スモールステップからはじめる「学校給食での地場産物等の活用のためのガイドブック」
地場産物等の活用や食育の更なる推進に向けた一歩となることを目的に、農林水産省は、スモールステップからはじめる「学校給食での地場産物等の活用のためのガイドブック」を令和7年9月に発行した。(全38ページ)
学校給食における地場産物等の活用に関する課題とその対応策を、先進的な事例とともに整理している。
給食調理方式や調理食数を示しながら、課題とその対応策を一覧化した実践的なガイドであり、全国どの地域でも活用できるよう、具体的な取組内容やその成果も掲載している。本書はダウンロードが可能。こちらからhttps://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kyusyoku_guide.pdf
学校給食において地場産物等を活用しようと思っても、「農産物には旬があり、天候に左右されるため、給食で必要となる量を安定して生産・確保することが難しい」、「給食側のオペレーション上、規格を揃えたり、毎日決まった時間に納品するのが負担」といった様々な課題があります。
子供たちへの食育の推進という観点からは、給食の時間のみならず、各教科等の学習においても、食や農の学びを提供することが重要です。そのためには、地域の方々が一緒になってその学びを確保するためにどうすればよいかを考える必要があり、むしろそれは地域の大人の責務とも言えます。そこで、各事例の紹介に当たっては、学校給食における地場産物等の活用の取組のみならず、給食や授業の時間を使って、どのように食や農の学びを生きた学びとして提供しているかも記載しています。
学校給食は食育の「生きた教材」であると言われます。すなわち、学校給食は、単なる「食事の提供」ではなく、実際の給食という体験・活動を通じて子供たちが「食育」を実践的に学ぶための貴重な機会なのです。
学校給食における地場産物の活用は、子供の食に対する関心を深めるのみならず、地域の農林水産物に愛着を持ち、積極的に食べるようになったり、使ってみようといった意識を持つようになるなど、地域の農林水産業を支えることにつながります。生産者にとっても、安定して買い取ってもらうことは地域農業・経済の振興につながり、また、子供たちに知ってもらうことで将来の地域農業の担い手の育成にもつながります。
第1部 学校給食での地場産物等活用における課題と対応策
課題:推進体制
1 関係者の意識・認識が不十分
2 関係者間のコミュニケーションが不足
課題:生産・供給調整
1 地場産物等の生産・供給が少ない
課題:使用条件
1 納品時間や場所が限定的
2 農産物のサイズ等が規格に合致しない、必要量をまかなえない、使用時期と合致しない
第2部 学校給食での地場産物等活用に関する先進事例
0 先進事例における課題と対応策の一覧
1 岩手県遠野市 学校給食における伝統野菜などを活用した地域食文化の継承の取組
2 千葉県いすみ市 市が主導する地場・有機農産物の活用に向けた指導・調整
3 東京都小平市 JA・農家・栄養士・行政との連携による持続的な供給体制の構築
4 東京都日野市 地域の関係者のコミュニケーションから広がる地場産物活用の取組
5 富山県砺波市 農産物の等級に応じた価格設定による地場産物の使用・品質の向上
6 長野県松川町 地域の農業を守る、関係者一丸となった有機農産物活用の取組
7 静岡県袋井市 生産者・給食関係者の相互理解と農産物の数量確保に向けた取組
8 大阪府泉大津市 生産地と消費地をつなぐ持続可能な食糧システムの構築
9 島根県雲南市 コーディネーターの配置による出荷・納品の負担軽減や栽培指導
10 広島県東広島市 献立計画と栽培計画の「見える化」によるコミュニケーションの向上
11 高知県高知市 学校給食会と連携した年間統一献立による給食への地場産物活用
12 大分県別府市 JAと学校給食センターが連携した食材の調達・納品に係る工夫
参考資料
1 学校給食での地場産物等活用に係る参考ツール
2 地方公共団体における学校給食での地場産物等活用促進のための条例や計画等の参考例
農林水産省「食育推進のページ」https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/