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2021年06月10日

「半農半X(エックス)」、「農村型RMO」、「農山漁村発イノベーション」今後の農村振興の重要なキーワード

人口分散と持続的低密度社会を実現するための新しい農村政策の構築(概要)06-10-202101.jpg


農林水産省は、令和3年6月4日に【新しい農村政策の在り方に関する検討会(座長:小田切徳美明治大学農学部教授)】と【長期的な土地利用の在り方に関する検討会(座長:池邊このみ千葉大学園芸学研究科教授)】の「中間とりまとめ」を発表した。

報告書は、【地方への人の流れを加速化させ持続的低密度社会を実現するための新しい農村政策の構築令和2年食料・農業・農村基本計画の具体化に向けて】と題され、2つの検討会で検討された内容が網羅されている。

https://www.maff.go.jp/j/press/nousin/noukei/210604.html

https://www.maff.go.jp/j/press/nousin/noukei/attach/pdf/210604-1.pdf

骨子は、次の4つ。

1.地域資源を活用した農村における所得と雇用機会の確保
 →しごとづくりの施策(農村における所得と雇用機会の確保)

2.農村に人が住み続けるための条件整備
 →くらしの施策(中山間地域等をはじめとする農村に人が住み続けるための条件整備)

3.人口減少社会における長期的な土地利用の在り方
 →土地利用の施策(人口減少社会における長期的な土地利用の在り方)

4.農的関係人口の拡大・深化を通じた農村を支える活力の創出
 →活力づくりの施策(農村を支える新たな動きや活力の創出)

中間とりまとめでは、
(1)移住者らが農業を含む複数の仕事をする「半農半X(エックス)」
  「マルチワーク(複業)」といった多様な働き方への支援、
(2)農村型RMO(Region Management Organization「地域運営組織」)
  の育成には、集落機能の補完的な役割もあれば、
  新しいビジネスを積極的に展開していく役割もある。
(3)農業以外の事業にも取り組む農業者や事業体など経済主体が、
  農業以外の分野も含めて事業展開することで、
  所得確保手段の多角化が図られるよう、
  従来の6次産業化を「農山漁村発イノベーション」に発展推進するとともに、
  取り組みを支援するため、農業上の土地利用との調和を図りつつ、
  農山漁村発イノベーション施設等の設置に係る手続の
  迅速化等の措置等の検討等が述べられている。
 

●しごとづくりの施策(農村における所得と雇用機会の確保)についての
検討会における主な指摘

・大規模な営農が困難な中山間地域においては、地域の特性を活かした複合経営等の多様な
 農業経営を進めることも重要である。
 また、各事業のボリュームが小さいため、複数の仕事ができるよう、
 会社が計画的に社員を育てることが必要である。

・中山間地域においては、資源管理の面から集落機能が大きな役割を果たしており、
 中山間地域等直接支払制度のような裁量性が高い事業で、「集落戦略」の策定を
 サポートしつつ集落機能を支援できれば、ボトムアップ的な動きが生まれるのではないか。

・令和2年基本計画に位置付けられた、農村振興のための「しごと」「くらし」「活力」の
 3本柱のうち、「しごと」は、農業を含めたマルチワークなど様々な在り方が想定され、
 産業政策と地域政策をつなぐ「車軸」として大きな役割が期待される。

・U・Iターン等の新たな農業への挑戦者が農業で収入を得られるまでの間、
 農村において、様々な形で収入を確保するための雇用の受け皿が必要であり、
 様々な複数の仕事を自営していく人を支援するための制度が必要である。

・既に各地で行われはじめている「農山漁村発イノベーション」の取組を社会へ発信し、
 農村における仕事の一つの選択肢として提示し、特に、若者や女性が農村で働きたいと
 考えた際に、その動きを後押しする必要がある。

・「農山漁村発イノベーション」は、テクノロジーや時代の変化で進化していくため、
 無限の形があり、常に新しい価値が生み出されていくものである。
 イノベーションに取り組む者を発掘して応援するための仕組みが、
 「農山漁村発イノベーション」を加速するのであり、イノベーションに取り組む者と、
 地域の企業、団体、行政を結びつける場づくりが必要である。

・「農山漁村発イノベーション」を行う上で必要となる施設については、
 農業上の土地利用と十分に調和を図る必要があるが、十分な調整が
 行われたものについては、早期効果発現のため、迅速な手続が必要である。

・有機農業を営む者や、兼業・副業の農業者、雇用就農形態の半農半X実践者など、
 多様な主体が農業に取り組むことができる環境の整備が必要である。

・半農半Xなどのマルチワーク的なビジネスの立て方を考えられ、
 指導できる人材をしっかり育てていくことが重要である。

・半農半Xの推進に当たり、農村は、農地が林地や水辺に近接し、
 農業・林業・水産業の相互の関係の中で蓄積されてきた「地域の知恵」があるので、
 こうした知恵の活用にも目を向けるべきである。

・RMOには、集落機能の補完的な役割もあれば、新しいビジネスを積極的に
 展開していく役割もある。

・マルチワーク先の発掘とマッチング、農外からの参入も視野に入れて、
 主体的に動いていく人材が重要である。地域内外の人が年間を通じて
 様々な複数の仕事に携わることができる特定地域づくり事業協同組合の仕組みや、
 労働者協同組合の仕組みを積極的に活用することで、
 人材のマッチングが図られるほか、農業への関わり方の形が広がる可能性もある。

(2)今後の施策の方向性

・中山間地域のうち、大規模な経営が困難な地域では、令和3年3月に
 農林水産省が公表した複合経営モデルを、地域の実情に応じてカスタマイズしながら
 積極的に活用し、地域の特性を活かした多様な農業経営を推進すべきではないか。

※ 中山間地域における「地域特性を活かした多様な複合経営モデル」について
  https://www.maff.go.jp/j/nousin/tiiki/sesaku/hukugou.html

・中山間地域等直接支払制度においては、集落の話合いにより、
 将来的に維持すべき農用地や担い手を明確化する「集落戦略」が
 より実践的になるような方策を検討するとともに、
 集落機能強化等を後押しする加算措置の更なる活用により、
 「くらし」の視点を含めた地域課題の解決を図りつつ、引き続き、
 地域の農業の維持・発展に資する取組を推進すべきではないか。

・農業以外の事業にも取り組む農業者や事業体など、多様な形で農に関わる経済主体が、
 地域資源を活用して農業以外の分野も含めて事業展開することで、
 所得確保手段の多角化が図られるよう、従来の6次産業化を
 「農山漁村発イノベーション」に発展させ、推進するとともに、
 これに取り組む事業者や団体を支援するため、
 農業上の土地利用との調和を図りつつ、農山漁村発イノベーション施設等の設置に
 係る手続の迅速化等のための措置等について検討すべきではないか。

・集落機能の補完の意味合いのみならず、「農山漁村発イノベーション」の主体としても、
 地域資源の保全・活用や農業振興等を行う
 農村地域づくり事業体の育成を図るべきではないか。

・「農山漁村発イノベーション」の推進に当たっては、特定地域づくり事業協同組合の
 仕組みの活用、都市部の起業家と農村とを結ぶプラットフォームの充実等による
 地域内外の人材のマッチング支援や、労働者協同組合の仕組みの活用を
 検討すべきではないか。


中間とりまとめの最後には、
これまで述べてきた観点に沿って施策を講じていくためには、
農林水産省の施策だけではなく、
関係府省・地方自治体・事業者と連携・協働し、
農村振興施策をフル活用して「地域政策の総合化」を図り、
地域に寄り添いながら、
現場ニーズの把握や課題解決を進めていくことが必要である。
さらに、地方自治体職員の減少に対応し、
各種の事務の大幅な簡素化により、
地域の農業者も含めた現場の負担の軽減を図ることも必要である。
と結ばれている。


追伸
農林水産省 令和4年度概算要求に農村RMOの推進のための予算が盛り込まれています。

69−2 農山漁村振興交付金のうち農村RMO形成推進事業
https://www.maff.go.jp/j/budget/pdf/r4yokyu_pr69.pdf

中山間地域において、複数の農村集落の機能を補完する
「農村地域づくり事業体(農村RMO)」の形成を推進するため、
農村RMOを目指して農村地域づくり協議会が行う実証事業等の取組や
農村RMOを目指す組織の伴走者となる中間支援組織の育成等の取組に対する
支援を実施します。(目標:令和7年度まで350地区)




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posted by オーライ!ニッポン会議 at 14:05| 犬も歩けば棒に当たる