徳島県 つるぎ町 家賀地区 急傾斜地農業のふるさとを訪ねる
〇阿波の国徳島といえば、何を思い浮かべますか?
「阿波踊り」「青色発光ダイオード」「鳴門の渦潮」「かずら橋」「大塚国際美術館」「すだち」「手延べそうめん」「鳴門金時」「徳島ラーメン」「一太郎」といろいろと名物・発明品・観光資源等はありますが、近年インバウンドで徳島県に訪問する外国人は、環境や自然に関心が高く、世界農業遺産というのも注目されているポイントの一つです。
〇「にしあわ急傾斜地農業」というのを知っていますか?
にし阿波の山間部は、平地が少なく急傾斜地そのものを耕地として耕し、作物を採り暮らしてきました。傾斜地では風雨などにより、土壌流出が起こるため、干したカヤのコエグロで畑の畝の間に敷き詰めて流出を最小限に食い止めたり、等高線に沿って畝立てしたり、サラエと呼ばれる伝統農具で土上げをするなどして土壌を守ってきたのです。
コエグロとは、秋に収穫したカヤを束ねて円錐形に積み上げたもので、土壌流出を防ぐほか、春には土を育てる肥料として使われています。この土地に負担をかけない自然循環型の「傾斜地農耕システム」は、千年以上の太古の昔より先人から継承されてきました。
そして、この急傾斜農業のシステムが国連食糧農業機関(FAO)から「世界農業遺産」に認定されました。伝統的な農林水産業を営む地域の中で世界的に重要と認められる地域として世界から評価され認められたのです。現在、世界で26ヶ国86の地域が、国内では15地域が登録されています。徳島県のにし阿波の傾斜地農耕システムは、中四国地域では初めて世界農業遺産に認定されました。
この家賀地区を活性化させようとしているのが、2018年4月24日に設立された忌部文化研究所です。忌部文化研究所は、古代日本におけるマツリゴトに携わり、国づくりに大きく貢献してきた忌部氏と徳島の歴史や各地方へと繋がる軌跡、そしてその精神性を研究しています。
忌部氏とは、ヤマト王権の宮廷祭祀を掌った名門氏族です。弥生後期から古墳前期(3〜4世紀)にかけ、吉野川流域を中心にその勢力を展開し、海部(あまべ)と力を合わせ四国東部の阿波地域を拓き、ヤマト王権成立に大きな影響を与えて、全国に麻・榖(かぢ)を植え、農業・養蚕・織物・製紙・建築・漁業・衣食住の生活文化技術や産業技術・古墳築造技術(農業土木技術)などを伝播させた技術集団、かつ祭祀集団であったと言われています。
家賀地区は、忌部の神領の一部でした。その家賀で行われている「家賀再生プロジェクト」をさらに盛り上げるために宿泊・交流施設として「家賀の郷 清笹」を2024年の4月にオープンしました。
家賀再生プロジェクト
https://www.awainbe.jp/projects/kekaproject/
(一財)都市農山漁村交流活性化機構 コミュニティビジネス担当
オーライ!ニッポン会議事務局
全国中山間地域振興対策協議会事務局
地域再生寄り合いワークショップ担当
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