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2019年11月27日

結局は人なのよ!天の時は地の利に如かず。地の利は人の和に如かず。その2

農山漁村コミュニティの資源を活用して、コミュティの維持発展の役割を担う活動である農山漁村コミュニティビジネスは、いつかは切れる補助金や交付金になるべく頼らず自ら収益を確保して持続しなければならない。しかし地域への貢献という使命も重要視されるために地縁、知縁を総動員した取り組みが求められている。人口79万人の政令都市浜松市に合併した山村集落の取り組みを紹介する。ここにはあらゆる活動のヒントがある!!!

農山漁村コミュンティビジネスによる中山間地域集落の活性化事例(1)
「くんまの水車の里」(静岡県 浜松市 天竜区熊地区)http://kunma.jp/
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 林業の衰退とともに過疎化が進んだ浜松市熊地区は、「このままでは故郷が埋もれてしまう」と夢を地域のみんなで語り合い、女性達が手作りや昔の食文化の良さを地域外の人に知ってもらう活動をしようと提案がまとまり、1986年(昭和61年)に女性達が参画する全戸加入の村おこし「熊地区活性化推進協議会」を発足させた。

 へき地の山村集落を活性化しようと全戸加入、女性が主体となって村おこしに取り組みはじめて30年。農業・農村の生活文化を提供しつつ、地域内の独居老人への配慮や移住者向けの「お試し住宅」など常に新たな課題に対応する姿勢が高く評価されて、2016年(平成27年)3月に第13回オーライ!ニッポン大賞(注2.)を受賞した。
「くんま」とは地名であり「熊」の方言である。

 2000年(平成12年)に、さまざまな活動の改善すべき点を見直し、さらに、広範な事業に取り組むうえで、交付金等を得るには法人化がふさわしい等の意見もあり、熊地区地域活性化推進協議会を発展的に解消し「特定非営利活動法人 夢未来くんま」として新たな挑戦を始めた。
浜松市天竜区熊地区は、天竜区の南西部、阿多古川の最上流部、急峻で起伏に富んだ23集落(注3.)からなる中山間地域、区域面積32.2ku(山林87%、農地4.7%)、熊地区へは、JR浜松駅前から私鉄・バス乗りの継ぎで約1時間半。

1958年(昭和33年)、二俣町、市制施行で天竜市に改称。2005年(平成17年)、天竜市は浜松市に編入、2007年(平成19年)、浜松市の政令指定都市移行で旧天竜市域は天竜区、浜松市天竜区熊地区となる。
★04 オーライ!ニッポン大賞 夢未来くんま 写真.jpg
道の駅くんまの「かあさんの店」は、テラスも客席として活用

特定非営利活動法人 夢未来くんまの概要
会員数は、482人(第16回通常総会開催日、平成27年5月19日現在正会員)
役員は、理事長1人、理事8人、監事2人。
活動年数は、29年(うち前身組織の活動14年)年会費は100円。入会金の1,000円

収益事業
(食文化の伝承事業)
・農産加工・販売
・伝統食提供
・農産加工品づくり体験
・イベント ・環境保全

非営利事業
・社会教育の推進
・都市と山村の交流
・各種福祉サービスの提供
・青少年の健全育成
・くんまお試し住宅
・調査研究

 法人の目的は、「熊地区を中心とした周辺地域に対して、食文化等を通じて都市と山村の交流、福祉の増進、青少年の健全育成、環境の保全などの実践事業を行い、中山間地域における地域資源を活用したモデル的なまちづくりを進め、これを情報発信することにより、心豊かで安心して支えあうことのできる新たなシステムづくりに寄与すること」となっている。

・活動拠点:「くんま水車の里」(道の駅)
主要拠点施設として、@農産物加工・販売施設({水車の里」)」、 A飲食サービス施設(食事処「かあさんの店」)、B体験交流施設(体験工房「水車の里」、熊活性化センター「熊愛館」) C地場物産販売施設(物産館「ぶらっと」)がある。

・活動スタッフ:33人(平成28年4月現在)は、@男女別:男性2人、女性31人、 A専属・アルバイト別:専属22人、アルバイト11人

・活動実績(直近年間) @活動日数:310日 A利用者:道の駅利用者延べ75,000人、高齢者福祉利用者延べ1,050人、体験・環境参加者延べ1,300人、 B年間売上:67,500千円

・これまでの受賞歴は、 @第28回農林水産祭むらづくり部門農林水産大臣賞・天皇杯1989年度(農水省) A2012年地域再生大賞(共同通信社)
B平成24年(2012年)美しく品格のある邑知事賞(静岡県・浜松市)

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生きがいサロン「どっこいしょ」一日の風景

夢未来くんまの活動
夢未来くんまでは、4つの部で村おこし活動を行っている。

@水車部は、道の駅を管理・運営。「かあさんの店」でのそばを中心とした郷土色豊かな食事の提供、「水車の里」でのそば、みそ、こんにゃく、まんじゅう、梅干し等の手作り加工や体験教室の開催、「ぶらっと」での水車の里や地区内で製造した商品や木製品などの販売。

Aしあわせ部は、月に1回、熊地域の各集落に出かけてふれあいサロン「どっこいしょ」を実施。給食サービス、独居高齢者宅を中心に安否確認を兼ねて弁当を月1回配達。

Bいきがい部は、グリーン・ツーリズムを交流促進、移住向けの「お試し住宅」や農家民宿新茶を味わう会(5月)、ほたる鑑賞(6月)、サマーデー(8月)など季節ごとに様々なイベントも実施。さらに浜松市の大学生が地域活性化を学ぶため、商品開発(バームクーヘンやそば汁粉など)やイベント(大寒謝祭2月)を実施。

Cふるさと部は、子供達への体験型の環境教育である「くんま水辺の活動」として「ほたるの学校」や「熊平川遊び」「棚田ウォーク」を開催。
こうした活動は、中山間地の女性が外で働く喜びや苦労、社会と繋がる意味を知り、努力と結束で地域住民の生きがいと郷土意識を醸成するなど大きな成果を上げてきた。また活動を体験し楽しさに感動した結果、都会から移住した人も多い。


熊地区のほぼ全ての商店や飲食店が廃業する中、夢未来くんまの各施設は元気に続いている。交通量がほとんどない山の街道にあっても、旬の食材を使った食事、元気で明るい母さん達のおもてなしに惹かれて施設に立ち寄るドライバーからの口コミでバイクの利用者や他県からの来訪者が増えている。
女性達の活動が収益を生み出したことにより、家庭内での男性の女性に対する意識も変わっている。
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くんま田舎体験.jpg
移住定住の推進、田舎暮らしツアーを実施

熊地区が全戸加入の取組に進んだのは、明治期から昭和30年初頭まで続いた行政村である旧熊村大字熊の23の集落が各大字(旧藩政村)単位の共有林野の管理運営に係わる財産区の存在が大きい。
その財産区を基礎とした地縁、また、地区内婚姻が多かったこともあり地縁・血縁で結ばれた村落共同体的な性格を長く保持してきたことがコミュニティの一体感を強め今日への取り組みの礎となっていると思われる。

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かあさんの店等販売する漬物等の加工品を製造する様子

「くんまの水車の里」は、過疎、高齢化が進む山村のなかで、女性が中心となり、地域資源を活用した加工品づくり交流体験など身の丈にあった活動を展開しつつ、地域高齢者の憩いの場としても機能を果たし雇用や賑わいをもたらしてる。


注2.オーライ!ニッポン大賞とは、オーライ!ニッポン会議と農林水産省が共催で平成17年度から都市と農山漁村の共生・対流を促進するため、「都市側から人を送り出す活動」、「都市と農山漁村を結びつける活動」、「農山漁村の魅力を活かした受け入れ側の活動」などについて優れた貢献のある団体を表彰する表彰事業。各地で取り組まれている「都市と農山漁村の共生・対流」の活動を讃え、その活動の様子を全国的に紹介することで、共生・対流の理解促進に繋げ、「人・もの・情報」が絶えず循環する社会づくりの更なる推進を図ることを目的に実施している。

注3.熊地区の23集落は、旧熊村の大字熊の石打、柴、沢丸、高平、峰中、峰、熊平、大地野、坂野、向組上、向組下、市場、旭、引田の14集落、大字大栗安の串山、本村、内熊、東組の4集落、大字神沢の上神沢、峰神沢、西神沢東、西神沢西 、六郎沢の5集落、計23集落
posted by オーライ!ニッポン会議 at 01:13| コミュニティビジネス