中山間地域等直接支払制度の第6期対策(新たな5年間R7〜R11)がはじまります!!
令和7年4月から中山間地域の中山間地域等直接支払交付金は、第6期対策に移行します。
令和7年度予算概算決定では、23.6億円もの大幅な増額を得て総額284.6億円が計上されました。新たな制度のポイントとして、注目したいのは、【集落機能強化加算の経過措置】
加算に取り組んでいた集落協定の活動の継続を支援するため、経過措置を設けられます。
第5期対策の集落機能強化加算での「集落機能を強化する取組」は、地域運営組織の設立や既存の地域運営組織等との連携により協定組織の強化をめざすものでした。
しかし、目標設定等の運用面において、この趣旨が十分に浸透しかっただめに、高齢者を対象とした生活支援のみが目的化された活動が大半となってしまったことが反省点となりました。
このため、本経過措置では、目標設定にあたって、例えば連携する外部組織と人的資源を補完し合ったり、連携活動により双方の活動が充実、効率化できるWIN― WINの関係構築をめざすことに留意するなど、運用面の改善を図ってまいります。
また、基礎単価や体制整備単価については、協定参加者の話し合いと合意により、地域の実情に応じた幅広い使途に活用可能となっておりこれまでと同様に、共同活動の持続性の確保や取り組み体制の強化のため、農業生産活動等と併せて生活支援等に取り組むことが可能となっています。
中山間地域等直接支払制度体制づくり(統合・ネットワーク化・多様な組織等の参画 等)参考事例集
農林水産省では、中山間直接支払制度活用地域において、担い手及び事務担当者、リーダーの確保ができないといった人材不足により、活動体制が脆弱な小規模な集落協定を中心に、共同活動の継続ができず廃止する協定も増えてきていることから、第6期対策では、将来に向けて共同活動が継続できる体制づくりを進めるため、これまで進めてきた集落協定の統合による広域化などに加え、まずは、集落協定間で可能な取組から連携していただくネットワーク化や多様な組織等の参画を推進することとしています。
そのために参考資料として、集落協定の統合や事務局機能の一元化、活動の連携等を行っている事例について、体制の構築の方法や効果等を取りまとめた事例集を公開しています。
中山間地域等直接支払制度体制づくり(統合・ネットワーク化・多様な組織等の参画 等)参考事例集
https://www.maff.go.jp/j/nousin/tyusan/siharai_seido/attach/pdf/index-105.pdf
農林水産省 中山間地域等直接支払制度のページ
https://www.maff.go.jp/j/nousin/tyusan/siharai_seido/
■体制づくり(統合・ネットワーク化・多様な組織等の参画 等)参考事例の一覧
◎ 1.北海道月形町【集落協定の広域化に伴い役員を担える人材の確保と農作業の省力化・効率
化】
◎ 2.宮城県栗原市【棚田を始めとした農用地・自然生態系の保全、棚田から生まれる都市部と
の交流と進行】
◎ 3.秋田県由利本荘市【広域協定内に活動グループを形成し、交付金の柔軟な運用を実現】
◎ 4.秋田県由利本荘市【交付金の柔軟な活用を可能とした統合を実現】
◎ 5.山形県鮭川村【各集落協定から同一の外務組織等に事務等を委託したゆるやかな横連携】
6.福島県金山町【1町1協定による広域的な協定事務の一元化】
7.福島県安達郡大玉村【1村1協定による広域的な協定事務の一元化】
8.栃木県塩谷町【各集落の独自性を維持しつつ、広域化により事務負担軽減を実現】
◎ 9.群馬県中之条町【協定の統合によるスケールメリットを生かした農作業受委託体制の整
備】
10.千葉県鴨川市【集落協定間の連携を図り、活力ある地域社会づくりに寄与する協議会の設
立】
◎11・新潟県小千谷市【3段階の活動体制による活動の継続と就農支援】
◎12.新潟県十日町市【NPO法人との協働による集落の活性化】
◎13.富山県氷見市【隣接集落と共同で行う農業インターンシップを契機に、連携して集落の活
性化を実現】
14.三重県伊賀市【つなぐ棚田遺産“西山の棚田”が繋ぐ多様な組織との連携取組】
15.岐阜県郡上市【多様な組織との連携による活力ある地域づくり】
16.滋賀県栗東市 【多様な組織と連携した棚田地域の振興】
17.兵庫県養父市 【9集落協定で連携して獣害対策及び粗放的な農地管理に取り組み、棚田
を守る】
◎18.島根県浜田市 【担い手の連携を強化する協議会を核とした複数集落協定の再編】
◎19.山口県阿武町 【多様な組織等が連携した“にぎわいの創出”によるむらづくり】
20.愛媛県松野町 【協定の統合による活動体制の整備と強化】
21.高知県三原村 【村全域にわたる2協定の事務等の一元管理による連携強化】
22.長崎県大村市 【集落協定の統合及び農事組合法人との連携により中山間地域の農業活性
化及び荒廃化防止】
23.熊本県あさぎり町【5つの集落協定から同一の外部組織に事務等を委託し、集落協定の活
動継続のための体制づくりを推進】
◎24.宮崎県日之影町 【ネットワーク化による農作業受委託システムの確立】
◎25.鹿児島県湧水町 【各集落協定から同一の外部組織等に事務等を委託したゆるやかな横連
携】
★【農村集落の課題解決アイデア集】
また、各地域が抱える課題解決の一助として、役立ててもらうために、人数や活動する面積が小さな集落協定であっても、その活動が他地域の参考となるキラリと光る小さな工夫している【農村集落の課題解決アイデア集】を公開しています。地域の抱える課題に対して実施した取組の経緯、苦労、工夫、解決方法、成果などを詳細に聞き取りしてその成果まで記しています。
https://www.maff.go.jp/j/nousin/tyusan/siharai_seido/s_torikumi/attach/pdf/r0501-10.pdf
@ 協定の連携、広域化等による効果
・協定の統合によって、水路の維持と集落機能の強化を実現【青森県平川市】
・集落協定の統合による交付金事務の一元化 【静岡県浜松市】
・中山間集落協定の広域化による事務局機能の整備【栃木県市貝町】
・集落住民が力を合わせた獣害対策と住み続けられる集落への取組【福井県高浜町】
・協定の統合を契機に共同取組活動を発展させ、農地の管理活動を省力化【岐阜県大垣市】
・廃材のU字溝の活用や羊の放牧による管理の省力化・低コスト化【滋賀県東近江市】
・地域内の複数集落協定で協議会を設立し、専任の事務職員を雇用することで、会計事務等の負
担軽減 【大分県竹田市】
➁ 集落戦略作成による効果
・農村の「日常的」な資源を生かしたワークキャンプから関係人口を創出【石川県小松市】
・重層的な獣害対策と多様な人材が携わる共同活動で条件不利な農地を守る【三重県津市】
・集落が独自にアンケートを実施し、集落の現状や課題を明確化【岡山県奈義町】
・集落全体を巻き込んだ話合いによる地区の将来像を見据えた取組【熊本県南小国町】
B加算措置による効果
・リモートセンシング技術活用で「雨竜町産米」を高品質の「うりゅう米」に転換 【北海道雨
竜町】
・地域が一体となった担い手対策「農活チャレンジ応援事業」で町に活力を【北海道広尾町】
・超急傾斜農地保全管理加算の取組を契機に農産物の直売を開始し、農業者の生産・販売意欲が
拡大 【埼玉県秩父市】
・集落協定が主導して、地区全体が加入する高齢者”見守り隊”を結成【新潟県佐渡市】
・集落の力を結集した農地保全 〜集落を守る熱い思いで棚田振興〜【石川県七尾市】
・“棚田”で育てる地域愛 −魅力ある景観の維持・向上と拠点の創出−【和歌山県有田川町】
・高齢者の見回り活動やサロン活動「え〜あんびや〜」を利用した生きがいづくりに世代を超え
て取り組む 【京都府京丹後市】
・集落全体で防災活動に取り組み、集落組織の体制を強化 【鳥取県南部町】◎
・人情の駅「ぷらっとホームつなみ」を中心とした様々な地域活動【広島県安芸太田町】
・地域の組織と共に取り組む農地保全と地域活性化 【愛媛県東温市】
・棚田加算を活用した集落ぐるみの地域活性化の取組みにより、つなぐ棚田遺産「鳥の巣」棚田
を守る! 【宮崎県五ヶ瀬町】
・農福連携や営農組織と連携し、集落ぐるみでふるさとの農地・自然を守る【鹿児島県日置市】
・イベントを開催し、都市住民との交流・生産物の販売促進 【沖縄県名護市】
C 市町村の推進体制の工夫による効果
・町職員が集落の話合いに参加することで、集落戦略作成の促進 【岩手県一戸町】
・情報の可視化により守るべき農地が見えてきた 【山形県舟形町】◎
・GIS、タブレット端末の活用による市町村事務の簡素化、省力化【山梨県道志村】◎
・衛星画像データの解析技術を活用して、膨大な現地確認作業を大幅に軽減【愛知県豊田市】
・人・農地プランの実質化を目指し、集落戦略の作成を支援 【兵庫県宍粟市】
・集落戦略で守るみかんの里 〜町と農業委員等が一体となって作成を推進〜【佐賀県太良町】
※ 全市町村は、1,718。中山間地域等直接支払交付金の協定を締結する上での指針となる促進計画を策定した市町村は 1,041 市町村で、うち協定を締結した集落等に対し交付金を交付した市町村(以下「交付市町村」という。)は 1,002 市町村であり、促進計画を策定した市町村に占める割合は 96%となっている。全市町村の58.3%が中山間地域等直接支払交付金を活用している。
全国中山間地域振興対策協議会は会員とともに中山間地域の発展存続に力を注いていきます。
823