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2023年05月23日

食料・農業・農村政策審議会 基本法検証部会 中間取りまとめ(案)公開

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食料・農業・農村政策審議会 基本法検証部会 中間取りまとめ(案)公開

農林水産省では、食料・農業・農村基本法の見直し検証部会が設置され、検証が進められています。令和5年5月19日の配布資料に、 中間取りまとめ(案)が公開されています。
中山間地域対策に関係するところを参考まで一部抜粋しました。


食料・農業・農村政策審議会 基本法検証部会 中間取りまとめ(案)(5月19日資料配布)
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kensho/15siryo.html

第1部 食料・農業・農村施策全般
1 食料・農業・農村基本法制定の背景
2 食料・農業・農村基本法の基本理念の考え方
3 食料・農業・農村基本法制定後の食料・農業・農村をめぐる情勢の変化
4 食料・農業・農村基本法制定後の情勢の変化と今後 20 年を見据えた課題
5 基本理念の見直しの方向

第2部 分野別の主要施策
1 食料分野
2 農業分野
3 農村分野
(1)食料・農業・農村基本法の農村施策の考え方
 @ 農村の総合的な振興
 ➁ 中山間地域への着目
 B 都市住民の理解の増進の場としての農村、都市農業の振興
(2)食料・農業・農村基本法制定後の情勢の変化と今後 20 年を見据えた課題
 @ 農村の人口減少の加速化
 ➁ 農地の保全・管理のレベル低下の懸念
 B 集落の共同活動、末端の農業インフラの保全管理の困難化
 C 中山間地域等における集落存続の困難化
 D 鳥獣被害
(3)農村施策の見直しの方向
 @ 人口減少下における末端の農業インフラの保全管理
 ➁ 農村におけるビジネスの創出
 B 都市と農村の交流、農的関係人口の増加
 C 多様な人材の活用による農村の機能の確保
 D 中山間地域における農業の継続
 E 鳥獣被害の防止

第3部 食料・農業・農村基本計画、不測時における食料安全保障
第4部 関係者の責務、行政機関及び団体その他(情勢の変化や課題を踏まえた見直しの方向)
第5部 行政手法の在り方


5 基本理念の見直しの方向
 現行基本法の基本理念について以下のような論点から見直しを行うべきである。
(1)国民一人一人の食料安全保障の確立
(2)環境等に配慮した持続可能な農業・食品産業への転換
(3)食料の安定供給を担う生産性の高い農業経営の育成・確保
(4)農村への移住・関係人口の増加、地域コミュニティの維持、農業インフラの機能確保
  地方自治体間の連携の促進、農業以外の産業との連携の強化、農村における生活利便性の向上等を通じて、都市から農村への移住、都市と農村の二地域居住、地域内でのビジネスにおけるイノベーションの創造等によって農村と関係を持つ、いわゆる関係人口の増加を実現することにより、地域のコミュニティ機能を集約的に維持する。
 また、農村人口の減少により集落機能の低下が懸念される地域においても農業生産活動が維持されるよう、用排水路等の生産基盤の適切な維持管理を図る。

第2部 分野別の主要施策
1.食料分野
(1)食料・農業・農村基本法の食料施策の考え方
(2)食料・農業・農村基本法制定後の情勢の変化と今後 20 年を見据えた課題
(3)食料施策の見直しの方向
2 農業分野
(1)食料・農業・農村基本法の農業施策の考え方
(2)食料・農業・農村基本法制定後の情勢の変化と今後 20 年を見据えた課題
(3)農村施策の見直しの方向
3 農村分野
(1)食料・農業・農村基本法の農村施策の考え方
(2)食料・農業・農村基本法制定後の情勢の変化と今後 20 年を見据えた課題
(3)農村施策の見直しの方向
 以上のような情勢の変化や課題を踏まえ、食料安全保障の観点から以下のような基本的施策を追加、又は現行基本法に規定されている農村に関する施策の見直しを行うべきではないか。

@人口減少下における末端の農業インフラの保全管理
 末端の用排水路、農道等については、草刈りや泥上げ等の共同活動を通じた保全管理を継続するため、集落内の非農業者・非農業団体の参画促進等を引き続き実施することが重要である。
 一方、農業生産を継続する意向があるものの、集落の小規模化に伴い、集落内で末端施設の保全管理を担う人員を確保することが困難となり、農業生産自体の継続が困難となる地域が増加していくことが懸念される。
 このため、このような地域では、市町村の関与の下、農地の農業上の利用や粗放的管理、林地化といった最適な土地利用の姿を明確にした上で、開水路の管路化、畦畔の拡幅、法面の被覆等による作業の省力化や ICT 導入や DX の取組等による作業の効率化、施設の集約・再編を推進する。
 あわせて、集落間の連携、共同活動への非農業者・非農業団体の参画促進、土地改良区による作業者確保等、継続的な保全管理に向けた施策を講ずる。

➁農村におけるビジネスの創出
 農村における仕事と生活の両面での利便性の向上等を図ることを通じて農村の人口減少を緩和させるため、農村における産業の振興や農村での起業を進めるための施策を講ずる。
 具体的には、関係省庁・関係自治体と連携しつつ、6次産業化や異業種との連携の強化、農村資源を活用した観光による付加価値の創出等、農山漁村発イノベーションの推進を図り、新たな就業機会を確保する。
 また、地域資源やデジタル技術を活用し、多様な内外の人材を巻き込みながら地域の活性化を図る取組を推進し、生活基盤の強化・充実を図っていく。
 加えて、農村における人口減少を補うために、積極的に都市から農村への移住を進める。現実的な方策として、転職を必要としない移住等が提案されているが、政府全体で、DX を進めるための情報基盤の整備、デジタル技術を活用したサテライトオフィス等の整備等、自治体間の連携を促進しつつ、これら移住を促進するための農村における環境整備を進める。

B都市と農村の交流、農的関係人口の増加
 都市農村交流を更に発展させ、都市に居住しながらも特定の農村に継続的に訪問する、ボランティアに参加するなど、特定の農村と継続的に関わる者を増加させていくことにより、当該地域における農産物・食品等の消費拡大や共同活動への参加を通じた集落機能の補完等を進める必要がある。
 これらの農業・農村に関わる関係人口を増加させるため、従来の都市と農村の交流に加え、食をはじめとする農業や農村が有する様々な資源を活用して、二地域居住や農泊等を推進するとともに、非農業者が農村の共同活動に参加するための受け皿となる農村 RMO 等を育成していく。

C多様な人材の活用による農村の機能の確保
 食料の安定供給や適切な多面的機能の発揮の観点から、地域農業の持続的な発展が必要である。農地を保全し、集落の機能を維持するためには、離農する経営の農地の受け皿となる経営体や付加価値向上を目指す経営体の役割が重要であるとともに、農業を副業的に営む経営体や自給的農家が一定の役割を果たすことも踏まえ、地域の話合いを基に、これらの者が農地の保全・管理を継続する取組を進める。
 一方、集落内の農業者や住民のみでは集落機能の維持が困難である集落については、農業生産の維持のため、集落内外に存在する非農業者や NPO 法人等の集落活動への参画等を推進する。このような取組を進めるため、多様な人材の受け皿として、なるだけでなく、地域の将来ビジョンを描き、農用地保全活動や農業を核とした経済活動と併せて、生活支援等地域コミュニティの維持に資する取組等を行う農村 RMO の育成を推進する。
 さらに、農業生産の基盤として必要な地域であるものの、それでもなお農地利用や集落機能の発揮のための取組が困難な地域においては、集落外から新規参入による農地利用や集落活動への参画を促すといった取組を行う。

D 中山間地域における農業の継続
 人口減少・高齢化がさらに進行することが予想される中、中山間地域等では、集落そのものの存続が困難になり、共同活動による農地保全や地域コミュニティの維持ができなくなる集落が増えることが予想される。
 そのため、その地域特性や地域資源を活かした特色ある農業の展開を支援するとともに、農業生産活動の継続と集落機能の維持が必要と考えられる地域については、中山間地域への条件不利補正等の直接支払いを、効率化等を図りつつ、引き続き推進する。
 一方、営農条件が悪く担い手もいない中山間地域の農地においては、今後の農業や農地利用のほか、管理主体や費用負担等について地域の関係者も含めて話合いを行い、これまでどおり営農を継続できない農地では、粗放的管理や林地化等により、農地保全と環境保全を図る。
 加えて、農業生産を維持する場合には、通作による農業生産の維持や、末端の農業インフラの継続的な保全管理等に向けた施策を講ずる。

E 鳥獣被害の防止
 鳥獣による農業や農村の生活環境への被害の防止のために、鳥獣の捕獲や侵入防止、生息環境管理に関する施策を講ずる。
特に、狩猟免許所持者が高齢化し、農村人口も減少する中で、捕獲等の強化に向けた人材育成・確保や新技術の活用、広域的な捕獲対策等を推進する。
 また、捕獲した鳥獣のジビエ等としての有効利用に必要な施設の整備や需要拡大等の取組も推進することにより、関係省庁・関係自治体と連携しつつ、持続性のある被害対策の実施体制を構築する。


全国中山間地域振興対策協議会

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posted by オーライ!ニッポン会議 at 11:38| 全国中山間地域振興対策協議会