食料・農業・農村基本法の改正案の国会成立を受けて、基本計画の改定を行うために、「食料・農業・農村政策審議会企画部会」で検討が進められています。
令和6年12月4日(水曜日)に開催された第114回の企画部会の配布資料のうち農村振興及び中山間地域対策に関係する資料を紹介します。
★農林水産省 審議会のページ
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/index.html
なお、第114回は、我が国の食料供給(生産資材の供給、輸入の安定化)、輸出の促進(海外からの収益の拡大)、国際戦略、分野横断的事項(国民理解の醸成、団体間の相互連携等、DX の推進))が検討議題として取り上げられており、【国民の理解を深めるだけでなく、食料の持続的な供給に寄与するような「行動変容」につなげるよう消費者施策を推進していくことが重要】ということで★資料4【基本計画の策定に向けた検討の視点(分野横断的事項(国民理解の醸成、団体間の相互連携等、DXの推進))】に注目しました。
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/attach/pdf/241204-5.pdf
★参考資料1「我が国の食料安全保障をめぐる情勢」には、【4.農村の振興】があり、以下の項目の状況説明がありました。
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/attach/pdf/241204-10.pdf
@ 農村人口の減少と集落機能の低下
➁ 地域資源活用価値創出による所得の向上、雇用の創出
B 農泊、農福連携の推進
C 農村型地域運営組織(農村RMO)の形成
D 鳥獣被害とジビエ利用
E 日本方直接支払
F 環境保全型農業直接支払
G 中山間地域直接支払、多面的機能支払
★「参考資料2.食料・農業・農村基本法 改正のポイント(令和6年12月)」
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/attach/pdf/241204-11.pdf
■改正のポイント@:国民一人一人の「食料安全保障」を基本理念の中心に
・国民一人一人の「食料安全保障」を柱として位置付け
・国内の農業生産の増大を基本とし、安定的な輸入・備蓄について新たな位置付け
・農業生産基盤等の確保のための輸出の促進を新たに位置付け
・合理的な費用を考慮した価格形成を新たに位置付け
※具体的な施策は省略
■改正のポイントA:「環境と調和のとれた食料システム」を新たな基本理念に
・環境と調和のとれた食料システムの確立を基本理念として位置付け
・多面的機能は環境負荷低減が図られつつ発揮されなければならない旨を位置付け
※具体的な施策は省略
■改正のポイントB:人口減少下における農業生産の方向性を明確化
・人口の減少に伴う農業者の減少等が生ずる状況においても、(食料安全保障の確保の前提とな
る)食料の供給機能や多面的機能が発揮され、農業の持続的発展が図られなければならない旨を
明記
・農業生産の方向性として、「生産性の向上」「付加価値の向上」「環境負荷低減」を位置付け
※具体的な施策は省略
■改正のポイントC:人口減少下における農村の地域コミュニティの維持を明確化
・「農村の振興」の方向性として「地域社会の維持」を位置付け
改正後の基本理念
・農村の振興の目的として、農村の人口の減少等の情勢の変化が生ずる状況においても、地域社会
が維持されることを明記(第6条)
※農村の総合的な振興に関する施策の基本的な考え方として、農業生産基盤の整備・保全、農村と
の関わりを持つ者の増加に資する産業の振興を明記(第43条)
▲共同活動の促進
○第44条 農地の保全に資する共同活動の促進(新設)
農業者等の農村との関わりを持つ者による農地の保全に資する共同活動の促進(多面的機能支払
等)
▲農村関係人口の増加
○第45条 地域の資源を活用した事業活動の促進(新設)
農村との関わりを持つ者の増加に資する、地域資源を活用した事業活動の促進(観光など、地域
資源を活かした産業づくり) 等
▲農福連携
○第46条 障害者等の農業に関する活動の環境整備(新設)
障害者など社会生活への支援を必要とする方々が農業に取り組むことが出来る環境整備
▲中山間地域の振興
○第47条 中山間地域等の振興(拡充)
地域社会の維持に資する生活の利便性の確保(農村RMOによる活動促進)
▲獣害対策
○第48条 鳥獣害の対策(新設)
@鳥獣の農地への侵入防止
Aジビエ利用の促進
▲都市農村交流
○第49条 都市と農村の交流等(拡充)
@農泊の推進
A二地域居住のための環境整備
■改正のポイントD:「食料システム」の位置付けと関係者の役割を明確化
・環境負荷低減や費用を考慮した価格形成など、食料の生産から消費までの関係者が連携して取り
組むべき課題が顕在化していることから、「食料システム」を新たに位置付け。併せて、関係者
の役割を拡充・新設。
■改正のポイントE:改正基本法に基づく次期基本計画の策定(令和7年春頃)
【参考 改正食料・農業・農村基本法】
第17条 政府は、食料、農業及び農村に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、食
料・農業・農村基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 食料、農業及び農村に関する施策についての基本的な方針
二 食料安全保障の動向に関する事項
三 食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標
四 食料、農業及び農村に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
五 前各号に掲げるもののほか、食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進す
るために必要な事項
3 前項第三号の目標は、食料自給率の向上その他の食料安全保障の確保に関する事項の改善が図
られるよう農業者その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めるものとする。
4〜6 (略)
7 政府は、少なくとも毎年一回、第二項第三号の目標の達成状況を調査し、その結果をインター
ネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
8〜9 (略)
全国中山間地域振興対策協議会
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タグ:農福連携 食料・農業・農村基本計画 獣害対策 二地域居住 農泊 都市と農村の交流 中山間地域の振興 全国中山間地域振興対策協議会 農村RMO 農村振興及び中山間地域対策に関係する資料 国民理解の醸成 農村の人口の減少 農村との関わりを持つ者の増加 中山間地域直接支払 地域資源活用価値創出による所得の向上 雇用の創出 農地の保全に資する共同活動
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