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2023年10月13日

質的統合法(KJ法)の講座が10月8日、9日の両日、金沢大学サテライト・プラザで開催され参加しました。

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 情報工房代表の山浦晴男氏(千葉大学大学院看護学研究院 特命教授)から直接指導いただく、質的統合法(KJ法)の講座が10月8日、9日の両日、金沢大学サテライト・プラザで開催され参加しました。
 これまでも山浦氏の指導の下で、「思考法・発想法のワークショップ」、「質的統合法(KJ法)のオンライン講座、対面講座」を複数回開催されてきましたが、この研修が実施できたのは、金沢大学の林透教授のひとかたならぬご尽力により開催されたものです。
 林教授は、自分の思っていることや感じていることを言語化し、構造的に思考することや発想することが大事であり、私たちは、思考法や発想法の「型」を知らず、学んだことがないことから、言語化された質的データを統合しながら思考し、発想するための基礎スキルで、「質的統合法(KJ法)」を学ぶ必要があるのではないかという問題意識から、「質的統合法(KJ法)基礎講座」を開催しました。
 以下、1.【思考法・発想法を鍛えるオンラインワークショップ】、2.【質的統合法(KJ法)の講座】、3.【地域再生寄合ワークショップの手法】の特徴をまとめてみます。

1.【思考法・発想法を鍛えるオンラインワークショップ】 
・この講座では、1日目は、思考法を学ぶ「ロジカル・ブレスト法」を学び、2日目は、アイデア発想や俯瞰力を高める「コスモス法」について学びます。
・地域づくりのためのアイデアの発想力を高めたい、交流事業のアイデア創出を理論的にしてみたい方に向いています。
・大学等の研究者はもちろん、社会問題に取り組む関係者、学生、コンサルタント、地域おこし協力隊員、起業を目指している人、サラリーマンと誰でも参加可能。
・アイデアの創出であるので、地域づくりに限らず、教育の面では、学習プログラムづくり。人材育成の企画に。
・また、企業活動では、商品開発、サービスの向上のアイデアにも活用できる汎用の思考・発想法です。
・これまでにオンラインで4回開催しました。
・一言で言うならば、こちらは、頭の中に浮かんだアイデアを論理的に整理し吐き出す仕組み。
・論理的にアイデアを出すことが求められる現代人には、山浦晴男氏オリジナル発案のこの思考法を学ぶ「ロジカル・ブレスト法」「コスモス法」がぴったりのように思います。
・そのうえで、【質的統合法(KJ法)の講座】へ進むと、さらに課題の統合化や、より物事の本質に近づく手法が学べると思います。
・「ロジカル・ブレスト法」「コスモス法」は、起業や社会の在り方を学び、ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスを生み出す基礎としてかなり有効ではないかと思っています。
・企業人だけでなく、中学生や高校生の社会学の時間に学んでもらうと、社会の見方が、より深まると思います。
・【思考法・発想法を鍛えるオンラインワークショップ】は、すぐに学んだことを活用できます。
・そのうえで、何度もテーマを変えたり、アイデアをどんどん出して進めることで、さらに思考技術がレベルアップし、さまざまな仕事や生活に応用できます。

●【発想の整理学】 AIに負けない思考法 山浦晴男 著(ちくま書房)
 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480073280/
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2.【質的統合法(KJ法)の講座】
・これまでに、オンライン1回、対面2回開催しました。各回2日間の研修プログラムでした。
・【質的統合法(KJ法)の講座】は、ただ単に、カードに要素を書いて、カードを並び替えて関係性をつくるものではありません。
・何度も何度もカードに書いてある内容を読み込み、その意味するものを深く理解して、似たものを探すことから始まります。
・そこで、カードを自分の思う理屈で分類まとめてはいけないのです。自分の仮設につごうのう良いデータを集め、そこからストーリや独自の解釈を加えてはいけないのです。
・一言で言うならば、質的統合法(KJ法)は、バラバラになった問題、現象、アイデアをまとめる(統合する)仕組み。
・「己を空しくしてデータをして語らしめる」
・つまりアイデアを沢山出すということよりも、アイデアの元となる、課題間の関係性や何らかの因果関係等を発見するのに、役立つ感じです。
・統計的にデータを扱うと、どうしても少数意見や中心的な意見だけの集約になりがちです。
・一方、「質的統合法(KJ法)」によるデータ処理は、どうしても読んでも読んでも、似たものが見つからない、通称1匹狼が存在するのです。
・実は、その通称1匹狼となるデータが、その問題の全体を表す重要な要素になったり、問題の本質に近づくものになったりすることがあります。
・ラベルのグループ化、表札作成を終え、空間配置(図解化、見取り図を作成)へと進んで課題の分析を行うのです。
・見取り図とは、課題としたテーマの全体像を図で表したもの。

●【質的統合法入門 考え方と手順】山浦晴男 著(株式会社医学書院)
https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/82076
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3.【地域再生寄合ワークショップの手法】
・【地域再生寄合ワークショップの手法】は、まだ講座として提供はされていません。 
・「地域再生寄合ワークショップ」は、【質的統合法(KJ法)】の手法を取りいれながら、実際にプログラムとして20年以上展開しているものです。
・現在、山浦晴男氏の元で、徳島県で実際に地域再生寄合ワークショップとして、取り組んでいるものです。
・当初の構想では、この手法を実際の地域で活用して地域をよくするだけでなく、その手法を使いさらに多くの地域で広げるためのファシリテーターの育成も視野に入っていました。
・質的統合法(KJ法)の技術を応用しておりながら、全く意識することなくファシリテートできます。
・地域の住民が自らの地域の将来に向けて、課題を整理し、資源を見出し、活性化アイデアを創出、どのように実行していくのか意見交換しビジョンにまとめていくためのワークショップです。
・住民自身がやる気になるためには、はじめに結論ありきの合意形成のワークショップでは無く、自分たちの地域を冷静に見直し、それからやりたいこと、できることをアイデアとして出しながら意見交換していく、手間暇かかるけれど、それぞれの人の思いや考えを尊重する話し合い(寄り合い)のプロセスが重要なのです。
・ファシリテーターがワークショップを運営するので、参加者は、予備知識不要で参加しワークショップを楽しむことが可能です。
・カリスマ的リーダーがいない地域においても、住民みんなで意見・アイデアを出し、活性化に向けて活動を進めるきっかけとして高い効力を発揮しています。
・ファシリテーターは、このプロセスをよく理解し、習熟する必要があります。
・地域連携に関心を持たれている地域大学教員関係者からの視察も多く、学生チームのフィールドワークや探求の学習にもこのワークショップ手法は効果的と思ういます。
・令和5年度からは、農村RMO育成のためのビジョン作成支援のための寄合ワークショップもこの手法により展開しています。

 ワークショップは合計3回
 第1回は、地域の課題の抽出
      (地域で抱えている悩みや問題、将来像は何か意見交換と発表)
 第2回は、地域資源マップの作成
      (地域の資源を思われる場所、モノ等を意見交換分類し資源地図を作成し発表)
 第3回は、地域を元気にするアイデアの発表と実行計画の作成
      (地域を元気にするアイデアの発表と意見交換、実行の計画の意見交換・作成)

【地域再生寄合ワークショップの手法】は、参加者としてファシリテーターに従っているうちは、最も楽に成果が得られます。しかし、ファシリテートしていくには、逆に技に習熟、経験が重要になります。この【地域再生寄合ワークショップの手法】のファシリテートをサポートしているうちに、参加者の前向きな意欲や情熱が、どんどんでてくるように見えた時に、自分一人でアイデアを考える苦労を考えると、この皆で意見交換しつつ合意形成を図る手法が、最も社会のために、必要ではないかと思うのです。

●【地域再生入門】寄りあいワークショップの力 山浦晴男 著(ちくま書房)
 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068644/

(一財)都市農山漁村交流活性化機構 地域再生寄合ワークショップ事務局
655


posted by オーライ!ニッポン会議 at 14:39| 住民主体のワークショップ

撤退事例の分析から【廃校活用】の可能性を探る(熊野稔 宮崎大学 地域資源創成学部 教授)

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撤退事例の分析から【廃校活用】の可能性を探る(熊野稔 宮崎大学 地域資源創成学部 教授)

 国立宮崎大学 地域資源創成学部 熊野稔教授は、道の駅の研究のみならず、全国の廃校活用についても造詣が深い。
 令和5年9月23日(土)に開催した【第3回九州廃校活用フォーラム】宮崎県えびの市では、「官民連携と廃校活用」テーマに、【廃校活用の先進事例と課題】ー撤退事例からのアプローチを中心としてーを発表している。

 熊野先生等は、人口減少と少子高齢化社会に直面した今日において地域自体が経営の視点を持ち、資源を活用した持続可能な地域社会づくりが求められている。
こうしたなかで廃校施設は、地域が持つ重要な資源であり、これを拠点として地方創生に活かしていくことが期待される。
 しかし近年では廃校活用しても中途で経営破綻して無くなるケースが散見され、持続性が地域課題となっていることから廃校活用の体系化と可能性を事例調査のもとに追究すると共に、廃校活用の実態把握と持続性のための知見や条件を明らかにして今後の基本的方向性を考察することを目的とした廃校活用の撤退事例のデータベース作成と集計からの調査研究を行っている。

 廃校の事例情報は、多数見ることができる(文部科学省や(一財)都市農山漁村交流活性化機構でも情報収集、情報提供を行っている)が、廃校を活用した取り組みのその後、特に撤退の状況の
調査分析は、大変珍しく、廃校活用の成功を導き出すうえで、極めて重要性の高い取り組みと考える。

 今後、熊野稔教授がさらに、研究を進め、調査集計分析の知見から持続させる基本条件を見出していくとしており、基本条件が明らかになれば、廃校の活用の検討時に活用事業の取り組みへの十分な検討・事業構築が可能となることから、今後の調査研究の結果に注目していきたい。

※★熊野 稔先生は、2024年4月から【北海道文教大学 人間科学部 地域未来学科 大学院 グローバルコミュニケーション研究科 学科長・教授】に就任しています。
〒061-1449北海道恵庭市黄金中央5丁目196−1 https://www.do-bunkyodai.ac.jp/mirai/

(一財)都市農山漁村交流活性化機構 コミュニティビジネスチーム
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