2024年07月08日
中山間地域直接支払制度により1県分の農地は守られた(と推計)
中山間地域直接支払制度は、2025年度から第6期(5年ごと)に入ります。
そこで、農林水産省で第3者委員会を設置し検討がされてきました。
令和6年6月25日に第9回委員会が開催され第5期の最終評価素案が出されました。
第5期対策においては、本制度により約3.3万haの耕作放棄の発生防止を含む約7.6万haの農用地の減少が防止されたことにより、農用地の多面的機能が維持・発揮された(※面積は推計値)。
この7.6万haの面積は、北海道を除く都府県の耕地面積の平均(6.9 万 ha/都府県)を上回り、埼玉県(7.3万ha)、愛知県(7.3万ha)、兵庫県(7.2万ha)の耕地面積に相当する面積となっており、食料を生み出す重要な農地が相当に守られていることがわかる。
例えば、農地が耕作放棄されると、農地の集積・集約化が進みにくくなる、野生鳥獣のすみかとなり周辺への鳥獣被害の原因となる、病害虫の発生要因となるなど、周辺農地へも悪影響を及ぼす。
さらに、一度発生した耕作放棄地を農地に復元するためには多額の費用が必要となる。
未然防止の効果は、目に見えない効果であるだけに一般的に認識されにくいものであるが、農地が失われた場合及び耕作放棄地が発生した場合のデメリット等を踏まえれば、非常に重要な成果であると認められるとしている。
第9回(令和6年6月25日)配布資料等
https://www.maff.go.jp/j/nousin/tyusan/siharai_seido/s_daisan_5ki/9.html
中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会委員名簿
・飯國芳明 高知大学名誉教授
・榊田みどり フリージャーナリスト(明治大学客員教授)
・図司直也 法政大学現代福祉学部教授
・竹田麻里 東洋大学食環境科学部フードデータサイエンス学科准教授
・橋口卓也 明治大学農学部教授
・原誠 株式会社クニエマネージングディレクター
・星野敏 京都大学名誉教授
★この第三者委員会のなかで、前回(第8回)開催の議事録に注目した。以下のような議論があった。(ほんの一部抜粋、文意を損なわないように文章を省略、修正した)
〇農水省
市町村は少ない人数で事務をしていただいている。協定書の審査や交付金の交付事務、集落等への事務の支援というのに時間を要しており、年間300時間この制度のために時間を要している。事務作業を見直さないと、市町村自体も持たない。
〇A委員
これまでの農業者が集まって広域化するとか組織化するといった流れはある。農村RMOの場合に、多分農業者ではない人たちが随分入っている。農地の利用の仕方も変わる可能性がある。そこでどう農地を守ってもらうかといったときに、今までどおりとは違う農地との向き合い方とか、サポートの仕方というのも生まれてくる。だからどんな農村RMOがあるのか、地域組織があるのか、そこにどんな可能性があるのかということを探らないと、新たな制度設計には至らない。農業ベース、所有者ベースの発想からちょっとずらして考えないと、カバーできないと思う。
○B委員
次期対策の見直しということで、組織の持続性が極めてよろしくないというような状況で、長期的に見ると、どんどん縮小、後退せざるを得ない。限界に来ていると思う。次期対策は、マイナーチェンジとは違うスタイルで、大きな変革が求められている。
○C委員
大学生等の若者は、すごく社会課題に向き合いたいとか、貢献心が極めて旺盛な人がいる。
この方々とかなり磨き上げたシーズを持った大学の先生方とが、もっと接点を持ったら面白いことになる。中山間地域の農地を保全するとか、地域を守ろうというところで「学生等と非農業者との連携」において学生と関係性を作ることがすごく大事になってくる。
○C委員
TCFD、TNFDの開示の時間軸が確定している。カーボン関係はもう経済活動というか、お金に換算しているレベルになっている。企業の活動で、カーボンオフセットの報告を統合報告書に、翌年度には、50万トンCO2を出したが、45万トンは再エネで処理、5万トンは自然由来のところでオフセットしたみたいな開示を企業が始めている。2024年から2026年にかけては、生態系というかネイチャーへの対策の開示も加速化する。まだ、お金の面での枠組みができてないが、農林水産業界の課題に、企業が一気に近づいてくる。逆に言うとチャンス。相当広域の集落協定に、例えば1万トン分何とかできませんかみたいな、主力工場のある何々県にお願い、打診する話が出てきそうな気がする。逆に来るように仕向けて、農地や集落の維持のおまけとして、このCO2絡みのお金が中山間地域に落ちるようなことも、画策すべきタイミングである。
第 8 回 中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会 令和5年12月15日(金)
https://www.maff.go.jp/j/nousin/tyusan/siharai_seido/s_daisan_5ki/attach/pdf/8-7.pdf
中山間地域等直接支払制度とは
https://www.maff.go.jp/j/nousin/tyusan/siharai_seido/index.html
全国中山間地域振興対策協議会
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posted by オーライ!ニッポン会議 at 19:19| 全国中山間地域振興対策協議会