/attach/pdf/index-61.pdf
 本基本計画のうち、中山間地域振興に欠かせない農村の振興の部分について紹介する。

X 農村の振興
 農村は、国民に不可欠な食料を安定供給する基盤であるとともに、農業・林業など様々な産業が営まれ、多様な地域住民が生活する場でもあり、更には国土の保全、水源の涵養、美しく安らぎを与える景観の形成、生物多様性の保全、文化の伝承といった、多面的機能が発揮される場所であることから、都市住民への恵沢も踏まえた多面的機能の十分な発揮を図るためにも、農村の振興を図ることが必要である。
 農村においては、都市に先駆けて人口減少・高齢化が進行しており、農業者が減少することによる食料安定供給への支障が懸念される。
 また、農業者の減少に伴う集落機能の低下により、これまで農業者が共同で行ってきた農業生産活動と一体不可分な草刈りや泥上げ等の活動が停滞し、農業生産活動に影響することが懸念される。
 これに併せ、農村内の非農業者も、今後大幅な減少が見込まれることから、農村の地域社会の維持が困難となる事態も懸念される。
 地域社会を維持していくためには、農村内部の人口の維持及び農業・農村に継続的に関わる農村外部の多様な人材(農村関係人口)の拡大が重要である。
 具体的には、このような農村の持つ価値や魅力を若者や女性などが「楽しい」と感じて農村への関心や関わりを高めるような「楽しい農村」を創出し、農村が、国民全体が関わりたくなる目的地となることを目指していく。
 そのため、農村の多様な地域資源を活用して所得の向上と雇用の創出を図る「経済面」の取組、生活の利便性の確保を図る「生活面」の取組を、民間企業、農村を含めた地域振興に係る関係省庁と連携して推進する必要がある。
 地域の共同活動については、農業者その他の農村との関わりを持つ者の参画促進等を通じて組織の弱体化を防ぎ、農用地の保全を図ることが必要である。
 鳥獣被害は、農作物への被害に加え、営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加、更には、希少植物の食害等の被害をもたらしており、広域的で効果的・効率的な対策、ジビエ利用に係る捕獲から消費までの各段階の課題に応じた対策が必要である。

1 多様な人材が農村に関わる機会の創出農村においては、人口減少・高齢化の進行により、農村内部の住民のみでは地域社会の維持が困難となってきている一方で、近年、SDGs等の観点から農村における多様な価値を見いだし、自社の経営課題と結び付けて事業活動として農村に参入する民間企業が増加している。
 このため、農業者だけではなく、他産業・他地域の民間企業、地方公共団体及び農村を含めた地域振興に係る関係省庁と連携し、官民共創の仕組みを活用した地域内外の民間企業の参画促進や地域と企業のマッチング等を推進する。具体的な案件形成に向けて、企業版ふるさと納税を含めた民間資金や人材の確保を行うため、「農山漁村における社会的インパクトに関する検討会」において農業・農村における企業等の事業活動による経済的社会的効果の可視化を図るとともに、地域おこし協力隊、労働者協同組合、特定地域づくり事業協同組合制度等の活用を推進する。
 また、関係省庁との連携の下、移住・定住の拡大にも資するよう、住居、交通、医療・福祉サービス等の生活インフラの確保や女性や若者などの暮らしやすさ・働きやすさの向上、地域おこし協力隊の農業への従事や、農村型地域運営組織(農村RMO:集落の機能を補完し、農用地保全活動や農業に関する経済活動と併せて生活支援を行う地域運営組織)への参画、特定地域づくり事業協同組合制度による農村RMOや農業等への人材派遣、中山間地域振興における地域資源やデジタル技術を活用した地域活性化、郵便局・物流事業者等と連携した市街地と農村間における食品・日常品、農産物等の物流網の維持・確保を推進する。
 くわえて、二地域居住の普及・定着等による農村への人の呼び込み、都市部や市街地の企業のCSV(共通価値の創造)活動や研修等による持続的な農村への社員の派遣、官民の副業の促進等により、通いによる農業への参画・コミュニティ維持などの取組を推進する。
 これらの取組を更に加速し、異分野同士の結合により、地域にイノベーションを生み出すため、2025年夏を目途に「地方みらい共創戦略」を取りまとめ、農業生産、輸出、農泊、農福連携、フードテック等の分野において、企業や関係省庁等の複数の取組主体による関係者の「組合せ」(例:農村と地域金融機関、観光業者、IT企業等の連携)を通じて課題解決を目指す。
 そのため、まず、「地方みらい共創に向けた緊急提言」(令和7年3月地方みらい共創研究会策定)に基づき、「『農山漁村』経済・生活環境創生プロジェクト」により、関係府省庁、地方公共団体、郵便局、民間企業、金融機関、教育機関等の参画するプラットフォームの下、多様な人材が活躍できる場の創出を図るほか、関係省庁との連携の下、地方公共団体の企画部局と農林水産部局の連携促進、農林水産地域の社会的インパクトを可視化するガイドライン策定や人材派遣・資金拠出企業の証明・表彰の仕組みの創設などを行う。
 さらに、現場の多様な課題やニーズに対して、農林水産省本省、地方農政局及び地域拠点の職員により、現場の実態や課題の把握、新しい地方経済・生活環境創生交付金など関係省庁の補助事業の紹介、関係省庁との連絡調整等を行う伴走支援体制を構築し、関係省庁のものを含めた農村振興に係る施策を総合的かつ一体的に推進する。

2 農村における所得の向上と雇用の創出(経済面)
(1)多様な地域資源を活用した付加価値創出の推進
 農村における所得の向上に向けては、農業所得と農業以外の所得を合わせて一定の所得を確保できるよう、多様な就労機会を創出していくことが重要であり、農林水産物に限らない多様な地域資源の活用や農業者以外の多様な主体の参画により、付加価値の創出を図る取組を推進していくことが必要である。その際、地域の経済を活性化するためには、地元の住民・事業者の積極的な参画も必要である。
 このため、6次産業化、農泊、農福連携など、農村の地域資源をフル活用し他分野と連携する取組を更に推進することにより、付加価値のある内発型の新事業を創出する。特に、地域がより一層裨益するよう、地元の若者や事業者による域内での起業・事業展開を後押しする。
(2)農泊の推進
 農泊については、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に落ち込んだ年間延べ宿泊者数が回復した一方、農泊地域の平均宿泊費が観光旅行全体のそれに比べて安価にとどまっていることから、所得の向上と雇用の創出を実現するため、高付加価値化を図る必要がある。
 このため、観光庁等と連携しつつ、地域内の関係者を包含した実施体制を構築し、食、文化、歴史、景観など農村ならではの多様な地域資源を活用した観光コンテンツの開発、インターネット利用環境の整備等を通じて、インバウンドを含む旅行者の農村への誘客促進、宿泊単価等の向上(高付加価値化)に資する取組を推進するとともに、輸出拡大との相乗効果を図る。
(3)農福連携の推進
 農福連携については、農業経営の発展とともに、障害者の社会参画を実現する取組であり、取組主体数は大きく増加している。今後、農村の人口減少・高齢化が急激に進行することが見込まれる中、障害者等が貴重な農業人材として活躍できるよう、取組の更なる拡大に向けた仕組みづくりと認知度の向上、障害者その他の社会生活上支援を必要とする者の社会参画とこれを通じた地域農業の振興が重要である。
 このため、農業法人、社会福祉法人等による障害者等の就労支援、農福連携に関する専門人材の育成、障害者等が働きやすい生産施設、障害に配慮したトイレや休憩施設、バリアフリー化の整備などの支援を行う。
 また、市町村、農業や福祉の関係者等が参画し、農業経営体と障害者就労施設のマッチング等を行う地域協議会の拡大、ノウフクの日(11月29日)等による企業・消費者も巻き込んだ取組の意義や効果の理解促進、世代や障害の有無を超えた多様な者が農業体験を通じて社会参画を図るユニバーサル農園の普及・拡大等を推進する。
(4)多様な人材等の参画の推進
 上記(1)から(3)の取組に加え、地元の様々な業種の事業者が農村に目を向け、農業に関連した事業を開始するなど、農業の担い手以外も含めた多様な人々を農村に呼び込むことが必要である。
 このため、地元の建設事業者や IT 事業者等による農業支援サービスの提供を始めとした農外事業者の農業への参画等を促進することにより、これまで農業・農村に関わりを持っていなかった他分野の事業者が、農業・農村分野で新規事業を展開する素地を創り、所得の向上と雇用機会の創出を図る。

3 農村に人が住み続けるための条件整備(生活面)
(1)農村型地域運営組織(農村RMO)の育成
 中山間地域振興を中心に、人口減少・高齢化により集落機能が低下し、農地の保全や、買物・子育てなどの集落の維持に必要な機能が弱体化する地域が増加していくことが懸念され、特に老年人口の割合の高い集落では、生活の利便性が低い傾向にある。
 さらに、生活の利便性の低下は更なる人口減少・高齢化につながり、集落存続の危機が深まるため、生活環境(買物、医療、教育等へのアクセスや、高齢者の見守り等)の維持・改善が重要である。
 このような状況の中、地域で暮らす人々が中心となって地域運営組織を形成し、祭り等のイベントの実施や、地域の美化・清掃活動など集落機能を維持する取組が各地で行われているが、そのうち、農業・農村に関する活動を行っている地域運営組織は少数にとどまっている。
このため、女性や若者などの多種多様な人材も巻き込みながら農村 RMO の形成を推進する。
(2)生活インフラ等の確保
 人口減少や高齢化が進む中、免許返納した高齢者をはじめ移動手段の確保に対する不安が高まる一方、公共交通の確保は危機的な状況にある。また、中山間地域振興をはじめとする農村の食料基地としての役割を維持し、安心して住み続けられるようにしていく必要がある。
 このため、農村に人が住み続けられる生活環境が確保されるよう、交通空白地等における自家用有償旅客運送等の移動手段の確保、持続可能な交通ネットワークの再構築を推進するほか、農業集落排水施設、農道等の再編・強靱化及び高度化、地域資源利活用施設の整備等を推進する。
4 地域の共同活動の維持
 農地の保全に資する地域の共同活動については、日本型直接支払制度により支援しているところであるが、活動参加者の減少や高齢化による組織の弱体化により、事務作業を含む活動の継続が困難となるおそれがある。
 このため、多面的機能支払制度については、活動組織の更なる体制強化に向け、都道府県、市町村等による企業、学校、農業に関心のある非農業者等と活動組織とのマッチングを推進することにより、多様な組織や非農業者の参画を若者の確保を図りつつ促進する。
 また、都道府県、市町村等の支援により広域化を推進することで、集落の枠組みを超えて広域的に保全管理活動を実施できる体制を構築する。
 また、中山間地域振興等直接支払制度については、集落協定の体制強化を図る取組を推進し、共同活動が継続できる仕組みを構築する。
 さらに、多面的機能支払制度と中山間地域振興等直接支払制度の両支払に取り組む地域における事務局の一元化や事務手続の簡素化、デジタル技術の活用等の効率化を推進する。
中山間地域振興等の振興
 中山間地域振興は、全国の総農家数、耕地面積、農業産出額のそれぞれ約4割を占めており、我が国の食料生産を担うとともに、国土の保全、良好な景観の形成等の多面的機能の発揮においても重要な役割を担っている。
 中山間地域振興は、傾斜地が多く、まとまった農地が少ない等の不利な農業生産条件を有しつつも、清らかな水、冷涼な気候等の自然条件等、平地にはない特性を活かした農業が行われている。
また、離島、半島、山村等も不利なアクセス条件など地理的に厳しい環境にあるが、それぞれの特性に対応した農業が営まれている。
 しかしながら、これら中山間地域振興等の条件不利地域は他の地域と比較して、人口減少や高齢化が急激に進行しており、担い手不足や集落機能の低下等厳しい状況に置かれている。
 このため、中山間地域振興等が直面している様々な課題を克服し、中山間地域等の農業を振興するため、それぞれの地域の実情に応じて、農業を「支える」ための施策、農業で「稼ぐ」ための施策と、農村に「関わる」関係人口を拡大するための施策を併せてパッケージとして一体的に実施する。
(1)中山間地域振興等の農業を「支える」ための施策の推進
@ 農業生産条件の不利の補正
 中山間地域振興等において傾斜地が多く、まとまった農地が少ないといった農業生産条件の不利を補正し、農業生産活動の継続が図られるよう、中山間地域振興等直接支払制度により地域の共同活動等に対し支援を行っており、当該取組を通じ、多面的機能の維持・発揮に貢献しているが、人口減少・高齢化による協定参加者の減少等により、特に小規模な集落協定において、活動の継続が困難な協定の増加や協定の廃止が懸念されている。
 このため、中山間地域振興等直接支払制度について、水田政策の見直しの中で検討を行うとともに、共同活動を通じた農業生産活動等が継続できる仕組みが構築されるよう、集落協定のネットワーク化や多様な組織等の活動への参画が可能な体制づくりを推進する。また、スマート農業技術の導入による農作業の省力化・効率化や棚田地域における振興活動等を推進する。
A 集落機能の維持
 農業者の減少に伴い農業集落内の戸数が減少する中、集落活動の実施率が急激に低下する9戸以下の農業集落の割合が増加しており、特に中山間地域振興地域においては、都市や平地に比べ、その増加割合が大きい。
 このため、女性や若者などの多種多様な人材も巻き込みながら農村RMOの形成を推進する。特に中山間地域等の小規模集落向けに、農村RMOの立上げや活動充実の後押し、市町村・都道府県・関係府省庁と連携したサポート体制の構築を推進する。
B 地域の土地利用構想の作成・実現
 中山間地域振興等を中心として、担い手への農地の集積・集約化、新規就農等の促進、スマート農業の普及等の対策を講じても、営農を継続することが困難な農地が、今後増加することが懸念される。
 このため、地域ぐるみの話合いによる土地利用構想の作成と、当該構想に基づく、省力化作物の栽培、放牧等の粗放的な利用を含めた農地の保全に必要な基盤整備・施設整備、鳥獣被害防止対策等への支援や計画的な林地化などにより、荒廃農地の発生防止と再生・解消の取組を推進する。
(2)中山間地域振興等の農業で「稼ぐ」ための施策の推進
 地形による制約等不利な生産条件を有する中山間地域振興等において、収益力の高い農業を行うためには、自然条件等の中山間地域等が有する地域特性を活かした農業を推進するとともに、条件不利性を補正するための基盤整備、スマート農業技術の導入等を促進することが必要である。
 このため、地域特性を活かした高収益作物の導入や有機農業の推進、地形的制約に応じた、米、野菜、果樹、飼料等の複数の作物生産のほか、畜産や林業、他業種も含めた多様な組合せによる複合経営の取組を支援する。
 また、これらの取組を支える農地、農業水利施設、生産・販売施設等の総合的な整備のほか、中山間地域振興等の実情に応じた小規模な基盤整備や農地へのアクセスの向上のための農道の整備等、きめ細かな基盤整備を推進する。さらに、集出荷貯蔵施設や冷凍野菜の加工・貯蔵施設等の産地の基幹施設の整備・再編等を支援する。
 また、中山間地域振興等において、生産現場におけるスマート農業技術の活用を促進するため、多様な地域課題に対応したスマート農業技術の開発・供給の促進、立上げの促進や収益性を確保し得る事業モデルの創出等を通じた農業支援サービス事業者の育成・確保等を図ることにより、スマート農業技術の普及及び活用できる人材の育成を進める。
 あわせて、水路のパイプライン化、法面の緩傾斜化等のスマート農業技術に対応した基盤整備を推進しつつ、整備された農地で効果を発揮する自動給水栓、リモコン草刈機等の導入を進める。
 さらに、地域の特色を活かした農産物のブランド化、地域資源を活用した商品開発等により付加価値の向上を図るとともに、流通・販売事業者とのマッチング等、販路開拓の取組を支援する。
くわえて、中山間地農業の振興をより一層図るため、地域の特色を活かした収益力向上等の活動に対して各種支援事業の優先採択などの優遇措置を講ずる。
6 鳥獣被害対策
(1)鳥獣被害防止対策の推進
 シカ、イノシシ、サル等の野生鳥獣による農作物被害額は、164億円(2023年度)と、依然として高い水準にある。また、鳥獣被害は営農意欲の減衰をもたらし、耕作放棄や離農の要因になるなど、被害額に表れる以上に農村に深刻な影響を及ぼしている。
 鳥獣被害防止対策は、個体群管理、侵入防止対策、生息環境管理の3本柱が基本であり、地域ぐるみでいかに徹底して行えるかが対策の効果を大きく左右するが、捕獲従事者の高齢化による捕獲体制の弱体化や、効果的な対策を地域で企画・実施できる人材の不足等により、対策が十分に実施できていない地域が見られる。
 また、捕獲は市町村域で行うことが中心で広範囲に移動する鳥獣に対応できていないことに加え、侵入防止柵は個々のほ場を囲むものが多く、地域として適切に管理することが難しくなっている。
 このため、ICT等を活用した遠隔監視や捕獲データの収集・分析等による見回り作業の省力化や捕獲を強化すべき地点の特定等、先導的なスマート鳥獣害対策の普及を推進する。
 また、個体群管理については、農地周辺での有害捕獲において、PDCAの実践により、効果的かつ効率的な捕獲を推進する。あわせて、市町村と連携しつつ、都道府県が中心となった、農地周辺の林地等における、生息状況の把握とそれを踏まえた広域的な捕獲活動を推進する。
 侵入防止対策については、鳥獣の侵入経路を踏まえた集落単位での効率的な侵入防止柵の整備を進め、地域全体での点検活動の徹底を図る。
 生息環境管理については、市町村等による農家や住民に対する継続的な啓発と効果的な実施を推進する。こうした取組が地域で効果的に行われるよう、引き続き、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」(平成19年法律第134号)に基づく鳥獣被害対策実施隊の維持・強化を図る。
 その際、大学等の高等教育機関とも連携した対策の企画を担う高度専門人材の育成と地域外の狩猟免許所持者の活用等を通じて実施隊等への配置の促進を図る。
 このほか、被害が大きく増加している市町村や大きな被害が継続して発生している市町村等に対しては、農林水産省が中心となり、関係省庁や都道府県と連携して、地域の課題に応じて、先進事例の共有や専門家の派遣等の伴走支援を行う。
(2)ジビエ利用の拡大
 捕獲鳥獣を地域資源として有効利用するジビエ利用の取組は、外食や小売、学校給食、ペットフード等の様々な分野において広がっている。この有害鳥獣を農村の所得に変える、「マイナス」から「プラス」の存在に変える取組を全国に広げていくことが重要である。
 しかしながら、依然として多くの個体が埋設や焼却処分される一方、捕獲個体のうちジビエとして処理加工施設で解体処理された個体の割合(いわゆる利用率)は全国平均で1割程度と低く、利用率向上が課題となっており、捕獲鳥獣のジビエ利用の更なる拡大が必要である。
 このため、捕獲から消費の各段階での対策を重点的に講ずる。
捕獲段階では、地域の処理加工施設等と連携し、衛生管理の知識・技術を有する捕獲者(ジビエハンター)の育成を通じて、当該捕獲者によるジビエ利用に適した捕獲個体の施設への搬入を推進する。
 処理加工段階では、地形や捕獲状況等に応じた、処理加工施設や移動式解体処理車、簡易な一次処理施設等の整備により、施設への搬入頭数の増加を推進する。
 また、施設における新たな人材の育成・確保や経営多角化等による年間労働時間の平準化など処理加工人材の安定確保に向けた取組のほか、未利用個体・部位のペットフード・皮革製品等への有効活用や減容化処理といった廃棄負担を軽減する取組など処理加工施設の経営安定に資する取組を推進する。
 流通・消費段階では、ガイドラインの提示や事業者にその順守を促す等により食品やペットフード利用に係る衛生管理を高度化し、消費者の信頼確保を図る。
 また、ジビエ利用に係る加工・製造、流通、販売に係る事業者の連携により流通の多様化と量の拡大を促進する。くわえて、観光等の付加価値の高い分野でのサービスと組み合わせたジビエ利用など新たな需要を喚起し、消費拡大を図る。
7 都市農業の振興
 都市農業は、新鮮な農産物の供給のほか、身近な農業体験・交流活動の場の提供、災害時の防災空間の確保、やすらぎや潤いをもたらす緑地空間の提供、国土・環境の保全、都市住民の農業への理解の醸成等多様な機能を有するとともに、農業のPR拠点として農業・農村への理解を深める重要な役割を発揮している。
 「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」(平成30年法律第68号。以下「都市農地貸借法」という。)の制定以降、都市農地の貸借は増加しているものの、生産緑地面積の1%程度と低水準であり、生産緑地が相当程度存在する地域であっても、農地の出し手と受け手のマッチング体制が整備されてないため、都市農地貸借法が活用されていない地域が存在するなど地域間での取組に格差が生じている。
 また、生産緑地以外の農地を中心に市街化区域内農地の減少が続いている。
このため、都市農地の有効活用を一層図る観点から、貸借実績が低調な地域におけるマッチング体制の整備等、農地の出し手・受け手双方が安心して貸借できる体制整備を支援する。また、市街化区域内農地の減少が続く中、都市農地を保全していくため、生産緑地以外の農地を生産緑地等に指定する取組とともに、アパートや駐車場の跡地などの空閑地を活用した都市農地の創出に向けた取組を促進する。
 さらに、都市農業の有する多様な機能を適切かつ十分に発揮するため、地方公共団体による都市農業の振興に関する計画の策定を推進するとともに、マルシェや体験イベントの開催等の交流促進、農地の防災機能の強化、専門家等の派遣及び相談会の実施等の取組について支援する。
8 農村の魅力発信による農村に関わる人材の裾野拡大
 農村関係人口の拡大に当たっては、農村への関心や関わりを持った者が、都市部にいながら農産物の購入などで農村に関わる形から、実際に農村に拠点を移す形に至るまで、様々な方法を通じて農村への関わりを深めていき、農村の支えとなる人材の裾野を拡大する必要がある。
 このため、農村の振興や所得向上に取り組んでいる優良事例の普遍化、棚田、農業遺産等の歴史的・文化的背景、景観等を含む農業の有する多面的機能の理解の醸成のためのWEBサイトやSNS等による情報発信や体験等を通じ、農村のファンとも言うべき「農村関心層」を創出する。
(1)棚田・農業遺産の魅力の発信
 棚田や農業遺産は、食料生産だけでなく、観光、教育、文化等の観点においても重要な地域資源であり、農村の有する価値や魅力の発信に寄与している。また、CSR(企業の社会的責任)、SDGsの観点から棚田地域に関心を示す企業等が増加傾向にある。一方で、高齢化の進行や担い手不足により、棚田や農業遺産を農業者や地域住民のみで保全・継承していくことが困難な状況となっている中、棚田や農業遺産等の認知度向上や保全、これら地域の振興を図るためには、地域外からの支援、農村関係人口の増加を図ることが必要となっている。
 このため、地域住民はもとより、民間企業等による地域活動への参加や、商品開発・普及等を促進し、更にそれを契機として、地域内外の多様な主体との協働を生み出し広げる取組を推進する。
(2)農業体験の推進
 都市農地等を活用した市民農園や体験農園は、消費者に対して身近に農と触れ合う場として、気軽に農産物の栽培や収穫等を体験する機会を提供し、農作物や農業に対する関心や理解の醸成に寄与しており、特に、都市農地貸借法の整備により生産緑地を活用した、民間企業等による手軽な市民農園が拡大している。
 また、簡易な宿泊施設を備えた滞在型の市民農園(いわゆるクラインガルテン)は、農村関係人口の創出・拡大に寄与することが期待される。
このため、都市農地を活用した農業体験に加え、滞在型市民農園などの市民農園や体験農園の整備を促進する。

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posted by オーライ!ニッポン会議 at 17:22| 全国中山間地域振興対策協議会

令和8年度予算において実施が予定(政府がめざす)されている学校給食無償化に注目!

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令和8年度予算において実施が予定(政府がめざす)されている学校給食無償化に注目!

学校給食費の抜本的な負担軽減について(文部科学省)
「いわゆる給食無償化」に関する文書抜粋
https://www.mext.go.jp/content/20251219-mxt_soseisk01-000046461_06.pdf

また、農林水産省では、地域での食育の推進(委託費・交付金)についての令和8年度予算概算決定の概要と令和8年度消費・安全対策交付金のうち地域での食育の推進が計画されている。
〇 ⾷育活動の全国展開事業 令和8年度予算概算決定額 69百万円(前年度 74百万円)
 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/torikumi-220.pdf

〇令和8年度消費・安全対策交付金のうち地域での食育の推進
 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/torikumi/kouhukin/r8.html

上記「令和8年度消費・安全対策交付金のうち地域での食育の推進(都道府県を通じた取組)に係る支援内容(案)」はこちら!
 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/torikumi/kouhukin/attach/pdf/r8-10.pdf

支援内容のメニュー
ア 食育推進検討会の開催
イ 食育活動を推進する人材の育成及び活動の促進
ウ 食文化の保護・継承のための取組支援
エ 農林漁業体験機会の提供をはじめとする生産者と消費者との交流の促進
オ 和食給食の普及
カ 学校給食における地場産物等活用の促進
キ 共食の場における食育活動
ク 環境に配慮した農林水産物・食品への理解向上の取組
ケ 食品ロスの削減に向けた取組

posted by オーライ!ニッポン会議 at 15:29| コミュニティビジネス